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中医学論文読解

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中国語論文について読解するnoteをまとめています。
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記事一覧

腕踝鍼って、実は切皮すらせずとも即効で効いちゃうんじゃないの?

 最近Twitterで腕踝鍼というのを知りました。  中国発のフレームワークなのですが、留学中は全く知りませんでした。調べてみると、やはり頭皮鍼ほどメジャーでないものの、とくに疼痛に絶大な効果を発揮するといいます。今回はそんな腕踝鍼についての論文を紹介します。 さいしょに 腕踝鍼というのは、身体を6つのエリアに分け、それぞれが呼応する腕・足関節上の6つの「鍼刺点」を取穴する方法です。中国の鍼灸では「得気(いわゆる鍼感)なくして効果なし」と教えられますが、表皮層にのみ刺鍼し

鍼灸・耳ツボダイエット、効果が高いのはどっち?

 春めいてくると装いも軽やかになり、ダイエットに関する話題が増え始めます。様々なダイエット方法がありますが、中医学を用いたダイエットに興味のある方も少なくありません。日本では鍼を刺さないタイプの耳ツボダイエットの広告もよく見かけます。はたして効果はあるのでしょうか。 さいしょに 「運動も併用しないと十分に効果がないよ」。んなこたぁわかってるんですよ。なるべく楽にダイエットしたいじゃない・・・。「運動や食事制限をせずに純粋に中医学の処方のみ」の論文があったので読み解いてみます

【論文読解】鍼治療のビリビリ感は強いほど効くの?

 日本と中国の鍼灸を比較する例えとして「中国の鍼は刺激が強く、効果が高い」といわれます。伝統中医学の教育においても「得気(鍼特有のビリビリ刺激)が不可欠」と教わります。でもその「刺激が強い」って治療上必須なんでしょうか。強いほど効果があるのでしょうか。 さいしょに 『得気』、もしくは『鍼感』(厳密にはイコールではない)は伝統中医学の鍼灸においては避けて通れない概念です。この用語が使われる文脈は様々ですが、よく「得気があってこそ経絡の気の流れをよくし、治療効果が上がる」といわ

参考書籍、サイト一覧

このnoteは、以下の書籍、サイトなどを参考に作成されています。 論文の読み方についてゼロから始めて一冊でわかる!みんなのEBMと臨床研究 Twitterで「EBM初心者向けのテキストないかな」となんとなくツイートしたらおすすめいただいた書籍。内容はタイトルの通り。優しい切り口。さらにもう一歩踏み込んで、自分でも論文を書く場合のガイダンスもある。 視野を広げるエビデンスの読み方―医学論文を読んで活用するための10講義― 著者が実施した研修会がもとになっているという本。臨床

【論文読解】顆粒と飲片(生薬)はどっちが効くのかな

 日本で販売される漢方は顆粒か液剤タイプですが、中国の公立病院では生薬が処方されることがほとんどです。服用のためには様々な工程がありとても面倒なものです。はたしてその不便さに勝る薬効があるのでしょうか。 さいしょに 中国の多くの公立病院では、一般に中医薬は『飲片』とよばれる形態で処方されます。これは生薬を工場でスライス、乾燥などの下処理を施したものですが、ご丁寧に生薬それぞれが一回分ずつ空気を含むビニール袋に個別包装されていてとてもかさばるもので、患者さんたちは大荷物で帰宅