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【2020年国書刊行会 話題書ふりかえり】

昨年刊行された国書刊行会のおもな話題書を、ジャンル別・刊行順に、担当編集者の一言コメントつきでまとめました。
見逃し本のチェックに、ぜひお役立て下さい。

【海外文学】

2月

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『女であるだけで』ソル・ケー・モオ/吉田栄人訳(新しいマヤの文学 第1回配本)
今だからこそ読みたい、読み応え抜群のラテアメ発のフェミニズム小説です。主人公が「女であるだけで」味わう苦難の苛烈さと、それに立ち向かう女同士の連帯の鮮やかさ、そして、パワフルで凄まじい作品の熱量に圧倒されます。マヤ文学、すごいですよ。

【note】意外すぎる新シリーズ「新しいマヤの文学」が実現するまで

6月

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『言葉の守り人』ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ/吉田栄人訳(新しいマヤの文学 第2回配本)
マヤの世界でも「呪文」によって精霊と交信するという呪術があるようです。気軽に読める短いファンタジー作品ですが、マヤの文化や世界観を反映していたり、「言葉」にまつわる示唆に富んでいたりして、別世界を旅したような豊かな読後感を残してくれる一冊です。

【note】前代未聞の「マヤ文明ファンタジー」!? 『言葉の守り人』(ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ/吉田栄人訳)を刊行します

7月

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『ウィトゲンシュタインの愛人』デイヴィッド・マークソン/木原善彦訳
おかげさまで刊行後大きな話題となり即重版、非常に多くの方に手に取っていただいた「アメリカ実験小説の最高到達点」です。原著は54回も出版を断られているだけあり、人を選ぶピーキーな作品ですが、読みやすく、刺さる人にはオールタイムベスト級の傑作になると思います。ぜひ一度、この海辺を訪ねてみてください。

【note】【アメリカ実験小説の最高到達点】『ウィトゲンシュタインの愛人』(デイヴィッド・マークソン/木原善彦訳)を刊行します

8月

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『ラスト・ストーリーズ』ウィリアム・トレヴァー/栩木伸明訳

ジョン・バンヴィル、イーユン・リー、エリザベス・ストラウト、日本では村上春樹、江國香織など名だたる作家たちが尊敬するウィリアム・トレヴァーの最後にして最高の短篇集です。詳しくは以下noteでの紹介をご覧ください。好評につき現在小社在庫はゼロ、ご購入は全国書店・オンライン書店でお早めに!

【note】名匠トレヴァー、最後にして最高の短篇集『ラスト・ストーリーズ』

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■『夜の舞・解毒草』イサアク・エサウ・カリージョ・カン、アナ・パトリシア・マルティネス・フチン/吉田栄人訳(新しいマヤの文学 第3回配本完結)

しっとりと優しい語り口の少女の成長譚「夜の舞」と、女たちの霊が語る衝撃的な生前のエピソードを作家の女が綴る連作メタフィクション「解毒草」の、個性的な2中編を収録。マヤ語幻想文学の知られざる世界がたっぷり堪能できます。訳者解説の鋭さも圧巻です。

【note】世界初紹介のマヤ幻想小説集『夜の舞・解毒草』(吉田栄人訳)を刊行します

9月

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『トンネル』ベルンハルト・ケラーマン/秦豊吉訳

満を持しての90年ぶりの復刻は、手塚治虫と筒井康隆が激賞したエッセイも収録しました。人類史上かつてない大西洋横断高速鉄道プロジェクトを描くドイツSFの嚆矢。美装の筒函はトンネルをイメージして。

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『アラバスターの手 マンビー古書怪談集』A・N・L・マンビー/羽田詩津子訳/紀田順一郎解説

気付いたら本が勝手に増えている……という恐ろしい話ってありますよね(むろん自分こそが積読妖怪の正体だった、というオチですが)。そんな本好きならば大いに楽しめる怪談話が、本書にはたっぷり入っています。Twitterでの原書ブックカバープレゼントCPでは、たくさんのご応募・ご感想をいただき、ありがとうございました!

