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名残の月見茶会 #3 ネウマ譜の額装


今年の9月20日の中秋の明月には、木星と金星、そして肉眼では見えないけれど海王星が寄り添っていました。
ちょうど由比ヶ浜で夕陽と満月が昇る様子を見たのですが、それは美しい光景でした。

そして2021年の「後の月」は新暦の10月18日(月)になります。
今回の「名残の月茶会」はその6日後になるわけですが、八畳間の「常安軒」では茶箱の月点前で地上でのお月見を、一畳台目の茶室「夢窓庵」では、月に静かに寄り添っていた太陽系の最後の惑星、海王星をイメージすることにしました。

八畳間は白石雪妃さんの美しい書による「掬水月在手 弄花香満衣」を再び掲げることにします。本来、咲き誇る花と朧月を楽しむ春山に遊ぶ詩の一節ですが、少し冷たくなった水を掬い、月を愛で、菊の高貴な香りを衣に纏わせるのも一興かと。イメージはできています。

https://note.com/klara/n/na3c5cceb843e

困ったのは、離れの茶室の設え。地上で眺める後の月から遠く離れて、太陽系の果て、この先は何があるかもわからない漆黒の闇。

海王星は太陽系最後の星。
境というか、ハザマというか、その先に行くための中継地点のような、準備の場所のような、そんな空間にすればよいのかな。
もしかしたらある意味カオスでもよいのかもしれない。
そこでお茶を一服。

『ゼロ・グラビティ』という映画では宇宙は「無音」で爆発する宇宙船もただただ形が崩れて残骸が飛び散っていく有様だけで、かえってその非情さが際立っていました。でもこの場所はそこに至る前の、大気に満ち、風が吹き、波が起こり、音楽が聴こえる最後の場所。

なんとなく宮沢賢治を思い出して、星巡りの歌などを思い浮かべ、そして聖歌はどうかな、と思いつきました。
以前、七夕に使えないかしら、と思って丸善で買い求めていた18世紀イタリアの写譜があります。

ネウマ譜と呼ばれる口伝えだったキリスト教の聖歌を、最初に記号で記した譜面です。
あらためてラテン語の歌詞を調べてみると、タイトルの
『一本の橋』De Vno Mart Pont は信仰のこと、
歌詞の中の
『彼・彼女の主人〜』はキリスト、
『平和と王(love)、かぐわしい香り。。』
なのかな、と雪介さんと話し、額装してみることに。
雰囲気が合っていたもう一片の『Alleluia』はまさに『ハレルヤ』なので、こちらも組み込むことにしました。
茶碗の金継ぎありの名残のお茶だから、ネウマ譜の切り貼りも許してもらおう!

ものすごい昔にMOMAで購入したロンゴのポスターを額装してもらった銀座の伊東屋にお願いしました。
(額の方がポスターの10倍くらいの値段になった。。)

額を選んでマウントする紙も好きなものを選べます。
対応くださったハナダさんとあーだこーだと迷いながら、結局最初に選んだ金色の額と、フェルトっぽい濃紺の紙に決定。
1週間から10日くらいでできるとのことで、連絡あるのが楽しみです♪

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