2024年5月の記事一覧
手鏡日録:2024年5月20日
副都心線の雑司が谷駅から階段を上がり、地上の光が見えたとたん、ひんやりとした空気に包まれた。リュックの中の上着を取り出そうかと逡巡するうちに、路上の気温はあたたかさを取り戻した。今の冷気はなんだったのだろうか。ともあれ、まずは鬼子母神から雑司が谷散歩を始めることにする。
都電の踏切を渡り、欅の聳え立つ参道に足を踏み入れると、ひゅっと涼しい空気がぶつかる。さっきの冷気とは違う。周りの市街化に抗うよう
手鏡日録:2024年5月12日
家族写真を撮った。
かつて一家だった人たちは三つの家族になり、その最大公約数みたいな場所、横浜に集合した。写真室はデパートの片隅で、フロアの喧騒を離れたそこは月日で隔てられた元家族が集まるのにふさわしい静けさだったが、被写体である子どもたちがそのうらぶれた静謐を濁らせてしまったのは少し申し訳なかった。もっとも今日の撮影の主役は、子どもたちのおじいちゃんである、我が父なのだけれど。
カメラマンが哀れ