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三人の御子の決意 伊須氣余理比賣 神さまも“失敗”して成長した ことの葉綴り。二二六

母、伊須氣余理比賣(いすけよりひめ)の歌

こんばんは。月曜日、朝からの仕事の締めくくりの前のひとときに、少しの間、「ことの葉綴り。」に向かいます。

神話の物語……。
初代、神武天皇の皇后、伊須氣余理比賣(いすけよりひめ)は、
義理の息子の御子、当芸志美美命(たぎしみみのみこと)に、執拗に求婚をされて、受けてしまいました。
ところが、当芸志美美命(たぎしみみのみこと)の目的は、
皇位継承

皇后である伊須氣余理比賣(いすけよりひめ)の3人の御子がいては、自分が皇位を継げません。
そのために、御子たちを亡き者にしようと陰謀を企んでいました
それに気づいた母の伊須氣余理比賣(いすけよりひめ)は、
御子たちを助けるべく、行動に出ます。

二つの歌を詠んで、その危機を知らせたのです。

狭井川のほうから、雲が湧き起こり、畝傍山の、木の葉が、ざわざわと鳴って騒いでいます。今、風が吹こうとしているのです。

どうか、どうか、私の尊い大切な御子たちに、この真実のメッセージが届きますように! 祈りを込めて歌いあげました。

そして、この歌を、家臣のものに托したのです。

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三人の御子の決意

初代の神武天皇と伊須氣余理比賣(いすけよりひめ)の間には、
長男、日子八井命(ひこやいのみこと)
次男、神八井耳命(かむやいみみのみこと)
末っ子、神沼河耳命(かむぬまかはみみのみこと)がおりました。

三人の御子たちは、そろって、母、伊須氣余理比賣(いすけよりひめ)が詠んだ歌を聞いて、たいそう驚いたのです。

こ、これは……畝傍山といえば、義兄の当芸志美美命(たぎしみみのみこと)がいるところ。そこが嵐が起ころうとしている……。

母上からの、私たちへの密かなメッセージなのではないか?
義兄が皇位継承をするには、私たちが邪魔なはずです。

けれど……まさか、私たちを狙うことまでするでしょうか?

そのときです。歌を伝えにきた家臣のものが、
御子さまがた。皇后さまの歌はもう一首ございます。
と、二つ目の歌を詠みあげたのです。


畝傍山(当芸志美美命⦅たぎしみみのみこと⦆)は、昼間は雲とともに静かに流れていますが、夕方になると、嵐のような風を吹く前触れとして、木の葉がざわざわとざわめき騒いでいます。

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な、なんと……これは、やはり……私たちを殺そうとしていると、母上が、我らに訓えてくださっているのだ!

でも、どうしたらいいのでしょう? 

……大変なことになったな……。

三人の御子たちは、悩みに悩みぬいた末、一つの決断をします。

皇后の御子の継承者である私たちが、亡き者にされる前に、先手を取り、当芸志美美命(たぎしみみのみこと)を撃とう!

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運命の夜

そう結論を出してからは、武具や家臣ものたちなど、準備万端そろえました。そして、ある夜、当芸志美美命(たぎしみみのみこと)の館へと、やってきていました。

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そのとき、末っ子で三男の神沼河耳命(かむぬまかはみみのみこと)は、次兄の神八井耳命(かむやいみみのみこと)に、

さあ、兄さん、今こそ、この武器を手にして、中へと入り、当芸志美美命(たぎしみみのみこと)を殺してください!

ああ、そうだな。わかった

次兄の神八井耳命(かむやいみみのみこと)は、武器を手にして、館の中へと足を踏み込みました
そして当芸志美美命(たぎしみみのみこと)を見つけたのですが、
いざ、足を出そうとすると、手足がわなわなと震えていて動けなくなってしまいました
怖気づいてしまったのです。

目的の当芸志美美命(たぎしみみのみこと)は、すぐそこにいます。もし気づかれたら一貫の終わり。
一刻の猶予もありません。

けれど、次兄の神八井耳命(かむやいみみのみこと)の、体の震えはおさまりません。
それどころか、さらに全身に震えが走っていて、顔面蒼白になっています

もう時はありません……。


あっあっ……。

震えから武器の刀が手から滑り落ちそうです……。


いったいどうなってしまうのでしょう?!

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―次回へ


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