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地球最古の生命に関する衝撃的な発見

以前に、地球生命共通の祖先LUCA(Last Universal Common Ancestor)について書きました。

過去記事では、宇宙飛来説を支持する流れでしたが、LUCAの誕生時期と生息地域の可能性を絞る衝撃的な発表がありました。

Science誌に掲載されたこちらの記事です。Nature誌にも掲載されました。

今回発表されたLUCAの特徴は以下の通りです。調査方法は、現代の微生物700種に及ぶ多様なゲノムを比較し共通点を見出し、その歴史的な系統を解析していきました。
・42億年前に生息していた微生物
・約2600種のタンパク質をコードするかなり大きなゲノムを持つ
・水素ガスとCO2(二酸化炭素)食料とする
・ウイルスの侵入者と戦うための原始的な免疫システムCRISPRを備えていた。

まず誕生時期が42億年前。地球誕生して46億年とされているのでわずか4億年経過後にLUCAが誕生していたわけです。これは従来説よりかなり古い年齢です。

次の驚きはその複雑なつくりです。先祖なのでもう少しシンプル化とおもいましたが、なんと今の遺伝子編集ツールとして普及したCRISPRの機構を備えていることが分かったそうです。

CRISPRとは、細菌がウイルスを退治するために自身のDNAにその指名手配情報を埋め込んでおくなんとも驚きの機能です。過去投稿も載せておきます。

一方で、水素ガスとCO2を食料とする、というのはある程度予想されていました。というのも、地球で酸素が優先になっていくのは15-20億年経過ごろです。そのころに、シアノバクテリアが酸素を生む光合成をおこなったことが原因と考えられています。過去の関連投稿を載せておきます。

そしてこの生息環境として、両分子が捕捉しやすい深海の噴出孔が最も都合がよいですが、ただ同時に紫外線から身を守る遺伝子を持っていた証拠も発見しました。この意味するところは、表層水でも生息出来ていた可能性をのこしています。(勿論地球外でも同様)

ということで、今回の新たな発表は、やや深海起源説にとって有利ではありますが、他の可能性を完全になくしたほどではありません。

それよりも驚きなのは、その構造が想像以上に複雑で、なによりウイルスとの共生(闘争?)が生命初期の時代には存在していたということです。

地球での生命の歴史に新しい1ページが追加されるかもしれません。

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