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雪介のミズキの茶碗

梅雨が明けました。ようやく星空も見られる季節となりましたが、7月11日に新暦での七夕茶会を北鎌倉・宝庵にて催しました。少しずつ、設えなどご紹介していきます。

『Freut mich』ハジメマシテ
『Baum』木
雪介の産ぶ声です。
雪介は私自身ではなく、分身Jr.と言ったところ、雪ノ下木工室から生まれた出た雪介です。
お茶碗、今回がハジメマシテのお茶会です。

「宗雪 雪介 北鎌倉 星まつり茶会」ということで、まずは雪介さんの茶碗から。
鎌倉彫の雪ノ下木工室で創られました。

第一にお茶に使う茶碗と言えば陶器ですが、こちらは木地となります。
(文字はドイツ語。茶会を催す宝庵は、バウハウスの影響を受けた建築家、山口文象の設計によるものです。この話はまた)

材はミズキの木です。
5月になるとふんわりと微かに香る小さな花を咲かせます。
5〜60年70年かもっと経たミズキを、風などで倒れると危ないからと、先日切っていただいたもの。5〜6人がかりで大変だったとのこと。
文字は漆に金粉になります。

木目は樹木が生きてきた証ですが、その模様を質感をもって手に取ることができます。もはや天に向かって成長することはありませんが、この茶碗でお茶を点て、集った仲間といただくことで、また違った豊かな時間が生まれてきます。お茶を点てていくことで、新しい水が染み込み、茶碗としても育っていきます。
木の茶碗はおそらく最初に生まれた器だと思うのですが、縄文時代から続く数万年のヒトの歴史を感じることもできますね。

私の先生からは「木のお茶碗なんて。。」と呆れられそうですが、夏の生地ばかりで設えた席も軽やかで涼しげ。

今回も「密を避ける」ということで一畳台目の茶室に入っていただくことはできませんでしたが、次の機会にはぜひ実際に手のひらに木の生命を感じながら茶のスピリッツをいただいてみたいと思います。

以下、余談ですが鎌倉彫豆知識。
鎌倉で使うカツラの木はは赤い桂、緋桂です。
地球上で北海道にだけしか生えていないそう。
樹齢は100〜150年、直径で1m位のものが最良ですが、切り続けてしまって、今はもう取り出せない山の奥に僅かにあるだけと聞きます。

森林あっての山と海。そして人の生活です。今季の朝ドラ『おかえりモネ』でも登米の森林と林業、そして太平洋と漁業の繋がりが描かれていますよね。

茶室にいっしょに荘った香合は、那智熊野大社創建1700年記念茶会の際に、熊野の杉の木で作られたもの。那智の滝も、はるか太平洋に注ぎ込みます。

こちらの設えにつきましては、また続きで。


#鎌倉 #茶 #鎌倉彫 #宝庵 #夢窓庵

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