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母の無償の愛 神様も失敗して成長した 大国主神③ ことの葉綴り 其の十七


母神の祈り

「人生に失敗がないと 人生を失敗する」
こんにちわ。テレワークのおかげで更新復帰六回目。
八十神たちの策謀により命を落としてしまった心優しき賢き、元祖“いじめられっ子”大国主神さま。
 

 大国主神に“変身前”の大穴牟遅神(おほなむぢのかみ)さまは、兄神たちに騙されて、真っ赤に焼けた大きな石を赤い猪だと思い込み全身で受け止めました。
 体中大やけどをして肌も焼けただれて命をおとしてしまいます。

でも、それを救おうとした神がいます。

母神・刺国若比売(さしくにわかひめ)さまの悲しみはどれほどだったでしょう。
泣いて泣いて悲しんで、それでも、愛する息子神の死を受け入れることなんでできません。

母神・刺国若比売(さしくにわかひめ)さまは、そこで、高天原にのぼっていく、生命を司る神産巣日神(かみむすひのかみ)さまに「どうか、どうか愛する息子を助けてください」とすがります。
この神産巣日神さま。産巣(むす)は、生じる、生成すると、日(神霊)の結びついた、神聖な生成の霊力という意味で、よろずの生命の誕生と成長を司る神様なのです。

ただただ愛する息子を助けたい!!

 この母神の無償の愛と祈りが、神産巣日神様にも届きました。


神さまの”救急医療”チームで蘇生!


 神産巣日神様は、「きさ貝比売と蛤貝比売(うむがいひめ)を地上に遣わして治療させよう」と、“救急医療チーム”を派遣してくださいました。

 名前のとおり、さき貝比売は赤貝の姫神で、自身の体の赤貝の貝殻を削り落として粉末の薬にしました。

蛤貝比売は、蛤の女神様で、さき貝比売の粉末の薬を、蛤の貝で受け止めて、そして蛤の汁で溶かしていくと、まるで母の母乳のような塗り薬に変えて、大火傷を負って亡くなった大穴牟遅神さまの全身に、優しく塗り込んでいきました。

 蛤のお吸い物はおいしいし、栄養満点! エキスたっぷり。
 赤貝の粉のエキスは火傷に効くそうです。
 それを母の愛の象徴のような「乳汁」の塗り薬、軟膏のようにして。

大穴牟遅神様の体に優しく優しく塗り込んだところ、

見事に生き返らせることができました。
 
それは、生命が蘇る奇跡の薬でした!!

母神の喜びはどれほどだったでしょう。

でも兄の八十神たちは、生き返った弟神を見ると、

驚きと怒りが噴出します。


再び、兄の八十神たちの迫害を受けて


「今度こそ、死にいたらしめてやる」

再び、大穴牟遅神への「迫害」をするのです。

はぁ~困ったものです。
でも、そうかもしれません。
大穴牟遅神が蘇ると、自分たちの“いじめ”や殺害の悪行がバレてしまう。

心の底に「恐怖心」があるからこそ、さらに迫害はエスカレートして、歯止めがきかなくなってしまっています。

 山の中で、八十神たちは、大きな木を縦に2つに切り裂いて、左右に開いて、楔でとめました。

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いったい何をする気やら……

 大穴牟神さまそこに連れていき、その大木の真ん中の裂け目に立たせます。

 と、次の瞬間、止めていた楔を外しました……。

 ものすごい勢いで大木が左右から、大穴牟遅神さまを挟みこみ圧縮死させたのです。

 このときも、心配した母神が、大穴牟遅神を必死に探しだして、懸命に大木を裂いて助けだします。

 もう、このままでは、命がいくつあってもたりません。
 いつ、何度も何をされるかわかりません。

 そこで母神は、「あなたは、八十神の兄たちに、たいそう恨まれています。ここにいたら危ない。殺されてしまいます」と、心配をして、息子の大穴牟遅神を、木の国(今の和歌山県)の、大屋毘古神さまのところへ避難させました。

 ところが、ところが、ですよ。
 一度、憤怒と殺意にかられた八十神たちは、大穴牟遅神さまを追いかけてきました。
 
 いや~しつこい!!!

 矢を放ち、大穴牟遅神さまを矢で射殺そうとしてきます。
「そいつを、こっちに寄越せ」
 
 追い詰められますが、母神に息子を「頼みます」と言われていた大屋毘古神さまが、木の
股から、大穴牟遅神さまを逃がしてくれて九死に一生を得たのでした。

 母の愛により、何度も蘇ることができた大穴牟遅神様。
 でも母は愛する息子を心配し、こう告げます。
「ここにいては、あなたはまた、兄神たちに殺されてしまいます。(六代前のご先祖)須佐之男命のいる根の堅洲国に行きなさい。きっと助けてくださるでしょう」

大穴牟遅神さまはどうなるのでしょうか?

 またダークサイドに落ちた、兄の八十神たち。
 もう~信じられない! と思いがちですが……。
もしかしたら、私たちも、不安や怖れに心が占領されて、心の影の側面ばかりが膨らむと、自分の中にある恐怖心が、ほかの誰かに向けたときには、怒りの炎となり、それはエスカレートしてしまう、迫害する側の心理描写を教えてくれているのかもしれませんね。

 次回へ――

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