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手越力 ―勝ち抜いてきた強さの理由―

2020年8月5日に書籍「AVALANCHE -アバランチ- 雪崩 」(双葉社)を出版した元ジャニーズでNEWSのメンバー手越祐也さん。「NEWSメンバーは戦友」「山P(山下智久さん)とのセンター争い」「ジャニーさんとのお別れ」等、ジャニーズのスーパースター目線で現役時代の話をこれほどまで赤裸々に綴った内容に世間は度肝を抜かれました。

実はこの書籍、第一線で勝ち抜いてきた手越さんの強さの理由や、今まで語られることが無かったジャニーズの内部も感じられる一冊となっています。
エンタメ業界に勤務される方や、インフルエンサーとして活躍されている方、MCN事業を行っている方にとっても有益な情報が満載。書籍を通して見えてきた「手越力」を分析してみました。【全文無料】

業界激震!スター目線でジャニーズを語る“破壊力”

書籍購入後、Twitterにレビュー動画をアップしたところ、多くの手越さんファンの皆様から“いいね”、“リツイート”で拡げて頂きました。「(手越さんに)直接、伝えて励ましてあげて下さい」とDMを下さった方も居ました。

私は全く気にも留めていませんでしたが投稿した日、SNS上には出版に関する厳しい意見が並んでいました。そんな状況であっても「好きなものは、“好き“」と意思表示できる皆様の素晴らしさ。正に「手越力」の1つ「手越さんとファンとの深い繋がり」です。この文章は手越さんとファンの皆様へ、御礼を込めて書かせて頂きます。

ジャニーズ事務所というのは巨大エンターテインメント組織です。しかし今まで内部がどのような体制か、語られる事は余りなかったように思います。

手越さんは書籍でジャニーズ事務所や、所属スター達へ感謝を述べながらも、第一線で活躍してきた際に見てきた景色や組織の内部の話を惜しげもなく披露しています。

突き抜けたスーパースターになるには、ちょっとやそっとの事では折れない強靭なメンタルが絶対に必要です。バッシングをいちいち気にしてしまうメンタルであれば、何十万人、何百万人の観客の前でパフォーマンスなんてできません(「第4章」p.143)

(後輩アイドル達に送ったアドバイス)「売れれば売れるほど、アンチは増えるからね。(中略)スーパースターに近づいていけばいくほど状況はガラリと変わっていくものだよ。もちろん応援してくれる人の数は格段に増えるよ。それと同時に文句を言う人も100人から200人、300人、1000人と増えていく。ス―パースターは鼻につくからね。」(「第6章」p.201)

突き抜けたスーパースターの実体験に基づく言葉は「重み」が違います。
書籍を読むと伝わってくるのはジャニーズに所属しているスターは、大変な努力家であるということ。内部は縦社会であり、先輩後輩の関係性が明確化された体制である事も理解できると思います。

ジャニーズのような大きな事務所に所属するメリットについて、

大手芸能事務所にいる意味とはなんだろうという話になります。さすがに個人の力では、東京ドームの予定を押さえるのは容易ではありません。(中略)大手芸能事務所に所属するメリットとは、ドームやアリーナを簡単に押さえられることなどになってくるのではないでしょうか。(「第4章」p.132)

と言って退ける「潔さ」。ジャニーズに興味のない方も、彼の「言いたいことを言ってしまう“生き方”」には憧れを抱くのではないでしょうか。第一線で勝ち抜いてきた戦術を知ることができる今著は、そんな方たちにこそ読み応えがあり、楽しめる内容になっています。

 【強さの秘訣】 5つの「手越力」

今回の書籍、Amazonレビューこそ高評価ばかりですが、「暴露本」と報道されてしまったことが響き、出版に関する厳しい意見がSNS上に並びました。しかし恐らく誰が書いても批判の声は上がっていたでしょう。上述の通り、いままでジャニーズ事務所を退所された方で、ここまで細かくジャニーズに関する記述を含めた書籍を出版した方は存在しなかった訳ですから。そういう意味では革新的な書籍であると同時に、次にジャニーズ事務所を離れるアーティストにとっても勇気ある「最初の一歩」を踏み出してくれたと言えるでしょう。

書籍を読み進めるなかで、私は5つの「手越力」こそ、強さの秘訣ではないかと感じるようになりました。

【強さの秘訣】5つの「手越力」
【1】自己プロデュースに長けている
【2】起業家精神(アントレプレナースピリット)
【3】逆境すらチャンスに変換できる強さ
【4】努力という礎を基にしたポジティブ思考
【5】ファンとの深い繋がり

詳しくは後述して参ります。

◆ 手越力【1】 自己プロデュースに長けている

手越さんは今著の出版会見で「ジャニーズとの区切りを付けたいという意味で、ノーギャラでも出したかった。総バッシング覚悟で出版しました。」とお話しされています。

「ノーギャラでも出したかった。」

私はこの発言に、彼の頭の良さを認識させられました。

手越さんはジャニーズという巨大な組織に18年間、所属してきました。そのため事務所を退所するとどうなるかスターとして活躍してきた彼自身が一番その内情に詳しい人物ではないでしょうか。退所したことで、一定期間、地上波テレビ番組に出演できなくなってしまうことは全て想定されていたと考えられます。

