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曙立王の霊力 本牟智和気王6 神話は今も生きている ことの葉綴り。三〇八

出雲の大神さまとの約束

明けましておめでとうございます。
元旦は、神社の奉職で、新年のご祈祷をおつとめして参りました。
「家内安全」「身体健全」「無病息災」のご祈祷が、今年は多かったように思います。
コロナ禍でも、地元の氏神さまへのお参りをされる方も多く、
皆さん、お参りを待つ距離も保たれていらっしゃいました。

皆さまは、どんなお正月をお過ごしでしょうか?

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さて、さっそく本年初めて、「ことの葉綴り。」神話の物語を綴ります。

第十一代、垂仁天皇(すいにんてんのう)
は、生まれて一度も、言葉を発したことのない皇子、本牟智和氣(ほむちわけ)のことで、心を憂いていました。

そんなある夜、出雲の大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が夢に現れて、こうお告げをされたのです。

荒れ果てた私の神殿を、修理し天皇の宮と同じように立派にしたならば、皇子は言葉を発するようになるであろう

国造りをなしとげた大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が、
高天原の天照大御神(あまてらすおおみかみ)の子孫に
国譲り」をするときに、出した条件こそ、
天つ神の御子の住まいと同じような立派で荘厳なご神殿を」でした。
ちなみに……古代の神殿は、3本の大木を鉄輪で束ねて一本の柱として48mの高さがあったことが、発見されています。

神話って“生き物”だなって、感じさせてくれますね。

垂仁天皇(すいにんてんのう)は、皇子が“もの言わぬ”のは、この大神の祟りであったことをお知りになり、
祟りを鎮めるために、皇子とともに、誰を出雲へ遣わせるのがいいのかも太占で占うことにしました。

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選ばれた曙立王(あけたつのみこ)


すると、「曙立王(あけたつのみこ)がよい」と、卜(うら)の結果がでたのです。


曙立王(あけたつのみこ)とは、
垂仁天皇の祖父、第九代、開花天皇(かいかてんのう)の皇子で、子だくさんの日子坐王(ひこいますのみこ)の一人目の后の長男、大俣王(おほまたのみこ)の長男です。

そして、曙立王(あけたつのみこ)は、伊勢の品遅部君(ほむぢべのきみ)、伊勢の佐那造(さなのみやすこ)の祖先で、三重県の多紀郡にご鎮座する「佐那神社」さんに、お祀りされています。

また曙立王(あけたつのみこ)のは、菟上王(うなかみのみこ)といい、比賣陀君(ひめだのきみ)の祖となります。


ご神意を確かめる「誓約(うけひ)」

垂仁天皇にとっては、開花天皇の同じ孫の“従兄弟”(大俣王)の子どもにあたりますね。

ちなみに、寵愛した妻の沙本毘賣(さほびめ)と、謀叛を起こしたその兄の沙本毘古(さほびこ)と、も、この日子坐王(ひこいますのみこ)の二人目の妃の御子でしたね。


垂仁天皇は、さっそく、曙立王(あけたつのみこ)をお呼びになり、「誓約(うけひ)」をおこなわせました。

誓約(うけい)」とは、善悪や正しいかどうか神様のご神意を吉凶判断でうかがうということ
これまでも、天照大御神(あまてらすおおみかみ)さまと、須佐之男命(すさのおのみこと)さまとの物語



木花佐久夜毘賣(このはなさくやひめ)さまが、身の潔白を証明するための、火をつけた小屋での出産もと、神話には、何度も「誓約(うけひ)」は出てきます。


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曙立王(あけたつのみこ)の霊力

垂仁天皇は、曙立王(あけたつのみこ)に

夢に現れた大神を拝むことによって、誠に霊験があるのであるのかどうかと確かめるのじゃ

と命じられました。
曙立王(あけたつのみこ)は、「かしこまりました」と一礼すると、次の言霊を発したのです。

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この鷺巣(さぎすの)池の畔の樹に棲む鷺よ、
出雲の大神を拝むことで、まことに霊験あるならば、
神への誓約に従って、今すぐ、地上に落ちよ!!

すると、枝に宿っていた鷺たちが、バタバタバタと
池の畔に墜ちて死んでしまったのです。

続いて、曙立王(あけたつのみこ)が、

神の契約に従い、活きよ!

と、言霊を発した次の瞬間です。
一度は死んだ鷺の命が甦り、再び空へと勢いよく羽ばたいたのでした

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―次回へ

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