【note】【怪奇幻想・ミステリ・古本好き必見!】『アラバスターの手 マンビー古書怪談集』(A・N・L・マンビー/羽田詩津子訳)を刊行します

【note】【終了済CP告知+余談】『アラバスターの手』刊行記念・Twitter限定プレゼントキャンペーンのお知らせ……または「城を買った出版社の話」

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『ソーンダイク博士短篇全集Ⅰ 歌う骨』
『ソーンダイク博士短篇全集Ⅱ 青いスカラベ』 (12月刊)

R・オースティン・フリーマン/渕上痩平訳

ファクトを重んじるソーンダイク博士が新型コロナ対策の責任者だったら、と思う今日この頃。これほど頼りになる名探偵はありません。ちなみに準備中の第3巻収録作「疫病をまき散らす者」では疫病テロに立ち向かう博士の活躍が。

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『ダフォディルの花 ケネス・モリス幻想小説集』ケネス・モリス/館野浩美・中野善夫訳

19世紀後半、ケルトの魔法を歌う詩人にして神智学者である作家の、長らく訳出困難とされてきた、異界的・民話的・詩的美意識に溢れる作品たち。1篇を除き全て本邦初訳の全29篇を収録。幻想に耽溺してください。

【対談】【刊行記念】人間よりも本が好き? 寡黙な二人がオンラインでおそるおそる対談!? 本棚に咲く一輪のよろこび『ダフォディルの花』訳者対談

【無料配布】『ダフォディルの花』刊行記念、訳し下ろし〈折本〉公開!!

10月

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『サンソン回想録 フランス革命を生きた死刑執行人の物語』オノレ・ド・バルザック/安達正勝訳

漫画『イノサン』の主人公として知られる、ルイ十六世の処刑人シャルル=アンリ・サンソンの物語です。バルザック、筆が立ってて話がめっぽう面白いです。フランス革命の裏面史の物語として愉しめると同時に、死刑制度や差別・偏見への思索の圧倒的な深さにも驚かされます。『FGO』のサンソン特装オビも絶賛展開中!

【note】【フランス革命を生きた死刑執行人の数奇な運命を描いた幻の一冊が、ついに本邦初訳!】バルザック版『サンソン回想録』

【CP告知】『サンソン回想録』FGO特装帯キャンペーンのお知らせ

【試し読み】【ルイ十六世の処刑人、その数奇な運命の物語】『サンソン回想録 フランス革命を生きた死刑執行人の物語』試し読み

【対談】『図書新聞』対談 西川秀和×安達正勝 フランス革命の影の主役――死刑執行人・サンソンの苦悩の生涯

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『思い出のスケッチブック』E・H・シェパード/永島憲江訳

「クマのプーさん」を生み出したイラストレーターが、少年時代を過ごしたヴィクトリア朝ロンドンの思い出を、少年の目でみずみずしくつづっています。自分の子供時代を思い出し、懐かしい思いにさせてくれるエッセイです。ユーモラスでかわいいイラストも多数収録。

【日本文学】

7月

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『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』乗代雄介

第162回、第164回芥川賞候補となり読書子の絶賛を浴びた『最高の任務』、『旅する練習』へと続く、著者の創作の原点となったブログを待望の書籍化。
デビュー以降の作風とは違った抱腹絶倒の掌編67編、書くこと、読むことをめぐる終わらない思索の軌跡を垣間見る『ワインディング・ノート』、現在進行形で掘り下げられつつある「見ること」、「書き残すこと」、そして「練習」についての思考と実践の嚆矢とも言うべき書き下ろし中編「虫麻呂雑記」の三部からなる、ファン必携の648頁。下記記事と併せてどうぞ。

【note】【近刊・乗代雄介『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』の起源とその展開】本書「序」および収録書き下ろし小説『虫麻呂雑記』の冒頭部分公開

【週刊はてなブログ】〈本書の原作となったブログについて〉一人きりで15年以上書き続けたブログが書籍化されるまで(乗代雄介)

【作家の読書道】著者インタビュー:乗代雄介さんが読んできた本たち(作家の読書道・第217回「好書好日」asahi.com)

10月

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『くじら屋敷のたそがれ』原葵

あたまから尻尾までふしぎな物語です。
贅沢な組みと文字の大きさにもご注目を。

12月

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『幕末明治翻訳書事典 文学・伝記・外国語リーダー篇』(第1巻)川戸道昭編著

海外の文化と対峙した明治人の苦闘と興奮がつぶさにつたわる翻訳書の数々は必見です。翻訳者は明治きっての知識人や政治家から山師的人物まで……。全書籍の装丁と本文をオールカラーでお届けします。

【歴史・オカルト・宗教】

3月

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『怪異の表象空間 メディア・オカルト・サブカルチャー』一柳廣孝

明治期の怪談の流行から1970年代のオカルトブーム、そして現代のポップカルチャーまで、21世紀になってもなおその領域を拡大し続ける「闇」の領域を、斯界の第一人者が博捜した決定版! 各紙誌で高評を頂戴!

9月

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『原典完訳 アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』野田恵剛訳

『アヴェスタ』の日本語訳はこれまでにも抄訳や英訳からの全訳は存在したが、アヴェスタ語原典からの全訳は本書『原典完訳 アヴェスタ』が初。謎多き古代宗教の全貌を明らかにした画期的な書!

