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第二回絵から小説 作品集

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2022.2.14.20:00~2022.3.15開催「第二回 絵から小説」作品集です。スゲー作品がいっぱい増えるといいな!
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#ショートショート

第二回「絵から小説」作品集 目次と企画概要

当記事は、自主企画「第二回絵から小説」マガジンの目次です。 企画「第二回絵から小説」内容は以下の記事をご覧ください。 タイトル/作者の順です。※制作・創作が対等な立場であることに敬意を示すために、お名前に「さん・様」は付けない表記にしております。 気になるタイトル、気になる作者、選ぶも自由、読むも自由。どうぞご覧くださいませ。 A1.水色の果実と滴る涙/Haruka.•* 2.あおい/志麻/shima 3.はなちるさんどう/へいた 4.盲目の君は何を憂い/shin 5.

【総括】第二回絵から小説を終えて

こんにちは、清世です。 忙しくてネットから離れてました。更新が遅くなりすみません、生きてます! 2月~3月まで、第二回「絵から小説」という企画をしておりました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。今日は企画総括と終了宣言をします。 第二回「絵から小説」はこちら 1.数字マガジンに入れた作品数は109点!なんとスリップノットが約1ダースという結果に。ありがとうございます! 2.やってみたこと・気づいたこと①省いてみた 前回はタグ付けして頂いたものは全てマガジン

深海のかなた【第二回「絵から小説」】

第二回「絵から小説」という企画のお題絵Cに小説を書きました。 「ねぇしずく、イケナイことしようか…。」 そう言って重ねられた唇は、柔らかくて甘い香りがした。 海南(カナ)は私の幼なじみの女の子だ。 女子高に進学してからも親友だった。 学校での海南は、明るい性格で皆に好かれていた。 引っ込み思案な私となぜ親友なのか、不思議なくらいだった。 時々彼女は授業をエスケープするが、いつもは帰ってくるとけろりと笑っていた。 そんな彼女が珍しくエスケープに私を誘ったときに、キスをさ

ショートショート#2 禁じられた遊び

 僕は朝夏(あさか)の目が好きだった。 真っ白で陶器のような肌が。 「ねぇ、『禁じられた遊び』っていう映画。」  朝夏は、学童からの帰り道、歩道の白線に沿ってバランスをとりながらそう言った。  僕は、朝夏の肩に付くくらいの長さに揃えられた髪が揺れるのを、横目で追いかけながら 「知らないけど。」  そう答えた。 僕たちの家は、それぞれ共働きだった。学校を終えるとすぐ、地元の公民館の一角にある学童に通っていた。帰りは、だいたい夕方の5時を回るくらいだった。

遠い、記憶の先で。

ふわり、カーテンが揺れる。生ぬるい空気と痒くなる目元に、春の訪れを感じられた。 午前の仕事を終えた私は、日差しが差し込むソファの上でゆっくり、入れたばかりのハーブティを傾ける。暖かな液体が喉を伝う感覚を、丁寧に味わった。 ふと、今住んでいるところの近くに、昔少しだけ住んでいたことを思い出す。 小さな庭がついた賃貸住宅。細かい砂利が敷き詰められた遊び場で、ざくざくと地面を掘り起こしていたら、ふと柵の向こうにも自分と同じぐらいの歳の男の子が遊んでいることに気がついた。 じー

【絵から小説】ネオテニー(3386文字)

「ねえ、どうするか決めた?」 エフは地べたに足を投げ出して、後ろについた両手で体を支えている。 エフの赤茶色のローブが内側に風を含んでふわりと広がった。 「ううん、全然」 シルは膝丈より少し長い深緑色のローブの裾を指で弄びながら、眼前にぽっかりと口を開けた洞窟を体育座りの姿勢でぼんやりと眺めていた。 「全然実感湧かないよね」 「そうだね、いきなり性別を選べって言われてもね」 2人は全く我が事にならない課題を前に頭を抱えていた。 人類が立ち入らない未開の土地。 外見上、ほとん

黄泉に、還る【第二回「絵から小説」】

「第二回『絵から小説』」という企画のお題絵Aに詩をつけました。 私は綺麗なまま、いきたかった。 貴方の記憶の私は、綺麗なままでいて。 そう願ったのに。 どうして迎えにきてしまったの。 もう私はあの頃の私ではない。 光の世界は私を焼き尽くす。 だけど貴方は知らずに手をひいていく。 ねえ、振り返らないで。 振り返らなければ、私は綺麗な思い出のまま。 本当は私だって貴方の元に還りたい。 でも、もう遅い。すべては終わってしまった。 私は貴方の手を振り払う。 その瞬間、貴

