snowflakes

ひとひらの雪は手にのると、水になって消えてしまう。はかないけれどその美しさは格別です。…

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ひとひらの雪は手にのると、水になって消えてしまう。はかないけれどその美しさは格別です。 ささやかに燃え尽きるようないのちの灯火、そんな大切なお茶の時間を過ごしていきたいと思っています。お茶とそれにまつわるアート、舞台など。黒田宗雪

最近の記事

絵画のような美しさ。北鎌倉・宝庵アトリエ棟

ピクチャーウインドゥとはこのことか! と、あらためて日本建築の美しさに感じ入った一日。 2024年3月31日、北鎌倉・宝庵アトリエ棟にて「椿茶会」の茶箱席を持たせていただいた。 ガラス戸を全部取り外し、窓を開け放つと、まるで野点席のよう。 目の前には一面に広がる1週間前にはまったく咲いていなかったニリンソウ、見上げると葉蔭に隠れて残る紅い椿。 ホーホケキョと既にハンサムに鳴けるウグイス、姿は見えないけどドラミングの音が聴こえるアカゲラ。 時折モンシロチョウもふわふわと横切

    • 『虎に翼』シシヤマザキさんのお茶碗

      新しいNHKの朝ドラ『虎に翼』1週目から面白すぎてはまっている。 主演の伊藤紗里さんが「はて?」と理不尽なできごとにぶつかるたびに「そうそう!100年経っても何にも変わっちゃいない!」とひとりオンデマンドの画面に向かってランチタイムに叫んでる。 脚本、演出、劇伴、演者と何から何まですばらしいのですが、OPの米津玄師『さよーならまたいつか』とシシヤマザキさんのアニメーションがまた絶妙。 ポワポワくねくねとさまざまな職業の女性たちがやわらかな色合いで踊って弾けて歌う! 瞬たけ

      • 花寄せ 野あそび茶会

        花は野にあるように。 利休七則では「一輪の花からも野を思い起こせるように」と説かれています。 何もない能舞台がまるで桜が満開の山であるかのように見える、あの境地が理想です。 春のお茶会では、いつもお客様に一輪ずつ花を選んで生けていただきます。 北鎌倉・宝庵のお庭に咲く花を台に載せてお出しし、自由に入れていただく趣向です。 少し経って襖を開けると、そこには春の野が。 都忘れ、二人静、小手毬、紫蘭、 5名のお客様がそれぞれ入れられた花が、みごとに咲いています。 私はこの瞬間

        • 百枚の葉を摘んで。空羽さんの「椿もち」

          2023年3月25日(土)、北鎌倉・浄智寺の「宝庵」から「たからの庭」まで山を縦断して行われた「椿茶会」。濃茶・薄茶・茶箱の席それぞれで、椿にちなんだお菓子を空羽さんが作ってくださいました。 私が席主を務めた茶箱席では、うっすらピンクの「椿もち」をお出ししました。あずき餡を上新粉のお餅で包み、宝庵の庭の椿の木から採った葉っぱではさんだもの。 もともとは宝庵の青カエデの木々の下で野点の予定でしたが、あいにくの朝から続く雨。 「アトリエ棟」に急ごしらえの床を設え、庭を見ながら

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          茶旗〜在釜(ざいふ)〜一期一会

          「在釜」(ざいふ)〜お湯が沸いています。お茶を一服いかがですか。というおもてなしのスタイルが始まったのは、いつのことでしょうか。 市中に「在釜」という旗が掲げられ、訪った人誰にでもお茶を振る舞う、というこの風流なスタイルにとても憧れていました。 江戸時代、煎茶道の中興の祖と言われる「売茶翁」が松の枝に「清風」というハタを掲げ、煎茶を無料あるいは有料で振る舞ったことが由来とも言われています。 (タイトルの写真は水屋を手伝ってくださった田子さんが同じく宝庵で行われたお煎茶の

