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異なる波が重なり合った太陽の姿

タイトル画像は、「太陽」です(Credit: NASA/JPL-Caltech/JAXA)
多分クイズで出されたら誰も分からないと思います。今までにない取り方をしています。

ようは、
X線領域と紫外線領域を重ね合わせた太陽の姿を疑似的に作製した、
という話です。

我々が普段見ている「色」は可視光線を我々のセンサーが映像として把握出来ますが、他の波長は見えません。(ただ赤外線での熱のように他の手段で感じることは出来ます)

出所:my-craft.jp/html/aboutled/led_hachou.html

疑似的、と書いたのはそのままだとタイトル画像のように色で表現できないはずですが、それぞれ3つの観測衛星で反応している濃度を青・緑・赤で便宜上着色しています。

ちなみに、2018年に話題になったブラックホールの撮像も、便宜上「赤」っぽく着色しているだけで、実際に赤く輝くわけではないです。

で、そもそもですがなんでこんな観測を行っているかと言えば、決してアートの目的ではなく科学的な目的です。

以前に宇宙天気予報で、太陽フレアの話をしました。

このフレアですが、ここまでの超高温の原因が実は理論的にわかっておらず、その仮説の1つが「ナノフレア」と呼ばれる現象でした。従来の観測では見えないミクロな領域で起こっているとされているため便宜上「ナノ」(10のマイナス9乗)とつけています。

それをこの高エネルギー領域の波長で観測しようとしており、下記に関連記事を紹介します。

上記記事では、まだナノフレア仮説が支持されているようですが、意外に太陽という身近な天体でも謎が多いことが感じられると思います。

冒頭の記事は、NASAとJAXAの観測衛星の共同作業です。
JAXAは2006年に打ち上げた「ひので」と呼ぶものです。下記に公式サイトで紹介しておきます。

ただ、JAXAの衛星ではありますが、そこに搭載される3つの望遠鏡は下記の通り、国際的な協力によって開発されています。(上記サイトより)

可視光・磁場望遠鏡(SOT):国立天文台、LMSAL、HAO、京都大学、JAXA /ISAS
X線望遠鏡(XRT):SAO、JAXA /ISAS、国立天文台、NASA/MSFC
極端紫外線撮像分光装置(EIS):MSSL、NRL、RAL、University of Birmingham、NASA/GSFC、国立天文台、JAXA/ISAS、Univ. Oslo

天文の世界ではすでに、「マルチメッセンジャー天文学」と呼ばれる多波長領域を共同で観測が進んでいます。過去の関連記事を引用しておきます。

そして、その観測を行う望遠鏡にも、「ひので」が表すように国際的な開発によって成り立っています。

宇宙という人類共通の目的では、もしかしたらこういった協力体制が築きやすいのかもしれません。

宇宙活動の進展が地球の平和をもたらす、というのはやや希望的観測でしょうか。。。

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