しかし18年間所属していたジャニーズの話題を、公の場(メディア)で、一切、話せなくなってしまう。これは自由奔放な発言をしてきた破天荒なキャラクターからして痛手となってしまいます。この書籍を一回、出版することで「ジャニーズ時代の話を書籍にして出版してしまった」という「既成事実」が生まれました。〝ジャニーズで学んだこと〟などポジティブな話題であれば、公の場で話しやすい環境づくりに繋がっていきます。

これはいままで退所したメンバーでは成し得なかったこと。一見すると「自分勝手だ」と、今回の出版に関して厳しい意見が挙げられることも理解できます。しかし長い目で見るとジャニーズ側、退所したメンバーにとって両者の利益が一致する、WIN-WIN(ウィン-ウィン)の関係性を生む可能性があります。

ジャニーズは一人一人が努力家の集団でありスター揃いなのは間違いないのですが、猛烈な競争にさらされているという側面もあります。テレビと共に成長してきたジャニーズの所属スター達にとってテレビが力を失いはじめ、新しいメディアや動画共有サービスが規模を拡大して成長している昨今。主力グループやメンバーの脱退・退所がつづき、新たなアーティストの勢力が出現してきた際、屋台骨が揺らぐ瞬間が発生するかもしれません。

そんな時、「退所メンバーが、ジャニーズでの体験を語ること」、「現役メンバーが退所メンバーの話で話題を繋ぐこと」で、持続的にメディアに話題を提供するサイクルを創り上げることも可能となるのです。

そこで大切なのは信頼関係。この書籍はジャニーズに対して終始、感謝を伝える内容であり「ジャニーズと対立することはなく、応援する側に回ります」という意思をジャニーズ側に伝えています。

バラエティで大御所のお笑いタレントさんたちとからむときは、呼吸と間合い、瞬発力が勝負です。(中略)立ち回り一つで、話しが面白くなれば、つまらなくもなります。(中略)僕らタレントが良い撮れ高の素材を渡し、それをディレクターが巧みに調理して、大笑いできる最高の番組に仕上げる。僕はバラエティ番組のなんたるかを最前線で勉強することができました。(「第5章」p.153)

長らくバラエティ番組で立ち回りや空気を読む才覚を鍛え上げられた手越さんは、常に自身を「スター・手越祐也」として、客観的に分析してきたのではないでしょうか。書籍でも語られていますが、手越さんは「2021年3月末日」でジャニーズ事務所を退所することが確定しており、週刊誌の報道をきっかけに退所時期が早まったというのがジャニーズ幕引きの真相です。退所の意思を固めた瞬間から、新たな「自己プロデュース」が始まっていたのでしょう。手越さんは今後、現役メンバーと退所メンバーの間(はざま)で、存在感を増していく「キーパーソン」になってゆくと考えられます。

◆ 手越力【2】 起業家精神(アントレプレナースピリット)

【イノベーション(英: innovation)】
物事の「新結合」「新機軸」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する

書籍の中で「イッテQ」に出演できなくなって落ち込んでいるかと思いきや、それなら「イッテQ」のパロディ番組を制作して自分のYouTubeチャンネルで放送してしまえばいい、と新しい捉え方が出来る手越さんはイノベーションを巻き起こす存在ではないでしょうか。

「オレの進んでいる道はきっと正しいはずだ」と信じて努力を重ね、自信を持って発信し続ければ、そのメッセージに賛同する人がついてきてサポートしてくれます。人の意見を聞いて右往左往し、やり方を変えたり、急におとなしくなれば、今まで応援してきてくれた人は「なんだ。あいつの信念はこの程度だったのか」と離れていきます。だから僕は生き方を絶対に変えません。(「第6章」p.199)

今現在は、基本的に金銭欲や物欲はありません。自分の生活費を稼げさえすれば、残った稼ぎは社会貢献事業とチャリティにつぎこみたいと思っています。(「第8章」p.250)

起業家向きであるのが理解できると思います。社会的影響力がある人で、世の中を良くしたいと考えている人を世の中は放っておきません。

人のマネをしたり、誰かから言われたことをやるだけでは、ビジネスの戦いに打ち勝てません。とりわけIT企業の世界では「1から2」ではなく「0から1」(=誰もやったことのない仕事を生み出すイノベーション)が求められます。僕は、(中略)「0から1」を形にするイノベーターになりたいのです。巨大な組織にいる限り、コンプライアンスやルールに縛られて「ゼロイチ」の仕事はできません。(「第1章」p.44)

