苔うたう

水族館でエイの裏側を見れた瞬間が好きです

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最近の記事

わからない、でもわからないことは希望でもある

本の記録 カラフル / 森絵都 以前、友人からこの本をオススメしてもらったことがあった。いつか読もうと思ったまま月日が流れ、新しく入社した会社の同僚と本の貸し借りを始めたら、この本が私の元にやってきた。 嬉しくて笑ってしまった。どんなルートを選んでも、私はこの本に辿り着くようにできていたんだなと思った。 私は大学2年の頃から希死念慮がある。それは濃くなったり薄くなったりしつつもうっすらと、今では昔からの友達のような、自分の中にいる自由気ままな猫のような感覚で共に暮らしてい

    • 魂に響くものを食べる

      年末に、居酒屋で食べたにゅうめん。これが年末一番の魂に響く一品だった。 今日は ・新年の集まりでもらった和菓子の栗きんとん ・年末に買っためんたいこ(辛子じゃない方) ・チョココ ・ポリッピー ・温かい緑茶 を用意。大好物に囲まれて年末の孤独のグルメスペシャルを見る。食べ合わせは関係ない、自分の魂に響くラインナップ。 -- -- -- 1月1日の夕方にスマホがけたたましく鳴り、緊急地震速報だと認識して家族の元に行った途端に長く揺れ、すぐNHKをつけて、鬼気迫るアナウンスを

      • 死ぬまで生きるために

        仕事納めも無事に終わり、忘年会の前に時間が空いたので同期とスタバでお茶をする。 これから忘年会でごちそうだってのに、新作のほうじ茶フラペチーノを飲み干す。以前2人でご飯に行った際に私が多めに払ったらしく(←覚えていない)、同期がスタバを奢ってくれた。その心意気がうれしい。 忘年会が終わった後、まだ話し足りないねぇ…と閉店間際のショッピングモールに行き、ただ歩きながら話す。 本屋さんでオススメの本を言い合い、次に貸し借りする本を決める。 同期は「もっと本当は人前でボケたい!

        • 元気でやってるか、場所はスタバであっているか

          本が読みたくてスタバに来た。 私のななめ前に座った男性(おそらく学生さん)はピンクの蛍光マーカーをたくさん引いたテキストを開き、アップルウォッチで時間を計り勉強を始めた。 私がスマホを取り出したり、本の内容に声を出さずクスッと笑うだけで学生さんはこちらを見る。 新しいお客さんが入ってくると店員さんより早く反応して入り口を見るし、返却コーナーに人が来る度に律儀にそちらを見る。仲間との会話が盛り上がり高めの笑い声が聞こえるとそちらを見る。キョロキョロ。キョロキョロ。しまいには

        わからない、でもわからないことは希望でもある

          お別れの、おいしいティーソーダ

          ファミマで売ってる「シャルドネ香るティーソーダ」。 紅茶感は控えめだけど香りがよくて、甘みも控えめで、炭酸も微炭酸で、すっきりぶどう。 晴れた夏のドライブに最高。 最近、大切な人との関係を一区切りした。 小さいようで大きな生活の変化だった。 離婚を経験して以降、誰かとの関係が始まった瞬間に終わりを考えるようになった。 職場で尊敬する人も、プライベートで話すようになった人も、「この人といつまでこうして会えるのか」「どんな風に会えなくなるのか」を考える。 きっと、そうやって無

          お別れの、おいしいティーソーダ

          めちゃくちゃ愛することを、許して放っといてくれ

          ここ数年、「誰かを思いっきり愛したい」という欲がすごい。 気まぐれな暴れ馬(そんな馬がいるのかは不明だが)のような感情なので、うまく制御する自信がなくて、なんとか外には出していない。 博愛主義の方向ではない。 有名人やアイドルを推すという感情とも違う。 生活の中で会って話せる特定の1人がいい。 愛されなくてもいい。 ただ自分が、とにかく夢中になってその人を愛したい。 こんなKinKi Kidsみたいなことを30代で叫ぶことになるとは私も思わなかった。 逆に「愛されたい」と

          めちゃくちゃ愛することを、許して放っといてくれ

          その突き上げた拳に迷いはいらない的なこと

          noteを書こうと思い白紙のページを開いたら、本文を入力する部分に「こんばんは。今日もお疲れさまです。」と優しく薄い文字が入っているのを見てうっかり泣きそうになった。 自覚よりも疲れてるぞ!と思いゆっくりお風呂に入りました。 苔うたうです。 -- -- -- 以前読んだ、よこみねさやかさんのエッセイ漫画で忘れられないセリフがある。 毎日コツコツやることの大切さを子供に話している場面の、旦那さんのセリフだ。 「ママは昔ネガティブを煮つめたような人だったけど、一日一個必ず楽

          その突き上げた拳に迷いはいらない的なこと

          電話のあと、午前1時に

          絵を描くことを生業としている友人と電話をしていた。 友人にとって絵を描くことはただの仕事ではなく、生きがいのようだった。 友人は、絵以外にあまり興味がない。 全てが「広く浅く」ではなく「超狭く超深く」。 仕事も趣味も人間関係も、ひとつに全体重を預けているように見えてそれがとても危うかった。 どんな話の流れだったか忘れたが、私は友人に「もしもあなたが絵が描けなくなっても、それでも色んなものに少しずつ依存しながら生きていくんだよ」と言った。 すると友人は「…絵が描けなくても生

