恋人櫻23 一条の星明り3
再び女楼主の部屋へとやって来た蒼紫は、ずしり重そうな袋を差し出した。長年に渡って少しづつ小銭を貯めたものと一目でわかる。
「なんだい、随分溜め込んでるじゃないか。黒田の口振りからして、救いようがないほど貧しいと思い込んでいたわ」
碧は黒田に疑わしげな視線を投げかけた。
「わしも驚いとる」
「男の独り暮らしに、そう金がかかるものではありません」
「そもそも違和感があったのよね、揚げ代を払った時点で。てっきり密通かと早とちりしてしまったわ」
「そのような無粋、お許しいただけぬ