常に変化にさらされるグローバル企業や、新たなサービスを立ち上げて世の中を突き進むテック企業やベンチャーでは、手越さんの様な柔軟な考え方は好まれます。今後、様々な企業とのコラボレーションも加速していくでしょう。

◆ 手越力【3】 逆境すらチャンスに変換できる強さ

手越さんは常に世の中の反応に順応するように、スキャンダルを逆手に取って、それすらもネタに変換してきた強さがあります。ジャニーズ退所後、初となった会見では、決して従来の会見のイメージである「湿っぽい謝罪会見」にはしませんでした。これまでの経緯、お世話になった方への感謝、今後の展望や抱負を存分に語る「手越劇場」を展開、最後は「テイ!」と明るく締めくくりました。

会見を自身のYouTubeチャンネルでライブ配信したことで、チャンネル登録者数は開設後、約10日で100万人を超えました(2020年8月14日現在152万人)。ジャニーズ時代は制限されていたSNS(Twitter、Instagram)や、ゲーム配信を始めたことで、より若い世代の層や、男性にも、近い距離でアプローチしています。テクノロジーを駆使し、時流に上手く乗れれば、ジャニーズ時代を超える莫大な利益を生んでいくことも可能となるでしょう。

ジャニーズという組織が大きすぎるがゆえに、しばらくはテレビ局や雑誌社、映画会社などは、手越さんの起用を控えるという流れになりそうですが、「逆境こそ、彼の原動力」。「それならば」と、サッカーの試合のように戦術を考え、ファンを楽しませようと仕掛けてくれると信じています。

◆ 手越力【4】 努力という礎を基にしたポジティブ思考

書籍を読むと、手越さんはもちろんNEWSの現役メンバーである、小山さん、増田さん、加藤さん、そしてその他のジャニーズ所属の全てのスター達が「努力を怠ると淘汰される」厳しい競争社会に身を置いていることが分かります。

日本テレビ系 情報番組「news every.」のキャスターとして良い番組を作り上げる為、勉強を重ねていた小山さんが、週刊誌発端の報道により、一日中、関係各所に頭を下げて回った挙句、最終的にはキャスターを降板させられたという話。手越さんは「強い憤りと、彼を守れなかった責任を感じた」と語っています。この話には同世代の私も心を大きく揺さぶられました。30代半ばで一般的な会社勤めをしていたら、そのような経験をすること自体、極めて稀だからです。

私はジャニーズファンではなく、NEWSについても詳しくなかった人間ですが、今著を通じて、手越さん同様、NEWSの3名や所属のスター達も「生身の人間」であり、時として非常に脆く、危うい立場に立たされるということ。また彼らの努力家な人柄を知ることが出来て、本当に良かったと感じています。

ジャニーズ所属のスター達でアクセス数が稼げることを知っている週刊誌記者は彼等を「商材」として見ており、良い時は良く書き立て祭り上げ、悪い時は徹底的に扱き下すという恐ろしい世界。そんな中で彼等は、常に最高のパフォーマンスをファンに届けなければならず、CD売上に対するプレッシャーを抱え、SNS上での誹謗中傷にも黙って耐えなければなりません。

手越さんの長所のひとつ「スーパーポジティブな考え方」というのは、物事を楽観的に捉えているのではなく、ジャニーズの仲間たちと切磋琢磨してきた中で築かれていった「考え方」なのです。現代の世の中で、「努力」+「ポジティブ思考」は、暑苦しく感じられてしまうかもしれません。しかし手越さんは、それこそが厳しい競争を勝ち抜くために必要なことだと知っているのです。

◆ 手越力【5】 ファンとの深い繋がり

自由奔放にやってきた僕をこれだけ熱烈に応援し続けてくれたせいで、もしかすると手越ファンは、まわりの人からバカにされたり恥ずかしい思いをする時期もあったかもしれません。(中略)僕についてきてくれたファンである子猫ちゃんたちを、今まで以上に幸せにすることを絶対に約束します。(「第3章」p.114)

手越さんはスキャンダルすら逆手に取ってネタに変換してきた強さがありますが、ファンも同様にそれらを乗り越えていかなければいけませんでした。

手越さんのファンは行き度となく「危機を乗り越えてきた歴史」があり、その都度、手越さんとの繋がりが深まっていく過程があったのではないでしょうか。

今回の出版に関する厳しい意見が挙げられていても「好きなものを好き」と言える「強さ」をファンは持っています。それは「大丈夫、今回も乗り越えられる」と信じているからではないでしょうか。これこそが手越力の「要」、手越さんとファンとの深い繋がりなのです。

手越さんは今後、そんなファンの皆様に「直接、会いに行けるアイドルになって、心と心の距離を近づけていきたい。」と語っています。

1年前のジャニーズ時代では絶対に会えなかったアイドルと、直接、会えるかも!?

人生って何が起こるか分からないものですね。

―――  こんなもので終わらない「手越力」―――  
手越さんの活動を見据えて、続編を、かたちを変えてお届け予定です!

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