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地獄サンタ 特別篇【2009.12.】
2009年12月23日
地獄サンタクロース課
《 特別通達 》
以下の者にクリスマスプレゼントを与えるまで、帰還するべからず。
記
居住 : この世 日本国広島県
氏名 : 華守樹
地獄サンタ あとがき【2009.12.02】
そもそもこのお話は、ガイコツサンタのイラストから生まれました。
ガイコツサンタのイラストを元手に最初に考えたのは、人を不幸にするサンタでした。
プレゼントをあげる相手が、ことごとく不幸になっていくブラックサンタ。
最初はプレゼントもらった人も喜ぶんだけど、段々あれ?って方向に話が進んで、
最後にはドクロサンタがニヤッとするわけ。
「さて、次のターゲットは誰だ?」って。
…あれ? 何かに似てない
地獄サンタ15 ・・の・・・・・【最終回】
極楽へ昇ったときのことは、今思い出してもぞくりとするほどだ。
雲のトンネルを通り抜けると、七色の光に満ちた世界だった。あたり一面桜が満開で、霞のような雲のかかった池には睡蓮が咲き乱れていた。
隣では、おトヨはきょろきょろとおようを探していた。
オレにはおようがどこにいるのか分かっていた。地獄サンタの力で見たからだ。ひときわ大きな蓮の花を揺りかごがわりに眠っている。
それらしい花はひとつし
地獄サンタ14 極寒地獄のおトヨ5
やがてゆっくりと腕を緩めたおトヨは、それでも名残惜しそうに見慣れないオレの胸骨や頬骨を撫でた。
「あんまり撫で回すなって」
手離せなくなっちまう。
オレのあばらを見ていた目が、ゆっくりと上を向く。どこを見ているかもわからねえはずのオレの眼窩を見詰め、ぽろぽろと涙をこぼすんだ。
……泣くんじゃねえよ。
「あたし、おようと――」
そうだ、願え。
「――おまえさまと三人で、極楽で暮らしたい!」
地獄サンタ13 極寒地獄のおトヨ4
おトヨから額を引き剥がした。苦しくて堪らねえ。ぜいぜいと乱れた呼吸を整える。
「おめえ……殺されたのか……?」
おトヨは一瞬で蒼ざめ、オレの腕から逃げた。
事故だと思っていた。水路の脇の土に滑り落ちたような跡があったと聞いた。オレを探しに出て足を踏み外しちまったに違いねえと、それ以外には考えられなかった。なのに……くそっ! 冗談じゃねえぞ、オレの知らねえことだらけじゃねえか。
くそっ! 今
地獄サンタ12 極寒地獄のおトヨ3
* * *
――オレがいる。おトヨのログの中のオレ、おトヨの目から見たオレだ。まだ生きていて、顔がある。目を吊り上げて怒り狂っている。
「くそっ! ごうつくばりめ、オレたちを飢え死にさせるつもりか!」
おトヨは、オレの怒声と赤ん坊の泣き声をただじっと聞いていた。
腕に抱いたおようが泣き止まねえ。いくらあやしても駄目だ。構って欲しいんじゃねえ、腹が減ってるんだ。わかっているのに、乳が出ねえ。
地獄サンタ11 極寒地獄のおトヨ2
三百三丁目はごうごうと轟くほどの吹雪だった。雪と氷に閉ざされた極寒地獄だ。
上空から目を凝らす。どこだ?
「いた! アンジー、そこだ。降りろ!」
「ああ、もう、わかったよ!」
ソリがヤケクソ気味に急降下する間に、オレは赤い上着を脱いだ。背骨とあばら骨だけの上半身が露わになるが、オレの体は暑さも寒さも感じやしねえ。
ソリが着陸する前に飛び降りて駆け寄る。
おトヨは鼻先まで雪に埋まっていた。
地獄サンタ10 極寒地獄のおトヨ1
「よう、セブン」
「ロック。暫くだな。元気だったか?」
事務所の入り口から返ってきた声は、随分と呑気だ。
「元気に決まってるだろ」
地獄サンタには病も何もありゃしねえ。あるとすれば、骨折か下顎をなくすかくらいのもんだ。
「それもそうだな」
「まあ、座れよ。待ってたんだぜ。この前の続き、話してくれ」
「この前?」
「去年だよ。話の途中で仕事に行っちまったろ?」
セブンのヤツは、思い切り首を捻り
地獄サンタ9 焦熱地獄の六郎太3
「願いの前に、二三訊いてもいいか?」
「なんだ、まだ決まらないのか?」
「セブン、私が答えましょう」
苛つくドクロを、落ち着いたウマが諌めた。
「……仕方ないな」
ドクロはそっぽを向いた。
拗ねたのか? 表情も目もねえんだから、わかりにくいったらねえ。
「六郎太。どうぞ、質問を」
もしかして、ドクロよりウマのほうが偉いのか? いや、ウマじゃねえな。温厚そうなのに、ウマと言われてえらく怒って
地獄サンタ8 焦熱地獄の六郎太2
突然、頭から冷たい水を引っかぶり、オレは驚いた。水をかけられたこともそうだが、桶一杯ほどの水で地獄の業火が消えちまった。
着物の裾からぽたぽたと真っ赤な水が垂れていた。風が急激に熱を奪っていく。
……なんて涼しい。
へなへなと座りこんだ。水の冷たさも風も、感じたのは随分と久しぶりのことだ。
「六郎太か?」
声に振り返ると、この上なくおかしげな格好をした物の怪が立っていた。
ウマの骨を連
地獄サンタ7 焦熱地獄の六郎太1
ごうつくばりな地主め、今泉倉蔵のヤツめ! なにもかも貴様のせいだ。
日照り続きで米の収穫は半分も落ち込んだっていうのに、いつもどおりに厳しく取り立てられたんじゃ、たまったもんじゃねえ。朝から晩まで汗と泥にまみれて田を耕しても、腹いっぱいどころか握り飯ひとつ食えねえじゃねえか。
おかげで娘のおようが死んじまった。生まれていくらも経たねえってのに、可哀相によ。
挙句、女房のおトヨまで……。およ