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自分の店を持つのに修行って必要?!料理人歴30年の夫に聞いてみた

数年前に実業家の堀江貴文氏が「修行不要論」を唱えて炎上した件、飲食業に携わる人なら一度は聞かれたことがあるかもしれません。

これには当時、多くの反発があがりました。

「職人になるまでのストーリーも美味しさのうち」
「技術だけ習得しても、人として大事なことが身につかない」etc...


しかし今、料理の職人の世界は大きな転換点を迎えています。

図らずも、堀江氏の炎上で一躍脚光を浴びた「寿司職人養成スクール」の存在は「飯炊き3年、握り8年」とも言われる業界の常識を大きくくつがえしました。

若い人のあいだでは、厳しい修行に何年も時間を費やすよりも、手早く技術を習得して独立したいという意見も多いようです。

一方で未だに「包丁握るまで○年」みたいなお店も存在します。

いったい長期間の修行って本当に必要なんでしょうか。必要だとしたらその理由は?


蕎麦打ち職人歴30年の夫に、思うところを聞いてみました。



修行は必要だと即答すると思った

夫の経歴を少しご紹介しますと、高校を出てしばらくは実家の蕎麦店で働き、その後とくによそへ修行に出ることはないまま後を継ぎました。二十歳のときでした。

なぜそんなに若くして店を継いだのかというと、ちょうどそのころ先代である母が病に倒れ、さらに蕎麦打ちを担当していた職人が退職を申し出るなど不測の事態が重なったからです。

いつかは継ぐことになるんだろう。それまでは適当に店を手伝いながらプラプラしていたいーー。

そんなふうに考えていた彼は、店が存続の危機に瀕したことでようやく後を継ぐことへの踏ん切りがつきました。

職人が退職するまでの1ヶ月ていどの期間に急いで蕎麦打ちを教わり、晴れてアトツギとなったのです。


そんな超スピード修行で事業を継承した彼に、まずは単刀直入に聞いてみました。

「料理の修行って必要?」


返ってきた答えは「うーん、なんとも言えないなぁ」と一言。歯切れが悪い。

私はてっきり、修行はした方がいいと言うと思っていました。


確かに結果だけいうと彼はすでに30年以上ものあいだ店を継続してきています。

が、1ヶ月教わっただけの「名ばかり職人」がひとつの店を切り盛りしていくには、そうとうな苦労があったとも聞いています。

手術を終えて復職した先代のサポートがなければ、とっくに店を潰していたとも。

ですので「早めに継ぐと決心してたら高校なんて行かずに修行に出てた」ぐらいのことは言うのかと思ったのです。



本人の意思で長引くこともある

そこでもう少し突っ込んで聞いてみました。

「じゃああなた自身は修行しておいた方がよかったと思ってる?」

またしても「うーん」と考え込み、そして重い口を開きます。

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