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書く部|みんなでつくるマガジン

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メンバー同士、もう少し交流というか「あ、どーも」があっていいのかなと。記事を書いたら(よければ)放り込んでください。ぜひ、あなたも読んでください。基本はその日の記事を、あと「これ…
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#読書感想文

みんなでつくるって素敵やん?書く部「共同運営マガジン」はじまる

ねー、そなんですよ。 昨日もつぶやいたけど、うちのメンバーシップ「書く部」の共同運営マガジンができました。わたしもよくわかってなかったんですが、みんなで記事を放り込めるんですね。だから「共同運営」なるほど~、さっそく盛り上がってるみたいです(ありがとうございます!) なんで急につくったか。暇なのか?春だから、新しいことやってみたかったのか?どれも間違っちゃないけど。 一番の目的は「メンバー同士の交流」です。いや、メンバーシップつくった当初から、そーなればいいな。書く仲間

「女生徒」太宰治 読書感想文

こんなみんなが知っている、大作家の読書感想文なんて畏れ多くて書けない。有名な評論家が今までたくさん書評を書いてきたであろう。ここでわたしが読書感想文を書いたところで、深くは読み解けないだろう。 でも書く。だって素晴らしいから。太宰治作品を全て読んだわけでもなく、詳しいわけでもないのに書く。だからなんだこりゃ。と思われても結構。わたしなりの感動した気持ちを伝えたい。 この作品はある女生徒の一日を描いたものだ。朝目が覚めてから夜お布団に入るまでの他愛もない一日。 この女生徒はと

「その悩み、抱えたままでいい?」と自分へ尋ねることが出来る本

今のわたしこそ、この本を読まなくちゃ。かぼたるさんの記事を読んだ後、大慌てで本屋さんへ行きました。 その本とはこちら。 可愛らしい絵柄のわりに、パンチの効いたタイトル。グワンっと衝撃を受けたのです。 日々たゆまず、真面目に生きてるつもり。つもりなんだけど、「ほんまに?」て自分へ問いたくなったというか。漫然としてる、なんとなく彷徨ってる。そんな感覚も実は持ち合わせてて。浮かんでるような、漂ってるような、ふわふわした感じ。 臆することなく、そんな気持ちと向き合いたい。そう

noterさんにぜひお贈りしたい二つの言葉   『ある生涯の七つの場所2』100の短編が 織り成す人生絵巻/夏の海の色 第三回

連作短編『ある生涯の七つの場所2/夏の海の色』第三回。これで『夏の海の色』は完結です。 上記は「黄いろい場所からの挿話」のラストで、アメリカへ留学する恋人エマニュエルとの別れを決めていた「私」が、考えを翻す場面です。 それは、やはり、いつかくるはずの、より完成された形までの、準備にすぎなかった。 お読みくださるみなさんにお贈りしたいのがまずこの言葉です。今自分がやっていることは、いつか手に入れるであろう成功や幸福の準備にすぎないのだ、そんなふうに考えてはいないでしょうか?

『天草の雅歌』恋愛小説、経済小説、極上のエンターテインメント!

発行年/1971年 辻邦生さんの二作目の歴史小説は、江戸初期の長崎を舞台にしたミステリー仕立てのエンターテインメントです。小説は何通りもの読み方ができるのがよい、と言ったのが誰だったかは忘れたけれど、『天草の雅歌』は恋愛小説であり経済小説でありそして、詳細な史料研究に基づいた、優れた歴史小説として楽しむことができます。 本作とは関係ないけれど、何通りもの読み方ができるという意味で言うと例えばトーマス・マンの『ブッデンブローク家の人びと』や、トルストイの『戦争と平和』などがそ

『ある生涯の七つの場所2』/夏の海の色 第二回 「海峡」 戦争とは、平和とは?

連作短編『ある生涯の七つの場所2/夏の海の色』第二回になります。第一回及び『ある生涯の七つの場所』については以下をご覧ください。 今回は、「黄いろい場所からの挿話」「赤い場所からの挿話」それぞれ三つずつの短編の中でも、特に「黄いろい場所からの挿話Ⅻ.海峡」について書きたいとおもいました。 今このときも、世界のあちらこちらで戦争が続いています。「海峡」は例によって直接戦争を扱った作品ではないけれど、読み終わったとき、今も続いている戦争について、どうしても考えないわけにはいきま

声の奥深さに驚かされた、わたしです

わたしは思うのです。声にはその人が現れる。ね?思いませんか。 会話の内容があると、もちろんそうなのですが。「はじめまして。○○です」という、ごくありふれたセリフとて、その人がどんな人か見えてくる。 大きな声か、小声か。ぶっきらぼうで投げ捨てるように言ったか、隙があればフェードアウトしちゃいそうか。やわらかい音か、淡々とした一定音か。こんな感じで、特徴があるよねーて、ひとり仮説を立てては楽しんでました。 そんな妄想研究を繰り広げてたら、ある日インスタグラムに、こちらの本が