転校生は魔女

その転校生は先生に促されるまま 聞き取れないほどの小さな声で名前を言い 僕の隣の空いている席へと座った 三学期初めの、あと数か月もすれば中学生になる こんな中途半端な時期に珍しい 全身真っ黒な服を着るその転校生は ほとんどが原色を着るクラスの中で逆に目立つ 長く黒い髪にどこかミステリアスな雰囲気 そして宝石のような青い瞳 ホームルームが終わると 女子たちが彼女の元へと集まって来て 我先にと質問攻めを始めた 「どっから来たの?」 「どこ住んでるの?」 「外国の人なの?

【小説】 輪廻のソナタ 【#第二回絵から小説】

 海原千晴は肩で風を切りながらバレエ教室のレッスンへ向かっている。その傍で彼女に羨望の眼差しを向け続ける金山美宏は通称「金魚のフン」と陰で呼ばれているが、美宏はそんな噂を耳にしても平然としていられた。踊ることでその才能を世に知らしめる千晴の傍にいられることに、同じ教室に通う美宏は悦びを感じていたのだ。 「千晴様、お鞄お持ち致します!」 「……やめてもらえない? 今は下校中だから、あまりにも人の眼が多いわ」 「そんなこと……私は人の眼なんか気になりません!」 「あなたじゃなく

芽生え

気づくと空は真っ黒な雲で覆われ 突然の豪雨が僕らを襲った _ 「この前ね、光る花を見つけたんだ」 そう言って君は学校帰りの僕を 当たり前のように連れ出した ランドセルを玄関に置いて 言われるがまま一緒に入った森の中 自然しかないこの田舎町のいつもの遊び場 僕らにとっては庭みたいなものだった 拾った長い木の枝を振り回しながら ぬかるんだ山道を真っ直ぐ中へと入って行く 「こんな奥まで来たの初めてかも」 「私もこの前初めてここまで来たんだ」 僕らは家が近く幼なじみで 小

少女の使命 (第二回絵から小説用)

とある者たちは彼女の左半身からの景色を奪い去ってこう言った。 「彼女の目は怒りに満ちている」 またとある者たちは彼女の右半身からの景色を覆い隠してこう言った。 「彼女の目は希望に満ちている」 彼女はただそこに存在しているだけなのに。人間は自分が見たいように宇宙を創り替えてしまう。 ◇ ただそこに存在している彼女。 彼女は世界が疫病に侵されていた2022年に生まれた。 名をヘレンと言う。 ヘレンは生まれた時から“少女“だった。 肩まで伸びた黒髪がよく似合

進路への分岐点 #第二回絵から小説  第760話・2.22

「石見さん、進路はどうするの?」石見葵は今後の進路について、放課後に担任に呼び出されていた。 「え、いや」葵は進路については何も考えていない。高校3年になった石見は、小さいときから漠然と自由というものに憧れていた。とにかく縛られるのが嫌い。義務教育などはさすがに従ったが、高校進学すらも迷ったほどで、両親からの説得で進学したほど。それもわざわざ私服が認められている高校を選んで入学。  だから高校卒業後の進路について、全く何も考えていない。普通に考えればどこかの大学に進学するのが

物書きあつまれ!第二回「絵から小説」【詩もOK】

こんにちは、あるいは初めまして。清世と申します。 先日開催しました展覧会では、多くの方に応援・ご高覧いただき誠にありがとうございました。 そしてやはり思うのです。 わたしは創作で、みんなと遊びたい。 絵はコミュニケーション。 あなたとわたしの感性のやりとり。 すなわち、創作での殴り合い。 自主企画 第二回『絵から小説』始めます。 0.企画『絵から小説』って何?2021年8月にわたくし清世が主催しました自主企画です。 端的に言うと、清世が描いたお題絵3枚から好きなの選

【#第二回絵から小説】ネットアイドル

「みなさん、おはよー」 その少女は、ネット界隈で有名なゲーム配信者だ。 ボブヘアで黒髪の少女は、男の子たちを夢中にさせた。 「新しく発売されたゲームをプレイしますね」 誰にでも愛想がよくて、ちょっと大人の会話も許容した。 ゲームが少し下手でも、根気強くプレイをして 上達する。 頑張りを見せる事で、プレイを見ているリスナーが 自分が上達したかのように錯覚をする。 リスナーのコメントにも柔軟に対応するが リスナー側の意見に引っ張られると危険だ。 そのため 失言には注意をしていた。