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「女生徒」太宰治 読書感想文

こんなみんなが知っている、大作家の読書感想文なんて畏れ多くて書けない。有名な評論家が今までたくさん書評を書いてきたであろう。ここでわたしが読書感想文を書いたところで、深くは読み解けないだろう。
でも書く。だって素晴らしいから。太宰治作品を全て読んだわけでもなく、詳しいわけでもないのに書く。だからなんだこりゃ。と思われても結構。わたしなりの感動した気持ちを伝えたい。

この作品はある女生徒の一日を描いたものだ。朝目が覚めてから夜お布団に入るまでの他愛もない一日。
この女生徒はとにかくずっと考えるている。心の中で1人で会話をしまくっている。途切れなく考えていておかしくなってくる。自分の容姿から、飼っている犬、持っている雨傘についての想像、電車の様子、学校のこと…ひとつひとつにケチをつけたり、想像を膨らませたり、頭の中で次から次へとひっきりなしに考えていく。すごいスピード感。
言葉遣いはいかにも思春期の女生徒らしい。

けさ、電車で隣り合せた厚化粧のおばさんをも思い出す。ああ、汚い、汚い。女はいやだ。自分が女なだけに、女の中にある不潔さが、よくわかって、歯ぎしりするほど、厭だ。

この部分など思春期の女の子そのものだ。わたしも思春期の頃はそう思ってたかもしれない。
終始イライラしているところも思春期特有だ。そしてそのイライラは家族に関係あるのもまた、わたしには覚えがある気がする。

いまに大人になってしまえば、私たちの苦しさや詫びしさは、可笑しなものだった、となんでもなく追憶できるようになるかも知れないのだけれど、けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を、どうして暮らしていったらいいのだろう。誰も教えてくれないのだ。

この小説が書かれたのが昭和14年。戦前に書かれたとは思われない、現代の思春期の子にも充分共感できる文章。昔から何も変わっていないのかもしれない。人の気持ちは、家族を思う気持ちは今も昔も変わりないように思う。この女生徒の気持ちに救われ、共感する人は今でもたくさんいるだろう。

ところで太宰治はどうしてこうも女の気持ちがわかるのだろう。「斜陽」といい、女性が書いたのかと思われるほど、女性のことがわかっている。いや、女性よりも女性らしいと言っても過言ではない。天才。と言ってしまえばそれまでだが、どんな理由があるのだろう。

今、わたしはちくま日本文学全集「太宰治」を読んでいる。この中に収録されている「女性徒」を感想で書いてみた。
まだ途中だが、どの作品も読みやすく、とても面白い。読み進めていくにつれて太宰治のことがもっとわかっていくようになればいいと思う。
 
以上拙い読書感想文でした。




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