          電話のあと、午前1時に

          可能性をお断りしないように飛び込むトライアスロン

          悲しいことがあった夜、しんみりした気持ちで心落ち着くMVに浸っていたら、 チャララチャララチャラララ〜ン♪♪ お風呂が沸きました!!! とまぁまぁデカめにアナウンスされて脳が覚めた。気分との差がありすぎて、アナウンスの人格が突然陽気になったのかと思った。 この「日常が悲しみをぶっ壊してくれる感」が可笑しくてありがたくて、ちょっと笑ってしまった。 人間は不憫な姿が愛おしい。 若林さんや又吉さんならこの感じを滑稽に愛しく書くのかなと思ったりした。 どんなに惨めな目にあっても、

          可能性をお断りしないように飛び込むトライアスロン

          生きてきたご褒美を受け取る準備

          晴れた日、力を抜いてぼーーっと過ごしていたら、隣で一緒にいた人が「今まで生きてきたご褒美みたい」「お互いよくここまで生きてきたよね」と笑った。 それを見て私はこっそり泣いてしまった。 大学2年の、誰にも相談できずに失踪したあの時の自分に教えてあげたいと思った。「生きていたらこんな日が来たよ」と。 でも、あの時の自分は誰に何を言われても素直に聞けなかった。体と心に分厚い蓋があった。未来の自分からメッセージが来ても心に届かなかったと思う。だから、最後は自分で自分を踏みとどまるし

          生きてきたご褒美を受け取る準備

          乳は隠れども、生涯説明クソババア

          先日ある人に「隠れ巨乳だったんですね」と言われた。 初めて言われた言葉だったので、どう返したらいいのかわからず「これを隠れ巨乳と言うんすね…」としみじみしてしまった。初めて知るジャンルだった。 人生の大半をぽっちゃり体型で生きてきた私にとって、太っていることよりも胸が大きいことの方がコンプレックスだった。胸が大きいことが悩みだと言うといつも「嫌味かよ〜!」と言われた。だからあまり人には言えなかった。 胸が重くて苦しい。走ると揺れて苦しい。どんな服も胸があるとなんだか似合わな

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          タプタプと光る

          東別院 暮らしの朝市に行った。 nicoさんでミモザのリースを買った。来月の母の日に向けて。 リボンがかかった大きな箱を持って電車に乗ると、周りの人が気をつかってスペースを空けてくれる。 優しい世界。 「前を走る車の速度が遅くてイライラしそうな時は、大切なものを運んでいるのかな、と思うといいよ。」 昔誰かにそう言われたことを思い出した。 誰かが忘れたペットボトルが窓でタプタプ光っていた。 きらきら。タプタプ。 持ち主は、喉が渇いたらこの子をバッグの中に探すだろう。電車

          タプタプと光る

          世界にブン殴られたい

          去年の年末、本屋UNITEさん主催の『わかりあえなさを繋ぎとめる』というトークイベントを拝見した。 話すのは堀静香さんと永井玲衣さん。 生まれて初めてトークイベントというものを浴びて、お二人の殴り合いのような対話が、出てくる言葉の組み合わせが、脳みそにびりびりと効いた。 その中で、永井さんが「世界にブン殴られたい」と言っていた。 聞いた瞬間その言葉に私はブン殴られた。 それだ。 うん、それだよ。 何度も聞いているはずの音楽が、ある日突然刺さること。良かれと思ってやっていた

          世界にブン殴られたい

          思い出したら、春を吸って

          風邪が治りました。 数日ぶりに平熱の世界。健康ってこんなにすばらしいのか。春の日差しとありがたみが沁みる。 歩きそうなことが嬉しくて近所を少し散歩した。桜はもう葉桜になり始めていた。 見れてよかった。 五感が息を吹き返した。 猫の通り道。お墓の造花。お地蔵さまのよだれかけが新しい花柄模様になっている。 いろんな鳥の声がする。「鳴き声」と言いたくなる鋭角な音と、「さえずり」と言いたくなる軽やかな音がある。 日差しはぽかぽかというより、じんわり…?立ち止まって肌に陽を浴びると

          思い出したら、春を吸って

          脳内の引き出しから、花火

          2014年、友人2人と温泉に行った。 湯の山にあるアクアイグニスという複合施設。 社会人3年目の私たちは、いっちょ前に仕事と恋愛の悩みを抱えて、稼いだお金を行きたい所に行きたい人と使った。私は海外への憧れがなく、日帰りか一泊で行ける距離が主な行動範囲だった。 アクアイグニスDAYは友人Aの誕生日が近かったので、友人Bと事前にヴィレッジヴァンガードへ買い物に行った。最高にくだらなくてかわいいものをたくさん買って渡した。何を話しても爆笑して、竹を見ながらお風呂に入り、ちょっとい

          脳内の引き出しから、花火

          母が鯛を買った理由

          一番気になっている会社から、採用の連絡が来た。 来月の中旬から新しい仕事のスタートが決まった。 季節の変わり目で体調を崩し、熱でフワフワしている頭に「こちらとしてはぜひ一緒に働きたいと思い…」という声が届いた。 鼻声で精一杯よろしくお願いします!と言った。 嬉しい3月のおわり。 一次面接から最終試験までずっと横で見守ってくださった採用担当の方から電話で連絡が来て、それも嬉しかった。おせっかいはしないが、さりげなく何気ない優しさが染みる方だったから。 あなたの声で言われると嬉

          母が鯛を買った理由