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一目惚れの恋 三輪山の神の子伝説① 神話は今も生きている ことの葉綴り。二六四

三輪山の伝説 活玉依毘賣(いくたまよりびめ)の恋

こんにちは。今日は雲一つない秋晴れ。気持ちいいですね。そして午後から「ことの葉綴り。」に向かいます。

今日は、伝説の恋物語を……。

第十代、崇神天皇の御代、疫病が流行したことからご神託を受けられます。
そして、夢に立ち現われた、三輪山の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)さまは、「自分の子孫である、意富多多泥古(おほたたねこ)に、神祀りをさせよ」と、ご神意を述べられました。

意富多多泥古(おほたたねこ)は、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)さまと、美しい人間の乙女である活玉依毘賣(いくたまよりびめ)さまが結ばれて夫婦となり、その直系の子孫にあたります。
そこで、意富多多泥古(おほたたねこ)が、「神の子」といわれるのですが……。

今日は、このご先祖にあたる大物主大神(おおものぬしのおおかみ)さまと、活玉依毘賣(いくたまよりびめ)さまの物語です。

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見目麗しい乙女と名も知らぬ男

むかし、むかし、やまとの国に、それはそれは容姿端麗な美しい乙女がおりました。
乙女は名を、活玉依毘賣(いくたまよりびめ)といいました。

この活玉依毘賣(いくたまよりびめ)のところに、ある夜、一人の男が、どこからともなく訪ねてきます。
その姿も、形も見目麗しいその男は、装いもふるまいも威厳があり、神々しく立派でした。

乙女は、これほど立派な男性に会ったことはありません。

男も、噂通りの乙女の美しさに心奪われました。

二人は、すぐに魅かれ合い、恋に堕ちて、結ばれます。

この高貴なお方はどなたなのかしら?

乙女は、相手の身分もわからないまま、男の腕の中に抱かれ結ばれながらふと思ったのです。

その日から、男は、毎日、乙女のもとを訪れてきました

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男の素性は?

そして二人は、逢瀬を重ねます
ただ、必ず、男が来るのは、夜になってからでした。
夜の帳が落ちるとやってくる男と乙女は、夜の間を共に過ごしました

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そして、二人が出会い結ばれて、まだどれほどの時も経たないうちに、その美しい乙女は身ごもります

この乙女、活玉依毘賣(いくたまよりびめ)の父と母は、娘の様子の変化に気づきます。
娘が孕んでいる。
けれど、娘は、まだ結婚しているわけではない。
いったい何が? 相手は誰なのか?

娘よ、お前は、夫がいないのに、
どういうわけで身ごもったというのか?

乙女は、素直な気立てでした。父母には、ありのままこう答えます。

はい。とても見目麗しく立派な殿方がいらっしゃいました。
私は、実は姓も名も存じあげません。
毎夜、私のもとにいらっしゃってそして、契りを結びました。
そして身ごもったのです。

な、なんと……。
そんなことがあるものだろうか?

乙女の話を聞いて、父母はたいそう驚き、不審に思いました。
同じ屋敷に暮らしていて、自分たちに気づかれることなく、娘の部屋にどうやって忍び込むことができるのか?

いったい大切な娘を身ごもらせた相手とは誰なのか?
まずは、それを知らなければ……。

乙女の両親は、娘の相手の男の素性を知るために知恵を絞りました……。
さて、どんな作戦をたてたのでしょう?

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―次回へ

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