元サラリーマン中医師の『こねこね中医学』

元サラリーマンの中医師が、中医学をこねこねしています。 中国語論文をもとにした中医学論…

元サラリーマン中医師の『こねこね中医学』

元サラリーマンの中医師が、中医学をこねこねしています。 中国語論文をもとにした中医学論文読解(エビデンスの質は高くないかも)、 中国で発信される中医学記事の翻訳などなど。 ワケあって日本に帰国、ただいま鍼灸学校在籍中です。お勉強のネタなどもご紹介します。

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最近の記事

ANKIから暗記カードを作る方法

 この記事を読むと、ANKI内のデータをもとに下記ツイート内の動画のような暗記カードを作成できるようになります。 紙ベースもやっぱり重宝する 今学期の授業で徒手検査を学んでいます。他の科目同様にANKIでデータを作成します(僕の学校では70種類の徒手検査を学ぶんですよ・・・)。  ANKIは暗記カードを模したものですが、実は「覚える」という作業にはあまり適していません。忘却曲線をもとにリマインドを促すことで「忘れない」ためのツールなのです。  まず事前に「覚える」作業を終

    • 腕踝鍼って、実は切皮すらせずとも即効で効いちゃうんじゃないの?

       最近Twitterで腕踝鍼というのを知りました。  中国発のフレームワークなのですが、留学中は全く知りませんでした。調べてみると、やはり頭皮鍼ほどメジャーでないものの、とくに疼痛に絶大な効果を発揮するといいます。今回はそんな腕踝鍼についての論文を紹介します。 さいしょに 腕踝鍼というのは、身体を6つのエリアに分け、それぞれが呼応する腕・足関節上の6つの「鍼刺点」を取穴する方法です。中国の鍼灸では「得気(いわゆる鍼感)なくして効果なし」と教えられますが、表皮層にのみ刺鍼し

      • 鍼灸学校での勉強方法:1年生4学期目(2021年12月~2月末)

         月日が経つのは早いもので、21年4月に入学して以来バタバタと生活していたら、ふと気づけばもう学期末になりました。私生活(仕事、育児)との両立を果たすがための勉強法の工夫もほぼ固まりかけて安定していたものの、22年を迎えてからは娘の登園自粛もあり、なかなかに落ち着きのない日々でした。 目標 22年1月上旬よりコロナ第6波が始まりました。娘の通う保育園は閉園こそしないものの、これまでにない感染者数増加は、登園させる気を削ぐ勢いでした。幸い僕も妻も在宅勤務なので、仕事を休むこと

        • 鍼灸学校での勉強方法:1年生3学期目(2021年9月中旬~12月初旬)

           3学期目が始まった当初、「学習時間が足りなかった!」という2学期に比べて楽観的でした。理由のひとつはとかく学習負荷の高い解剖学系の科目がひとつ減ったこと、もうひとつは9月から在宅勤務になったことで学習時間が増えたことでした。  ・・・が、ふたを開けてみれば(2学期ほどの焦燥感はないものの)負荷を高く感じ、いつもどおり試験前はヒヤヒヤした学期となりました。そんな3学期を振り返ります。 目次目標(ゴール) 学習環境 前学期からの改善点 学習教材、ツール 定期テストの結

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        • 学習方法
          6本
        • 中医学論文読解
          5本
        • 中医学翻訳記事紹介
          2本
        • 自己紹介と留学時の話とか(転載)
          4本

        記事

          鍼灸学校での勉強方法:1年生2学期目(2021年7月~9月中旬)

           2学期開始早々に「今回は学習ボリュームに対して時間が絶対足りないぞ」という予感がありました。そのため学習方法をさらに効率化させる必要に迫られました。また前回の教訓「ANKI設問とテスト設問の着眼点の違い」、こちらも対応が必要です。 目標(ゴール)1.学習方法をさらに最適化する 2.シンプル化してもテストのスコアで実績を出す  学習方法をシンプル化して、その弊害でスコアが下がっては本末転倒です。最終的なアウトプットはテストのスコアなわけですから、ここは譲れません。 学習

