マガジンのカバー画像

領知宛行状関連の書状

9
主に江戸幕府が大名に発行した領知を認める書状を紹介しています。
運営しているクリエイター

記事一覧

丹波亀山藩の領知目録(元禄15年)

丹波亀山藩の領知目録(元禄15年)

今回紹介するのは、元禄15年(1702)9月28日付けで、江戸幕府が発給した領知目録について紹介します。浜松から丹波亀山への転封に関するものです。当時の老中の花押や黒印が記されているので、歴史に興味がある方は必見の内容です。

領知目録は江戸時代に将軍が大名や寺社などに土地の領知を認める朱印状と共に発給されるものです。国名、群村が記載されて群単位で石高の合計が記載されています。こちらは浜松城主だっ

もっとみる
常陸国江戸崎の領知目録(江戸初期)

常陸国江戸崎の領知目録(江戸初期)

今回紹介するのは、江戸初期に江戸奉行・関東総奉行として活躍した青山忠成が慶長8年(1603)に拝領した江戸崎(茨城県稲敷市)の領知目録です。

【内容物】
・江戸崎領知目録
・領知目録の参考書

内容物は江戸崎の領知目録と、この目録の委細を宝暦13年(1763)に明記した参考書です。「圓相君江戸崎領地目録参考書」の圓相君は忠成の法名・圓相院殿から来ていると思われます。

領知目録括弧() は付箋部

もっとみる
松平清康が発給の領地判物写

松平清康が発給の領地判物写

今回紹介するのは天文2年(1533)5月に松平清康が発給したとされる領知判物の写です。清康は徳川家康の祖父にあたる人物です。

写作成の経緯

この判物の写が作成された経緯は、明和4年(1767)3月に丹波篠山の藩主だった青山忠高が親戚にあたる清水小左衛門に写を送ったためです。
上記はその写を送ったことの証書の写です。
授玉君の遺書2通と天文2年の判物1通です。授玉君は青山忠門のことで武田氏の三河

もっとみる
青山忠成宛 徳川家康の領知判物(天正20年 相模国東郡)

青山忠成宛 徳川家康の領知判物(天正20年 相模国東郡)

今回紹介するのは天正20年(1592)の徳川家康による領知判物とその領知目録です。家康の花押が付いています。1590年に豊臣秀吉の小田原征伐によって関東を治めていた北条氏は戦国大名としては滅亡しました。
その後、秀吉に命じられ、家康は関東へ移封となりました。その2年後の書状となります。

領知判物相模国東郡の5千石を宛行う判物です。
当時の東郡は高座郡に属するようです。東郡全域を有したわけではない

もっとみる
徳川綱吉の領知朱印状

徳川綱吉の領知朱印状

今回紹介するのは江戸幕府5代将軍の徳川綱吉の領知朱印状です。
貞享元年(1684年)9月21日付で全国の各大名に発給しています。この朱印状は浜松藩の青山和泉守に宛てた現物となります。

領知朱印状とは幕府は大名に対して土地の領有を認めています。承認の証として領知朱印状と領知目録が発給されます。領知朱印状には領知を認める旨と将軍の朱印が押されます。大名の転封や加増によっても発給されることはあると思い

もっとみる
徳川吉宗の領知朱印状

徳川吉宗の領知朱印状

今回紹介するのは江戸幕府8代将軍の徳川吉宗の領知朱印状です。
享保2年(1717年)8月11日付で全国の各大名に発給しています。この朱印状は丹波亀山藩の青山因幡守に宛てたものとなります。

吉宗は、この朱印状の発給の前年に将軍に就任しています。代替わりによる朱印状発給と思われます。
以前紹介した、徳川綱吉の時代に発給された朱印状から33年後、江戸幕府が始まってから100年以上経過しています。

もっとみる
徳川家茂の花押

徳川家茂の花押

今回紹介するのは江戸幕府14代将軍の徳川家茂の花押が入った領知判物です。安政7年(1860)3月5日付のものとなります。井伊直弼が桜田門外の変で暗殺された2日後のものです。

領知判物

篠山侍従へ宛てています。篠山侍従は当時の篠山藩主の青山忠良です。江戸幕府として最後の領知安堵の文書となります。

丹波国多紀郡之内百拾箇村桑田郡之内
三拾七箇村摂津国武庫郡三箇村
遠江国榛原郡之内拾箇村城東郡之内

もっとみる
幕末の大名の領知目録(安政年間)

幕末の大名の領知目録(安政年間)

今回紹介するのは江戸幕府14代将軍の徳川家茂の時代に発給された領知目録です。15代将軍の徳川慶喜の時代には領知朱印状と領知目録の発給はない認識ですので、家茂のものが江戸時代の最後の発給と思われます。

以前違う時代で2度紹介した領知朱印状にあった「目録在別紙」の別紙に該当します。安政7年(1855年)3月5日に発給された篠山藩の領地目録です。

領知目録国名、群村が記載されて群単位で石高の合計が記

もっとみる
版籍奉還と廃藩置県

版籍奉還と廃藩置県

今回紹介するのは明治初期の版籍奉還による知藩事の任官と廃藩置県による知藩事の免官に関する書状です。

版籍奉還こちらは版籍奉還を願い出た大名が受け取ったものとなります。版籍奉還を願い出ない大名に対しては、版籍奉還するように、と言った趣旨の文言が追加されているようです。
版籍奉還は土地と民を朝廷に返還することです。江戸時代もしくはそれ以前から先祖代々の土地を有している大名にとっては大きな変革であった

もっとみる