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美しき“男装の麗神”天照大御神 須佐之男命②ことの葉綴り。其の九五

姉神・天照大御神の“誤解”?!

おはようございます。今朝も仕事前に「ことの葉綴り。」のひとときです。
“神様も失敗して成長した”
「妣恋し」と、泣きわめき、父の伊邪那岐命から委ねられた、海を治めずにいた須佐之男命さま
父神から「追放」され、妣のいる根の堅洲国に行く前に、
「姉の天照大御神さまに会いにいって事情を説明しよう~!」と、
高天原に昇天していきますが……。
 
雷鳴が鳴り響き大地が大きく震動しています。
葦原中つ国の中の山も枯れ、海川も涸れて
禍がおおっています。
天変地異のようです。

須佐之男命さま、ご自身は気づかれていませんが、
荒ぶる神のスケールの大きさが
葦原中つ国ぜんたいに影響を与えているのです。。

「お姉さーん」

一方、高天原の統べる姉・天照大御神さま、
ものすごい爆音の雷鳴が鳴り響き
鋭い光の稲妻、
そして荒々しく天に昇天してくる須佐之男命さまに驚きます。


父神の伊邪那岐命から委ねられた高天原。
治めはじめたばかりの姫神です。

弟は、父神から委ねられた葦原中つ国を治めることなく
ただ、「母に会いたい」と泣いて地上が大変なことになっている。
そして、父神に「追放」されたと聞いた。
しかも、父神は、淡海の多賀の幽宮にお隠れになった。

なにゆえ、この天上の高天原に昇ってくるのだろう?


葦原中つ国中が、天変地異になり、悪神がはびこってしまった。
須佐之男命さまは、その原因が、自分にあるとは思ってもいません。
だって、甘えん坊でやんちゃな須佐之男命さまは、
ただ、母上に会いたい! お母さまに甘えたい!
それだけなのですから。

とはいえ、“世界”はそうではすみません。

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天上界からみると、須佐之男命さまの「こころ」は見えず
大ピンチになった葦原中つ国が見えるだけです。

これは……暴れん坊の私の弟、須佐之男命が、高天原に昇ってくるのは、これは、決して、善き心ではあるまい。
葦原中つ国は、父の伊邪那岐命が、高天原の神々から、
国生み・神生みを委ねられた大切な世界。
それを、自らの使命を放棄したため、葦原中つ国は、
山も枯れ、海も川も涸れて悪神がはびこり、
禍が満ちてしまっている。
高天原の神々への、忠誠心ももってはいないだろう。
清らかなこころでいるわけがない!!

私の弟は、この私が治める高天原を奪うために、
昇ってくるのではないか?!

このままにしてはいけない。

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男装の姫神 高天原を守る!

天照大御神さまとはいえ、高天原を治めはじめて間もありません。
それを、弟神に奪われてしまったら……
父神にも、申し訳ない。
高天原の神々にも、面目がない。

絶対にそうはさせじ!!!

キリっ!!

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天照大御神さまは、そうおっしゃると、
父神から委ねられた高天原を守るために、立ち上がりました。

なんと、姫神さまの髪型をほどかれると
父神や男神がなさる、御角髪(みみづら)に髪を結われました

そう、”国を奪おうとする弟神“と、闘う覚悟を示し
男装をなされて、武装姿になられました

右と左の角髪(みづら)にも、
右と左の御鬘(みかづら)という蔓(つる)の飾りにも。
右と左の御手にも、
それぞれ、八尺の勾玉という、
瑪瑙(めのう)、水晶などでできた
大きな勾玉五百個を一本の緒に貫いた長い玉飾りを
巻きつけて身を飾ります

これは、まさしく、この高天原を統べる証の玉飾りなのです。
さらに背中には、千本の矢をいれる靫(ゆぎ)を背負い、
脇腹には、五百本の矢を入れる武具を備え
左肘には、威勢よく高い音が鳴る皮でできた鞆(とも)をつけられました。

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いさましい~!!

光輝く美しい姫神さまが、
高天原をお守りすると決意されて
高貴な男装の麗神に身を飾られました。

そして、引くのにかなりの力のいる
強い弓を手にすると、それを振り立てられ
背筋をぴしっと伸ばされて、
庭の堅い地面が、へこんでしまうほど、
強く足を踏み込まれて、股(もも)まで踏み込み

(なんだか、相撲の力士の四股踏みのような、力強さです)

まるで柔らかな淡雪を蹴散らすように、
堅い地面の土をも、粉雪のように蹴散らかされて

そして、威勢よく勇ましく雄々しい叫びをあげて
我が統べる、高天原の大地をしっかりと踏みしめられて

弟神の須佐之男命が、昇ってくるのを待ち受けたのです

そして、こう問いただしました。

なにをしに、高天原に昇ってきたのだ?! 

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―次回へ

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