究極の先祖LUCAは宇宙から来たのか?
生命の起源は常に最新の研究で揺さぶられてきました。
最近発表された研究では、地球外飛来説を示唆する結果が報告されています。
上記記事内で話している方を中心とした専門誌に掲載された投稿はこちらです。
要は、
過去の隕石を違ったやり方で再調査すると生命誕生に有用な核酸が複数見つかった、
という話です。
進化論に従うと、我々人類は共通の祖先から派生した一派で、その一番古い地球上の祖先は通称ルカ(LUCA、Last Universal Common Ancestor)と呼ばれます。
過去にも生命起源をテーマにした話は投稿しましたので、それ以外の基本事項はそちらの紹介に委ねます。
とはいえ読むのは大変なので、今回に関連する情報だけを抜き取ると、
生命起源は地球内外あるが、地球外隕石でも新しい発見が起こっている、ということです。
今回は、その地球外飛来説(パンスペルミア説)に有利な証拠になります。
実は今まで、生命の痕跡となる有機物は飛来した隕石から見つかったのですが、これだけではいわゆる合成(化学反応)を起こすのは不十分と考えられていました。
それが今回最先端の測定技術を駆使して再調査(対象は過去と同様の隕石)した結果、ミッシングリンクを見つけた、という流れです。
というふわっとした書き方だとモヤモヤさせてしまうだけなので、もう少し細かい話をします。全く用語は覚えなくていいです。
DNAやRNAの合成に必要な化学的構成要素である核酸塩基には、ピリミジン核酸塩基(シトシン、ウラシル、チミンなど)とプリン核酸塩基(グアニン、アデニンなど)の2種類があり、これまでに隕石中で特定されたのは「プリン塩基」と「ウラシル」だけでした。
そして今回、検出方法をより念入り(ギ酸を使わなかったり不純物を除去したり)に行って、初めて残ったパーツとなるピリミジン核酸塩基が検出された、というわけです。
今回の貢献となった最新技術はいくつかありますが、その1つが「陽イオンクロマトグラフィ」で、原理を分かりやすく紹介しているサイトを引用しておきます。
測定技術についてはいったんここまでにして、その意義についてもう少し触れてみます。
今回は、星と星の間の空間に存在する物質(星間物質)の条件をシミュレーションする室内実験として行われ成果を出しました。
つまり、今回見つかった化合物の一部が、星間物質中で化学反応によって生成され、その後、太陽系が形成されるにつれて小惑星に取り込まれた可能性を示唆しています。
そして、その小惑星が隕石として地球に飛来して生命の種として発芽した、というストーリーです。
もちろんまだ仮説段階ですので、一歩進みはしましたが地球内より有利になったという比較はできません。
さらにいえば、どちらか2択というのも勝手な我々の都合ですので、もっと多様な雑多な環境で発生したのかもしれません。
いずれにしても、測定技術の進化で過去研究が見直されることはよくありますが(月の水発見もそうですね)、今後も過去研究を改めて見直すと面白いことがおこりそうですね。
今年も生命起源の研究に目が離せません。
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