          茶旗〜在釜(ざいふ)〜一期一会

          在釜(ざいふ)〜どなたでもお茶を一服 夏

          「在釜(ざいふ)」 このハタが軒先にあったら、中で釜を掛けています、どなたでもお立ち寄りください、お茶を一服差し上げます、というお知らせです。 京都では今でも見かけることがあるそうですが、なかなか見られないこの「在釜」。 8月7日の日曜日、いつもの北鎌倉・宝庵にて、特に予約なく茶室を訪れた方にお茶とお菓子を差し上げる初の試みとして、「在釜」のハタを掲げさせていただきました。 どのくらいの方々がいらっしゃるか、全く見当がつかなかったのですが、5名を目処にご案内するお客様が途

          在釜(ざいふ)〜どなたでもお茶を一服 夏

          夏は涼しきように。氷の設え

          立秋とは思えない猛暑が続きますがいかがお過ごしでしょう。 8月7日(日)初の試みとして「在釜」を北鎌倉・宝庵にて行いました。どなたでも茶室にフラリと来てお菓子とお茶を召し上がっていただく企画です。 催すに際し、クーラーもなく、毎日35度近い暑さが続く中お客様にいかに涼しく過ごしていただけるか、考えているうちに「氷柱を立てる」ことに思い及びました。 昔、真夏の屋外での結婚披露宴で、氷柱が立っていたことを思い出したのです。鮨の屋台と共に、見事な鶴の氷が立っていました。 「今月

          夏は涼しきように。氷の設え

          ユキノシタ〜切実な愛情

          6月10日の誕生花はユキノシタ、花言葉は「切実な愛情」 恒例の北鎌倉・宝庵での「野遊び茶会」でも、庭にひっそりと咲くユキノシタを使わせていただきました。 参加された方々に、思い思いに生けていただいた「時のもの」。 ユキノシタは白くて花も小さいので目立ちませんが、こうやって一輪一輪差していただくと、小さな蝶がひらひらと舞うようなアクセントとなっています。 初夏に咲く花なのになぜ「雪の下」というのだろう、思っていましたが、寒さに強く冬の間も雪の下でじっと耐え花を咲かせること

          ユキノシタ〜切実な愛情

          カムカムに「雪」点前登場!

          裏千家は茶箱の点前があるのがとても楽しいと思っているので、市川実日子さん演じるお茶のお師匠さんが親友の深津絵里さんに茶箱を持参して楽屋でお茶を点てるシーン、ものすごしっかり監修されててうれしくなりました。 クリスマスの日のコンサートの楽屋だから冬の茶箱のお点前「雪」☃️なのです。春の「花」夏の「卯の花」みたいにお盆がいらないし、お茶碗もちゃんと仕覆に入れられていてシンプルながらシッカリしたちょうど良いお点前で私は好きです。 「お茶は誰かのためを思って点てる」 この一子さ

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          名残の月見茶会 #4 青い薔薇のお茶入れ

          さて、お茶会まであと3日しかないのに、連日のショパンコンクール2021のYouTube中継にハマり過ぎて寝不足であるばかりか、風邪までひきそうになっています。ヤバい。今年はコンテスタントが『蜜蜂と遠雷』の再現か!と世界に叫びたくなるくらい多彩で面白すぎて、本来10人しか出られないファイナルに12人、そしてそのうち2人は反田恭平さんと小林愛実さんの幼なじみコンビで、2人とも才能溢れすぎの上にある程度経験を積んで円熟しているとあって毎日泣きながら深夜の演奏を追っかけてます。 し

          名残の月見茶会 #4 青い薔薇のお茶入れ

          名残の月見茶会 #3 ネウマ譜の額装

          今年の9月20日の中秋の明月には、木星と金星、そして肉眼では見えないけれど海王星が寄り添っていました。 ちょうど由比ヶ浜で夕陽と満月が昇る様子を見たのですが、それは美しい光景でした。 そして2021年の「後の月」は新暦の10月18日(月)になります。 今回の「名残の月茶会」はその6日後になるわけですが、八畳間の「常安軒」では茶箱の月点前で地上でのお月見を、一畳台目の茶室「夢窓庵」では、月に静かに寄り添っていた太陽系の最後の惑星、海王星をイメージすることにしました。 八畳間

