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夏目漱石論2.0

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2021年6月の記事一覧

和辻哲郎と夏目漱石

和辻哲郎と夏目漱石

※これはまだ下書きです。

 これは大正五年十一月に発表された作品なので、まだ漱石の死の前(寸前)にある。この「イゴイズムと戦う男」がどうしても夏目漱石に思えてしまうのはあくまでも私の勝手である。勝手ではあるが、絶対に違うとは言わせない。どうもそんな感じがあることを和辻哲郎は確かに仄めかそうとしている。

 そもそも私は「小説の登場人物のモデルが単一の誰」と言う議論は本質的に下らないものだと考えて

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夏目漱石『こころ』をどう読むか⑲ 静を観察せよ

夏目漱石『こころ』をどう読むか⑲ 静を観察せよ


財産があるなら働かなくていい 先生の「私」に対する態度、特にこの「無意味」という言葉は些か厳しい様に思います。しかしここで注意して読まないといけないのは、「私」の存在が無意味なのではなく、「私」が焦って求めている地位や糊口の資が無意味と言っているというところです。しかしこの先生の本意というものを掴みかねている人が多い様に思います。

 先生の本意とは何でしょう?

このことも殆ど議論されてこ

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夏目漱石の『こころ』における同性愛の構造

夏目漱石の『こころ』における同性愛の構造

 そろそろ買ってくださいよ。日本文学史がひっくり返っているんですから。読まないで死にますか? 人気のラーメンは千円しますよね。ラーメンを食べて死にますか? 夏目漱石作品を理解して死にますか?

同性愛かトランスジェンダーか

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夏目漱石『こころ』における罪の構造

夏目漱石『こころ』における罪の構造

夏目漱石『こころ』における罪の構造

飼育される静
 これまで繰り返し論じられてきた夏目漱石の『こころ』における罪の構造に関して、真砂町事件に関する嫉妬心が死ぬまで先生の心から消えないからくりに言及されたことがあっただろうか。また冒頭のすがすがしさや、先生が「私」によって全肯定される意味について、明確にされたことがあっただろうか。この二点について論じるためには、まず『こころ』が書かれている現時点に

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駄目な漱石論者たち

駄目な漱石論者たち

 夏目漱石 こころ 評論家でグーグル検索してみました。駄目な漱石論者を探すつもりではなくて、素晴らしい漱石論を探す為です。しかしそんなものは見つかりません。お馬鹿な漱石論しか見つかりません。

https://www.1101.com/yoshimoto_voice/speech/text-a134.html

 早速吉本隆明が上がってきました。この内容は「夏目漱石を読む」として文庫本になっている

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千野帽子は漱石作品を語るな

千野帽子は漱石作品を語るな

夏目漱石『こころ』は〈無理して読まなくていい小説です〉あなたには
 真面目な漱石論を探しているのにどうしてもおおよそ下らない、殆ど意味のない論文や記事にしか辿り着けないで閉口する。インターネットはそうしたゴミに学ぶ遊びのツールでもあるのだろうか。いささか意地の悪いタイトルのその先にある文章をどれだけの人が余計な感情を容れずに読むことがあるのか解らないが、少なくとも私は冷静に不快である。

 この本

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市川真人、富岡幸一郎、君たちはもう漱石を語るな

市川真人、富岡幸一郎、君たちはもう漱石を語るな

市川 真人/早稲田大学文学学術院准教授

 この人もやらかしていますね。准教授だそうです。学生さんではなさそうなので、少し厳しめに指摘しますよ。

>自分を唯一無二の親友と信じて恋心を打ち明けた相手を

 Kは友達は一人もいないと言っています。先生に養子に行ったことも告げません。どこに唯一無二の親友と書かれていましたか?

 そう書くからにはKが真砂町事件で片足を泥の中に踏み込んだとみるわけですよ

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鹿児島大学の春樹という人へ

鹿児島大学の春樹という人へ

https://manapedia.jp/text/1359

 兎に角間違いだらけの要約を見つけました。全部出鱈目です。どうしたらここまで間違えられるかと言う見本のようです。これで本当に大学教授でしょうか? 少なくとも他人に何かを教えるレベルにはありません。

 本当は中学生でしょう? 

 どうか身分詐称であって欲しい。

>先生は奥さんと2人で暮らしています。

下女がいます。確かにここは忘

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夏目漱石『こころ』をどう読むか⑳ アイスクリームは食べたか? ビールは飲んだか?

夏目漱石『こころ』をどう読むか⑳ アイスクリームは食べたか? ビールは飲んだか?

アイスクリームを食べたのか
 漱石という作家は相当に書き方を研究した作家です。何を当たり前にと思うかもしれませんが、案外読み飛ばされているのが、こんな工夫です。最初の文章、意味としては友人の家は資産家だがそう高い宿を取ったわけではない、という意味ですよね。ただそう書かないんです。書かないで読ませています。

 次が迷いますね。「私」は玉突きをやり、アイスクリームを食べたのか。スマホがないから行って

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夏目漱石の『こころ』をどう読むか⑩ Kは正直か?

夏目漱石の『こころ』をどう読むか⑩ Kは正直か?

感覚ではなくロジックで読む これまで夏目漱石の『こころ』について言われている駄目な解釈をまとめてみます。

・愛と友情の物語と小さく括ること→作品全体を捉えていない
・先生をエゴイストと見ること→「私」による全肯定、冒頭のすがすがしさを捉えていない
・明治の精神を明治十年代が持っていた多様な可能性と見做す事→明治の精神は明治天皇には始まり、明治天皇で終わる
・先生の死後、静も後追い自殺をしたとみる

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