秋のおにぎりと岡崎さんのエクレア

「好きな音楽は？」

この質問にうまく答えられたことがない。
しっくりくる回答を一生出せない気がしている。

他の好みの話なら問題ない。
例えば、好きな季節は秋。
理由は、灼熱地獄から救ってくれる肌寒さと
何もかもが無性に切なくなる感覚が心地いいから。

好きな食べ物はおにぎり。
おにぎりのおいしさと奥深さは計り知れない。
母が握ってくれたものや、祭りの際に近所の奥様方が
握ってくれたもの、あと小さい居酒屋で出てくるような人の体温が伝わるようなおにぎりが好きだ。

これくらいシンプルに嗜好が香る回答を導き出したい。音楽においても。
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好きな音楽を聞かれて困るのは、
「なんと答えるのがちょうどいいのかわからない」からだ。

音楽が好きすぎる。自分の人生の各時代に音楽が密接に紐づいていて、切り離せない。
特に青春時代全てに、藤原基央さんの言葉とメロディが織り込まれている。

しかし好きな音楽を聞かれて、軽率に
BUMP OF CHICKENとは答えられない。
学生時代は歌詞とインタビューを読み込み 音楽を聴き込んで熱烈に追いかけていたが、社会人になってからその歩みは落ち着いた。尊敬と感謝の念を抱きつつも、新曲が気になったら聴く程度だ。
元々の「好き」が没頭しすぎていて、もはや好きというより「人生の師」というか「思考回路の基礎」というか、その頃をベースにして「今も変わらずファンである」と声高らかに言えない。
好きであればあるほど、軽率に語れなくなる。

これまでの人生でたくさんの音楽に没頭してきた。
姉の影響でスピッツ、くるり、スーパーカー、Cocco、イエモン、ACIDMAN、スムルース、中村一義、椎名林檎を聴き込んで、
学生時代にアジカン、エルレ、ラッド、ストレイテナー、東京事変、チャットモンチー、tacica、フジファブリック、清竜人、クリープハイプに人生を支えられ、
その後クラムボン、大橋トリオ、天才バンド、ハンバートハンバート、ハナレグミが心身に染み渡り生きていたら、近年いきなりジャニーズWESTにハマった。

「好きな音楽は？」と聞かれた時の、ちょうどいい回答とはなんだろう。
ある程度知名度があり、なんとなく話が盛り上がり、
自分という人間のヒントになるような……
おそらく私は、回答を受け手がどう捉えるかが怖いから悩むのだと思う。

はっきり言って考えすぎだ。何気なく聞いた好きな音楽の回答などで人間関係は変わらないし終わらない。その時思っているものを気軽に答えればいいんだろうなぁとは薄々気づいている。

ちなみに、今この瞬間好きな音楽を聞かれて脳から直で答えるなら「岡崎体育さんのエクレア」だ。

もし次に好きな音楽を聞かれたら、そう答えてみようと思う。