          名残の月見茶会 #3 ネウマ譜の額装

          名残の月見茶会 #2 待合のキラキラ汲み出し

          宝庵までは源氏山公園へ続くゆるい坂道を登っていただくので(現在は夏の大雨の影響で宝庵の先は閉鎖中)この時期まだ結構ノドが渇くかしら。。迷いましたが、あまりに美しいので、ガラスの玉露用の器を織田流の南窓さんにお借りしました。待合でお出しする汲み出し用です。30ccしか入らないようなので、到着されたらお水を別にご用意しようと考えています。 福井県のglass atelier えむに さんの作だとのこと。水上竜太さんとマエタミユキさん夫婦のユニット名で頭文字をとって「M2」。 h

          名残の月見茶会 #2 待合のキラキラ汲み出し

          名残の月見茶会 #1 花は何を入れよう

          10月24日(日)に北鎌倉・宝庵で名残の月見茶会を開きます。こんな時期なので、友人だけの午前午後の2席のみ。2人から5人の少人数で、茶室も開け放して行います。いつも終わった後はホッとしてしまい、そして開いたことで満足して記録を残さないので(笑)備忘録含めて事前準備を書いてくことにしました。何かのお役に立てば幸いです。 さて、10月神無月はお茶では師走。11月に新しい茶壷を口切る前、風炉から炉に移り変わる前の名残月。ラストスパートのドサクサでなんでもありの、かえってさまざまな

          名残の月見茶会 #1 花は何を入れよう

          ユウガオの里で夕去りの茶事

          お誘いいただき、下野のさる茶室にて夕去りの茶事。認識していなかったが、下野の国はかんぴょうの生産量日本一のユウガオの里だとのこと。床には畑から来たという見たこともない野生的なユウガオが生けられ、まだ日の高い15時に席入りして初炭、懐石、薄茶、濃茶と進んでいくうちに、蕾からゆっくりと花開くユウガオの凄みあるさまを間近に見ることができた。まさに「夕去り」を堪能する贅沢なひととき。 夕去りの茶事は黄昏時の前後に行われるため、初座が「陽」となり、床の間には花が荘られる。ユウガオとい

          ユウガオの里で夕去りの茶事

          雪介のミズキの茶碗

          梅雨が明けました。ようやく星空も見られる季節となりましたが、7月11日に新暦での七夕茶会を北鎌倉・宝庵にて催しました。少しずつ、設えなどご紹介していきます。 『Freut mich』ハジメマシテ 『Baum』木 雪介の産ぶ声です。 雪介は私自身ではなく、分身Jr.と言ったところ、雪ノ下木工室から生まれた出た雪介です。 お茶碗、今回がハジメマシテのお茶会です。 「宗雪 雪介 北鎌倉 星まつり茶会」ということで、まずは雪介さんの茶碗から。 鎌倉彫の雪ノ下木工室で創られました。

          雪介のミズキの茶碗

          金工・角居康宏さんの円相花入とドクダミ

          北鎌倉・宝庵での野遊び茶会、無事に終えることができましたが、そのお茶会で使ったのがこちらの花入。5月2日はまだドクダミには早く、その時分に咲いていたモッコクモドキ(車輪梅)を生けてみました。 これもかなり良い感じでしたが、ドクダミの方がシンプルできっと素敵だろうなぁ、と思っていたところ、東京ではあちこちにドクダミが咲き始め、さっそく自宅で生けてみた次第。 花の後ろの葉っぱが邪魔かな。茶室の土壁だったら、きっとドクダミの白い花が映えて素敵だろうな、と思います。 石川県出身

          金工・角居康宏さんの円相花入とドクダミ