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【校閲ダヨリ】 vol.13 引用


みなさまおつかれさまです。
今回は、引用のお話です。

前提としてなくてはならないのは、
引用はパクりではない
という認識です。
事実を明確に伝えるためや、誰かの論に反論するため、自分の論の根拠とするためになど、サポート的に他人のテキストを用いるのが「引用」 です。

引用は、事前の許可なく、金銭も発生させず行うことが可能です。
ただし、その代わりといってはなんですが、いくつかルールがあります。
まずは、その大元となる「著作権法」を見てみましょう。

  第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

このように定義されています。
公表されていれば引用してもよいですよ」ということですね。
しかし、その方法に関して、著作権法では細かく触れられていない部分もあります。
さきほどルールと申し上げましたが、これは、著作権法に加え、裁判の判例に基づいて成立したものもあります。

以下、法律・判例から引用のルールとして定着したものを紹介します。


1《公表されていること》

ここが、引用のスタートラインです。
公表とは「広く世間に発表すること」で、未発表の原稿や、個人的なやりとり(手紙やLINEなど)の内容を引用することはそもそもできません。


2《自分の意見が主、引用が副であること》

これは、簡単にいうと、量(割合)の問題です。
「引用ばかりの文章では、あなたの著作とはいえませんよ」といったところです。

以降は、特に慎重になりたいところです。

3《引用であることがわかるように書くこと》

引用する場合は、「 」や改行(したのち、1行空け、通常より頭を2文字分ほど落とすことが多いです)で
そこが引用ですよとはっきりわかるようにしましょう。


4《一言一句違わず引用すること》

引用するときは、正確に行いましょう。
テキストデータ化されているものから引用する場合はコピペで構いませんが、校閲便り2号でお話しした、PDFデータからのコピペは気をつけましょう。(詳しくは vol.2 参照)
また、これに関連して、「元の文を勝手に変更しない」ということも知っておきましょう。
内容の変更はもちろん、文末表現を自分の文章に合わせたりするのもダメですし、勝手に省略するのもダメです。
引用部分が長くなりすぎてどうしても中略しなければならないときは、引用し終わったあとなどに

(中略は筆者による)

と追記しましょう。


5《出典を明記すること》

参考文献として最後にまとめて記載している本もありますが、私は都度載せたほうがよいと思っています。
項目としては

・著者名(筆者名)
・書名(論文名)
・出版社名

は必ず入れます。
加えて、学術論文などでは特に「いつ書かれたものなのか」が重要になる場合があり、「刊行年(発表年)」を入れるときもあります。
ここでひとつ大事なことに「孫引きをしない」がありますが、これについてはまたいつかテーマとして詳しく取り上げたいと考えています。


引用は、正しく使えば確実にあなたの優秀な右腕として文章を支えてくれるでしょう。
「腫れ物に触るようで怖いので、引用はできれば避けたい」という人が、この号をきっかけに一歩踏み出せれば幸いです。


それでは、また次回。


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