マガジンのカバー画像

福祉系の話題

7
運営しているクリエイター

記事一覧

「ジョーイ あるイギリス人脳性麻痺者の記憶」について

最近、脳性麻痺のかたの自伝のような本を続けて読んでいるけど、このジョーイさんはイギリスの人。発声が困難でほとんど理解してくれる人がいなかったけど、同じ脳性麻痺で出会った友人が彼の発語を理解してくれて、そこで一気に世界の幅が広がったそう。この本も、そうした彼の発語をその友人アーニーが解し、2人の仲間も含め、知的障害の程度も様々な4人のグループで文字化して、少しずつ少しずつ作成して完成させたそうだ。「

もっとみる

坂井聡さん著「知的障害や発達障害のある人とのコミュニケーションのトリセツ」

とても読みやすく、エッセンスがぎゅっと詰められた本だった。自己決定を支援する。言葉にこだわらない、やり取りの成立を大事にする。合理的配慮とは、特別扱いすることである。あるいは、同じ土俵に上がることである。

1,おしゃれかっこよさについて。 「かっこいい」というのはこれからの特別支援教育を考える上で重要なキーワードである、という。障害のある人だって、持ち物はかっこいいほうがいいし、過ごす場所もおし

もっとみる

井手英策さん「どうせ社会は変えられないなんて誰が言った?」

最近感銘を受けている井手英策さんの議論。共著の新書を何となく読んで、「何で消費税増税???」と、訝しく「幸福の増税論」を読んだのがきっかけでしたが、読む前と後では増税への見方が180度変わったかもしれないです。続いて、最新刊のこちらを読みました。(反対論も知っておこうと思い、正反対っぽい題名の菊池英博さんの「日本を滅ぼす消費税増税」も読みましたが、)

この本は、井手さん論じるベーシックサービスの

もっとみる

医療観察法開始当初の反対論者の本を今になって読んだ ー”動き出した「医療観察法」を検証する”(2006年)

医療観察法開始当初に出た本だけど、

いやあ・・・ 医療観察法って、こんなに大反対されていたのか。。。

中島直先生も反対論者だったのか。。。

反対論の柱は自分の理解によれば、

・軽微な傷害によっても”とじこめ”保安処分が生じうる
・指定入院医療機関の数が少なく、遠い病院に入れられてしまうと、社会復帰がかえって困難
・鑑定入院の位置づけが曖昧

といったところだろうか。

少なくとも現在の現場

もっとみる

幸福の増税論vs日本を滅ぼす消費税増税

井手英策さんの「幸福の増税論」を読んだ後、思考を相対化する目的で、対極に位置するように見えるこちらの本「日本を滅ぼす消費税増税」を読んでみました。ただ、2012年とやや以前の本。

読んでみたところ、意外と、菊池さんの議論は井手さんの議論と乖離しているわけではなかった。
新自由主義や小泉構造改革への批判など、立ち位置が重なっていたのは意外な発見でした。
分岐点となるのは、「消費税増税なしで、社会保

もっとみる

熊谷晋一郎さんの取組む「雑誌」

本のような形だけど、雑誌という扱いのよう。熊谷晋一郎さんがリーダーをつとめる、定期刊行物。たまたま図書館の一角で見つけた。
今回のテーマは「みんなの貧困問題」。

障害がないとは、周囲から十分な配慮を受けている状態のこと。
「多様な人がいる社会、すばらしいよね。でも、近くには来ないでね」ではなく、敢えて関わる。配慮をする。

山森亮さんのベーシックインカム論も。所得が一定程度保障されれば、わるい「

もっとみる
「障害者介助の現場から考える生活と労働」ー介助という深淵

「障害者介助の現場から考える生活と労働」ー介助という深淵

何気なく手に取ったけど、面白かった。障害者介助に関わる人たちによって、「介助」の本質に迫る様々な悩みや、ストーリーが描かれている。自分の中で統合しきれていないけど、非常に印象的な断片が数々あった。

たとえば、複数の方々が実名・匿名で、影響を受けたと名前を挙げていた新田勲さんの話。重い言語障害があるため、足文字を使って介助者に言葉を発声させる。そして足文字で闘う新田さん。

たとえば、野宿と介助の

もっとみる