最近読んだ本たち(2024年5月分)

2024年5月の5冊5月前半は落ち着いていて、本を読みつつゴールデンウィークを満喫できた。 後半は忙しかったので、読書はやや失速。毎月言っているけれど、「もっと読みたいなあ」と思った。 ひと月に50冊読みます! なんていう方はどんな暮らしをしていて、どんなふうに読んでいるのだろう。羨ましい……!! 『傲慢と善良』 辻村深月 ベストセラーになった小説をわたしがタイムリーに読めることは少ない。ワンテンポあとどころか、10年後くらいに読むのだってざらだ。「あ」とか言っている

『ある生涯の七つの場所2』100の短編が織り成す人生絵巻/夏の海の色 第一回

連作短編『ある生涯の七つの場所2/夏の海の色』その第一回です。「黄いろい場所からの挿話Ⅷ・Ⅸ」「赤い場所からの挿話Ⅷ・Ⅸ」の紹介です。『ある生涯の七つの場所』についてはこちらをご覧ください。 1.「黄いろい場所からの挿話」「赤い場所からの挿話」についてここで一度、ここまでの、それぞれの物語の全体像についてお伝えしたいとおもいます。先に取り上げた『霧の聖マリ』が、二つの色の前半になります。『夏の海の色』と題される一連の短編は、その後半です。 ・「黄いろい場所からの挿話」につ

運ばれるわたし

読書が能動的な営みであるかと聞かれたら、わたしは「ノー」と答える。かといって、読み手は受け身に徹しているかというとそうでもない。 先月、『夜ふかしの本棚』という本を読んでいたら、朝井リョウさんが『雪沼とその周辺』(堀江敏幸)を紹介されている箇所にあたった。 そこには、好きだと感じた文章はその人を運んでくれるという意味のことが書かれていた。優しくも鋭い読書論が、心に残って仕方がない。 『夜ふかしの本棚』は、朝井リョウさんや円城塔さんら6人の作家が思い出に残る本、好きな本な

思わず電車を降りすごしたエッセイ。

またやっちゃいました。 昔から読書に集中すると、周りの音や声が耳に 入らなくなります。 気づいたら目的地から3駅通過。 芸人さんの書かれた本を読むのは、 麒麟の田村裕さんの「ホームレス中学生」以来。 あれも衝撃的だったなあ。200万部のベストセラー本ですね。 オードリーの若林さんが書かれたこちらの本。 若林さんは幼いころから人と違うことに生きづらさを感じていました。 40歳近くになってやっと少しずつ解放されてきたと言います。 若林さんのように日常の違和感にひとつひとつ

『安土往還記』イタリア人船員の「私」が語る信長と、辻邦生が安土城に見ようとしたもの

発行年/1968年 『安土往還記』は辻邦生さんの三作目の長編です。 その昔、村上龍氏は二作目にあたる『海の向こうで戦争が始まる』のあとがきで、友人のナントカいう人物(名前は忘れました)に、二作目に当たる作品を書いたよ、といったら、処女作は云々で(そこも忘れました)、二作目はその勢いで書ける、作家としての技量が本当に見定められるのは三作目だ、といったようなことを言われてくさった、というようなことを書かれていました。 その意味では、本作は辻邦生さんの作品の中でも作家としての立ち位

わたしも裁かれたい。きっと全noterが城崎温泉に行きたくなる。―万城目学『城崎裁判』

城崎温泉でしか買えないご当地本。 もうこの時点でわくわくなんですが、 万城目学氏の書下ろし小説があるというではありませんか! これは絶対に面白い!まちがいない!読みたい!今すぐに! しかしネットでは買えない。 城崎温泉に来てもらうための撒き餌である。 よろこんで食いつこうじゃないですか。 ということで。 まんまと策略にはまり、城崎温泉に行ってきました。 城崎温泉といえば、やっぱり志賀直哉の『城崎にて』。 2013年、志賀直哉の来湯100年を機に、次なる温泉地文学を生み

少女小説の語らぬ先〜 『本屋さんのダイアナ』感想文

世の中にはいろんなハラスメントがあるけれど、ハラスメントに対峙したり回避したりする方法を、私たちはきちんと教わってきただろうか。 ってことを、この本を読んで強く思った。 柚木麻子さんの著書『本屋さんのダイアナ』。 感想と雑感です。ネタバレあります。(約2000字) 単行本は2014年に発行されました。(やっと読めた) 📕ダイアナと彩子 主人公はダイアナという名の女の子。なんと漢字で「大穴」と書く。れっきとした日本人で母親はキャバ嬢のシングルマザー。この母親の影響でダイ