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時代の狭間を生きる 本牟智和気王14回神話は今も生きていることの葉綴り。三一七

出雲の大神との約束


こんにちは。三連休の最終日。私はお仕事終わりに「ことの葉綴り。」のひとときです。
これまでの「ことの葉綴り。」神話のまとめはこちらです!

“もの言わぬ皇子”だった本牟智和気王(ほむちわけのみこ)の物語も今回で最終回となります。

母の沙本毘賣(さほびめ)を知らずに育った皇子は、大きくなっても“ものを言う”ことはありませんでした。

ところがある夜、父の天皇が霊夢をご覧になり、“もの言わぬ”原因が、出雲の大神の祟りだと伝えられます。

そこで、本牟智和気王(ほむちわけのみこ)が、出雲の大神へとお参りをしたところ、言葉を発しました

本牟智和気王(ほむちわけのみこ)は、出雲で、一宿肥長比賣(ひとよひながひめ)と結ばれて、夜を共にしますが、その正体が、肥の河の精霊の大蛇(おろち)だったことを知り、
見畏み」恐れおののき船で逃亡します。

なんとか大蛇(おろち)の追撃をかわし、大和の師木の玉垣宮の宮殿へと戻ることができました。

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すぐさま、父である垂仁天皇へと、自らの“言葉”
これまでの参拝の旅について語ります
大王こと天皇は、出雲からの早馬の知らせで、皇子の祟りがとけて、言葉を発するようになったことは耳にしていました。

誕生してから、一度も“ものを言わぬ”皇子が、
首を垂れながらも、朗々とした声で、話をしています。
父として感極まるものがありました。
熱い涙が我慢しても溢れます。

なんとめでたい。
ありがたいことじゃ。
夢で出雲の大神が語られた、あの約束を守らねばならぬ。

垂仁天皇は、本牟智和気王(ほむちわけのみこ)の後ろに控えている、お供の菟上王(うなかみのみこ)を見つめると、こう詔(みとこのり)を出されたのです

菟上王(うなかみのみこ)よ。
我が皇子、本牟智和気王(ほむちわけのみこ)の旅に、兄の曙立王(あけたつのみこ)と共に、連れ添ったことご苦労であった。
大和へと戻って早々ではあるが、しばし体の疲れを取ったのち
再び、出雲へと舞い戻り、大神の願いが叶うように大神のお鎮まりになる大社の神殿を、立派に修復造営をしてくるのじゃ。
頼むぞ。

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神話の巨大神殿は真実だった!

それから2千年以上も後の、西暦2000年3月
古代の出雲の巨大宮殿の「心御柱(しんのみはしら)」や「宇豆柱(うずばしら)」という巨大な柱が発見されました。
これは、鎌倉時代のものと推定されますが、それよりも前の時代には、出雲大社が、巨大だったこと、古代の神話が、真実であったことが証明されたのです。

垂仁天皇は、本牟智和氣王(ほむちわけのみこ)が言葉を発するなったことへの感謝と、霊夢に現れた、「神殿の修理を」という出雲の大神との約束を果たすために、信頼する菟上王(うなかみのみこ)を、出雲へと派遣して、大社の修理と造営にあたらせたのです。

さらに、父の垂仁天皇は、本牟智和氣王(ほむちわけのみこ)が、健やかになられたことを記念して、皇子の養育や周りの世話をする大湯坐(おおゆえ)、若湯坐(わかゆえ)や、
鳥の世話をする、鳥取部(ととりべ)、鳥甘(とりかい)、品遅部(ほむじべ)たちをお定めになったそうです。父の愛ですね……。

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本牟智和気王(ほむちわけのみこ)のその後……。

これで、一件落着!
無事に皇子は皇位を継がれた……………
わけではありませんでした。

垂仁天皇の父の跡を……継げなかったのです……

本牟智和気王(ほむちわけのみこ)は、この後、物語にはもう登場しません

本牟智和気王(ほむちわけのみこ)は、皇子の物語の一回目に書いたように
時代や、社会構造の変革の“狭間”で生まれた運命の子であったのです。

もし、あのまま、妃となった肥長比賣(ひながひめ)と、出雲にいたら、どうなられたのでしょうね?

見畏み
自分の”常識“や概念以上のもの、理解できないものを出会い恐れおののく
そこには、知らないものへの恐怖もありますが、
未知との遭遇という、新たな出会いがあり、
意識の拡大、変容が起こりますよね。

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時代の狭間をどう生きるか?


神話は今も生きている!
今も、肥長比賣(ひながひめ)とに、この運命の皇子本牟智和気王(ほむちわけのみこ)が、夫婦神としてお祀りされている神社「富能加神社(ほのかじんじゃ)」があるのは、なんだか、よかったな~って思います。
しかも、ご先祖である初の夫婦神の伊邪那岐命・伊邪那岐命(いざなぎ・いざなみのみこと)もご一緒で!

みなさんは、どう感じられますか?

令和三年の今も、時代と社会の変革期ですね。
私たちが“当たり前”と思っている古い概念が崩れ去るかもしれません。

時代の狭間を生きた、運命の皇子、本牟智和気王(ほむちわけのみこ)なら、今の令和をどうご覧になっているのでしょうね?

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―次回へ

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