道具供養祭と河童さん ことの葉綴り。二二三
道具の日10月9日
おはようございます。台風14号、無事に通り過ぎてほしいですね。そして、今日も「ことの葉綴り。」に向かいます。
今日、十月九日は、「道具」の日! 今日はこの記念日にまつわるお話を。
これは、東京の調理道具の専門店の町として知られる浅草の「かっぱ橋」から生まれた記念日です。
「合羽橋道具街」は、東京の上野と浅草のまんなかあたりにあします。明治末期から大正時代にかけて、古道具屋さんが集まりできたのが始まり。
終戦後に、お料理や飲食店の道具や器具を販売する商店街に発展しました。https://www.kappabashi.or.jp/
毎年、この日、商店街近くにご鎮座している「矢先稲荷神社」さんでは、私たちが、日頃から使っている、包丁やまな板、鍋などのお料理の道具に感謝するための、「道具供養祭」が執り行われています。
道具供養祭
元々、先人たちは、“もの”も大切にしてきましたよね。
目には見えない、“カミ”さま、仏さまだけではなく、
“もの”道具にも、愛情をもってつきあい、お祓いをしてお別れのときには供養をしてきました。
日頃の暮らしに欠かせない道具にも、
「ありがとう」の気持ちを持ち
使えなくなったときには、ちゃんと「別れ」の手放すための儀礼「供養祭」を行っていたのですね。
日本全国、道具、櫛、お人形、針、筆……最近では、ネクタイや、テレフォンカード、パソコンにも感謝をして、供養するご神事が今もおこなわれています。
これも、「産霊(むすひ)」の考えから来ています。
天地・万物を生成発展する霊的なはたらきのことをいいますが、
神さまの誕生、生成だけではなく、すべてのものは、神のみこころがあり、結びついて、生成されて、そして発展していく。
たとえば、おむすび……炊いたお米を私たちの手を使い握っていく。ここに、愛情が込められていたりしますよね。
“もの”も、道具も、一つ一つ、手作りされていた時代もあって、その手作りに丹精や祈りも込められていたでしょうね。
だからこそ、その“もの”とのお別れするときには、「供養祭」という儀礼をおこなってきたんですね。
“もの”への感謝と労い、そして、自分のその“もの”さんへの、愛着へのけじめにもなったでしょうね。
道具の日の今日は、身の回りの“もの”さんたちに、挨拶でもしてみたいですね。
合羽橋の河太郎さん
と、もう一つ、東京の道具街では、「かっぱ橋道具街90周年」を記念して、平成15年には、かっぱの河太郎の像が建てられました。
で、なに? 河童? 河太郎? って思いませんか?
いや~実はいい話なんです。
江戸時代、このあたりは、土地が低く水はけもわるいので、たびたび水害に悩まされており、住民は苦労が絶えませんでした。
そこで立ち上がったのが、地元の雨合羽の商人・合羽屋喜八でした。
私財を投じて、その土地を掘っていく堀削(くっさく)工事をおこない、水はけのために新堀川(現在の合羽橋道具街通り)をつくったのです。
その大変な工事に尽力する喜八さんに協力したのが、
かつて、喜八さんに命を助けられた河童でした。
この河童は隅田川に暮らしていましたが、仲間の河童たちを引き連れて、工事を手助けしたそうです。
そして、この河童を目にした者は、不思議と商売が繁盛したといわれます。
文化十一年(1814年)、喜八さんは亡くなり、菩提寺の曹源寺に葬られました。
この曹源寺さん、別名「かっぱ寺」と呼ばれています。
境内には、「かっぱ大明神」が、お祀りされていて、商売繁盛、火水難除けにご利益があるといわれています。
大阪の「道具屋筋まつり」
「天下の台所」「くいだおれ」の街でもある、西の大阪にも、調理道具屋さんの集う「千日前道具屋筋商店街」があります。
こちらは、明治15年、法善寺のある千日前から、お大師さんこと弘法大師さまの四天王寺さん。毎年、“えべっさん”で賑わう今宮戎神社さんの参道に、古道具屋さん、雑貨屋さんが軒を連ねたのが始まりだそう。
終戦後には、アーケードが建って、今も続く150mの商店街になりました。
やはり、10月9日には、「道具屋筋まつり」がおこなわれていて、いろいろな調理の道具をお手頃価格になるそう。
最近は、たこ焼きの実演販売、食品サンプルづくりの体験も実施されていて、修学旅行の学生さんにも人気!
残念ながら、今年はコロナ禍なので、おまつりりの開催は中止ですが、「コロナに負けへんで企画」!!として、道具屋筋ガラポン大抽選会をおこなうそうです。
9日~18日までに道具屋筋で、買い物をしたり食事をして500円以上で抽選できるそう。
さすが! 負けへんで~の心意気いいですね。
さて、長くなりました。
道具の日、身近な愛用品に「ありがとう」と声掛けして過ごそうと思います。河童さんにも、会いたいですね~(^^)
―次回へ
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?