【note】【ウルトラ弩級の宗教系大古典の全訳、ついに刊行!】『原典完訳 アヴェスタ』(野田恵剛訳)を刊行します

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『生と死 生命という宇宙』シャルル・ボネ/マリー・フランソワ・グザヴィエ・ビシャ/飯野和夫、沢﨑壮宏、小松美彦、金子章予、川島慶子訳(十八世紀叢書Ⅶ)

9年ぶりの刊行となる、シリーズ第6回配本!

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『ティムール以後 世界帝国の興亡 1400-2000年』(ジョン・ダーウィン/秋田茂、川村朋貴、中村武司、宗村敦子、山口育人訳

グローバルヒストリー研究の第一人者が、西洋中心主義とは異なる視座から世界史を雄渾な筆致で叙述し、その行方をも展望した、「グローバル化」時代の必読書! 2008年ウルフソン歴史賞受賞作!

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『セルフ授戒で仏教徒:五戒・八戒・菩薩戒、インド直伝実践マニュアル』大竹 晋

今は無きあの学派の在家信者になれる‼ インド仏教では自分一人で在家者の戒を受け保つことを認める学派がある。中国偽経の戒と無戒仏教徒との問題点も指摘する、在家戒の本格的な研究書にして実践マニュアル。

11月

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『ファシズムへの偏流』()竹岡敬温
最も著名な政治的転向者の一人、フランス人民党を結成したジャック・ドリオの生涯をたどった評伝。圧倒的な政治的資質をもった人物がたどった転向の軌跡は、現代政治の世界を読み解くうえでも大いに示唆を与えてくれます。

【アート・コミック】

1月/10月

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『旅する黒澤明 槙田寿文ポスター・コレクションより 』国立映画アーカイブ 監修
『公開70周年記念 映画『羅生門』展』国立映画アーカイブ/映像産業振興機構 監修

前者は各国で制作された黒澤映画公開時の貴重な海外版ポスターを、傑作から怪作まで多数収録。
後者は『羅生門』という1本の映画に焦点を絞り、企画から撮影、宣伝公開、世界展開にいたるまで、世界初公開品も含まれる貴重な資料によってその全貌に迫ります。三船敏郎・志村喬の撮影台本、京マチ子旧蔵の写真アルバム、早坂文雄による音楽構成表などは必見!
どちらも映画ポスターやパンフレットをはじめとする、ノンフィルム資料の魅力が満載です。
2020年は黒澤明生誕110周年、三船敏郎生誕100周年、『羅生門』公開70周年というメモリアルイヤーでした。

2月

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『切り剣 福田理代切り絵作品集』福田理代

刊行のきっかけは作家が切り絵を手に載せたネット動画でした。手の上で揺らすと、レースのように透けたタコの8本の足が、まるで動いているかのよう……それは衝撃的でした。Instagram公式アカウント1000万回再生の作品をあますことなく。

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『WHY DRAG?』マグナス・ヘイスティングス 写真/ボーイ・ジョージ 序文/エスムラルダ 解説

マグナス・ヘイスティングス『WHY DRAG?』
個性溢れるドラァグ・クイーンたちのゴージャスなオールカラー写真集!
「なぜドラァグするの?」という問いに対するそれぞれの回答も必見です!

3月

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『アドルフに告ぐ オリジナル版』手塚治虫

手塚治虫不朽の名作、〈雑誌オリジナル版〉を完全復刻。ロングセラーの本書ですが、函入の大判・愛蔵版はこれが初にして唯一のものです。高額書籍につき購入にあたっては、濱田高志さんによる〈別冊解題〉のほか、今回の復刻版担当編集者に語る〈復刻の意味〉や復刻版デザイナーのインタビューをご参考ください。

【別冊解題】『アドルフに告ぐ オリジナル版』別冊所収の解題を公開!
【復刻の意味】手塚マンガの復刻新時代を斬る!! 第1回:雑誌連載版『アドルフに告ぐ』復刻の意味!!
【インタビュー】手塚マンガあの日あの時+(プラス) 手塚マンガの復刻新時代を斬る!! 第2回:手塚復刻本、ブックデザインの秘密に迫る!!

6月

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『無辜の絵画 靉光、竣介と戦時期の画家 』広島市現代美術館 編

コロナ禍の影響で中止となってしまった広島市現代美術館の展覧会図録となるべく発刊された書籍。靉光と松本竣介研究の最先端ともいえる論文が目白押し。松本竣介の未公開日記も掲載されています。

以上、どうぞよろしくお願い申し上げます!





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東都西北、様々な意味において辺疆に位置する特殊版元です。新刊・近刊について編集・営業担当者が綴ります。