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「正直」松浦弥太郎著 感想文

今年私が1番ハマった作家は松浦弥太郎さんだと思う。
読み物に求めていた文体とリズムが手に取った著書のほとんどにあった。
松浦弥太郎さんは雑誌連載をいくつか持たれているので、dマガジンなどで毎月新しい文章が読めるのも嬉しかった。
この「正直」という本は、つれづれなるエッセイが書かれていると勝手に思い込んで購入したのだが、どちらかというとこれは人生指南の著作であった。
人生指南本がよく流行っているが、私は好きではない。
ただ、この本は、松浦弥太郎さんのセンスある文体によって柔らかめの人生指南になっているので、抵抗少なく最後まで読めた。
ちょうど、外の仕事について方向転換を考えている頃、「大活躍を目指さない」という章と出会った。


「長い人生の中で、ある時期からは、人の依頼に応えることで一生懸命になり、自分が得意じゃないことをやり続けるのも、あぶないことだ。自分が消耗し、ストレスを抱えてしまうかもしれない」

私はここ数カ月、時間が合うからというだけで未経験分野の仕事に取り組んでいた。
ちょうど依頼者の求めるものとすれ違いが生じているところでこの文章に出会った。
私は依頼者と契約を更新しない方向で決めた。
未経験分野でもどうにかなる年齢は過ぎたのだ。
無駄な時間を過ごすのはやめて、今まで積み重ねて来たものをさらに磨いていくことにしよう。
向上心と挑戦する魂は持ち続けたままで。

そんなふうに考えを新たにしたのだが、同時に人生指南本の怖さというものを感じていた。
ほかにもこの本には様々なことが書かれているのだが、私はそのすべてに共感した訳では無かった。
腑に落ちない箇所があった事実に安心してこの本を閉じた。


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