          鍼灸学校での勉強方法:1年生2学期目(2021年7月~9月中旬)

          鍼灸学校での勉強方法:1年生1学期目(2021年4月~6月末)

           2021年から通っている鍼灸学校での学習方法について、学期を終えるごとなど節目節目でたどっていこうと思います。  まずは1年1学期目。入学前に登録販売者試験対策でiPadなどたデジタル機器を用いての学習がどのようなものかを試験運用したのですが、かなりイイ感じだったので鍼灸学校の3年間もこれをブラッシュアップして進めようと思いました。 目標(ゴール)「学校定期テストで高得点を取得する!」  1年生の時から国家試験を意識して学び・・・という人もいるかもしれませんが、まだ先の

          鍼灸学校での勉強方法:1年生1学期目(2021年4月~6月末)

          鍼灸・耳ツボダイエット、効果が高いのはどっち?

           春めいてくると装いも軽やかになり、ダイエットに関する話題が増え始めます。様々なダイエット方法がありますが、中医学を用いたダイエットに興味のある方も少なくありません。日本では鍼を刺さないタイプの耳ツボダイエットの広告もよく見かけます。はたして効果はあるのでしょうか。 さいしょに 「運動も併用しないと十分に効果がないよ」。んなこたぁわかってるんですよ。なるべく楽にダイエットしたいじゃない・・・。「運動や食事制限をせずに純粋に中医学の処方のみ」の論文があったので読み解いてみます

          鍼灸・耳ツボダイエット、効果が高いのはどっち?

          【翻訳】鍼灸ダイエットの問題と対策

           辽宁中医药大学という大学の学報に掲載された鍼灸ダイエットについて書かれた文章の翻訳です。週末の空き時間にtwitterに書いたものをnoteに並べました(つまり細かな推敲や見直しをしていない)。原著は「私(著者)が思うにこんな問題があって、対策はこんなのがあるんじゃない。一緒に討論しようぜ」という目的で・・・いや、そんなにライトではないでしょうが・・・書かれているもので、システマティックレビューなどではありません。一部クドクドしたところは適宜割愛していますので、気楽な翻訳モ

          【翻訳】鍼灸ダイエットの問題と対策

          留学記第4話 『プロフェッショナル 留学の流儀』 ~イクメン・イケメン、ボク脱サラ留学生メン~

          本記事は過去に日本中医学会内のコンテンツ『中国からの留学生便り』に複数投稿したものをもとにしています。本noteの自己紹介に代えて転載します。「こんな奴が書いてるのか」と参考になれば。 ♪トーン(ピアノの音)  「おはようございます」と寝室から出てきた彼は笑顔でいった。朝、5時半。脱サラ留学生の朝は早い。 「病院実習の前に、子供を保育園に送るんですよ」。彼には3歳の娘がいる。「でもまず自分の朝食を済ませないとね」。彼は台所でチーズサンドイッチを作り、コーヒーとともに流し込

          留学記第4話 『プロフェッショナル 留学の流儀』 ~イクメン・イケメン、ボク脱サラ留学生メン~

          留学記第3話 中国で医者を目指していたら役者になっていた

           あ・・・ありのまま起こった事を話すぜ!おれは中国で医者を目指していたら、いつのまにか役者になっていた。何をいっているかわからねーと思うが、おれもどうしてなのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった。恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・。 本記事は過去に日本中医学会内のコンテンツ『中国からの留学生便り』に複数投稿したものをもとにしています。本noteの自己紹介に代えて転載します。「こんな奴が書いてるのか」と参考になれば。  というわけで、今回は中国で役者をやったお話で

          留学記第3話 中国で医者を目指していたら役者になっていた

          留学記第2話 郷に入っては郷に従うか

           中国で暮らしていると食事や景観などに隣国の距離感ならではの類似点を多く認める一方、習慣面などに「ここまで違うのか」と驚くことが少なくありません。このようなギャップにどう対応するのかにこたえる諺があります。「郷に入っては郷に従え」です。 本記事は過去に日本中医学会内のコンテンツ『中国からの留学生便り』に複数投稿したものをもとにしています。本noteの自己紹介に代えて転載します。「こんな奴が書いてるのか」と参考になれば。  ある実習で出会った事例をご紹介します。当時私は鍼灸

          留学記第2話 郷に入っては郷に従うか

          留学記第1話 自己紹介と来中当時のお話(転載)

           みなさんこんにちは。これから「留学生便り」に投稿させていただく、『脱サラ留学生』と申します。すでに中国の中医薬大学を卒業し、現在は中国某都市で2019年の医師国家試験受験を目指してインターンと試験対策の日々を送っております(※投稿当時)。 本記事は過去に日本中医学会内のコンテンツ『中国からの留学生便り』に複数投稿したものの初回文章です。本noteの自己紹介に代えて転載します。「こんな奴が書いてるのか」と参考になれば。  「留学生便り」は日本におられる方に中国の中医事情な

          留学記第1話 自己紹介と来中当時のお話(転載)

          中国留学時代に読んだテキストの元になった講義映像がYoutubeにあった

           留学時代に大学テキスト以外に「講義録」系のテキストをよく読んでいました。大学の講義は教科書の朗読会のようなんですよね。いわゆる「現場経験のある人のリアルな話」的なのを聞く機会はそんなになかったんです。しかもたまにそういう機会があったとしても、僕の中国語スキルではすべてを聞き取れたわけでもなく、というわけでメモも十分に取れず。  そんなジレンマを解消してくれるのが「講義録」系のテキストでした。大学テキストに比べると必ずしもきれいに整理されているわけではないけれど、とても勉強に

          中国留学時代に読んだテキストの元になった講義映像がYoutubeにあった

          【論文読解】鍼治療のビリビリ感は強いほど効くの?

           日本と中国の鍼灸を比較する例えとして「中国の鍼は刺激が強く、効果が高い」といわれます。伝統中医学の教育においても「得気(鍼特有のビリビリ刺激)が不可欠」と教わります。でもその「刺激が強い」って治療上必須なんでしょうか。強いほど効果があるのでしょうか。 さいしょに 『得気』、もしくは『鍼感』(厳密にはイコールではない)は伝統中医学の鍼灸においては避けて通れない概念です。この用語が使われる文脈は様々ですが、よく「得気があってこそ経絡の気の流れをよくし、治療効果が上がる」といわ

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          中年おじさんが異業種フルタイム勤務とガチ育児をしながら登録販売者を3か月勉強して合格した話

           この記事では、わたしがどのような勉強をして登録販売者資格を取得したかをご紹介します。タイトルは釣りです。もちろん事実でもあります。「登録販売者ってなんだ」とか、「どんな問題が出るんだ?」という情報は、ほかのサイトを参照ください。 学ぼうとした動機と、タイトルの「中年おじさん」って誰?という話 中国で中医学を学んだオッサンです。どうにかこうにか中医師資格を取得するに至りましたがコロナ禍により臨床経験を十分積む前に帰国しました。家族の希望で中長期的に日本に残ることになりました

          中年おじさんが異業種フルタイム勤務とガチ育児をしながら登録販売者を3か月勉強して合格した話

          【翻訳】中医アンチからファンへ。コンテナ病院の物語が中医の自信を伝える。

           1/17午前、河南省の政協会議開幕式が行われました。開幕式前には十名の協委員が委員チャンネルを通じ記者の質問に回答しました。河南省政協委員で河南省中医院副院長である郭福増は、自身が武漢抗疫最前線にいた際、ある三人家族に出会ったといいます。そのうちの息子について、アンチ中医から中医ファンに変わったというエピソードを語りました。  2020年初め、新型コロナウイルスが突如到来しました。郭福増は武漢最前線に急遽赴いた医師の1人として、この偉大なる抗疫戦争を目の当たりにしました。

          【翻訳】中医アンチからファンへ。コンテナ病院の物語が中医の自信を伝える。