ひとしお

夜になる少し前

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ずれていく

心がずっと体に追いついていない感覚があった。 心と体がばらばらになっても、それでもまだ進もうとしていたら、とうとう壊れてしまった。 冬の繁忙期は一年で最も仕事が忙しい時期だが、今年は人手が足りなくて、例年以上の忙しさだった。 4日働いて1日休むシフトで、休日出勤となると休みが完全に飛んでしまう形になっていた。 職場のみんな、この環境でこなせているのだから、なんとかなるはずだと思った。疲れているだけだと思った。3月のはじめ、3回目の9連勤の途中で心がぽっきり折れて、昼休み

    • 2024年4月

      今年の桜は遅かったけれど、うまく仕事の閑散期にかかってくれたおかげでのんびり楽しむことができてうれしかった。お花見を誰かとするの、何年ぶりだったろう。すきな人とするお花見は本当に楽しかった。 桜、散りかけて葉っぱが出てきてからも好きだ。清々しい新緑の色が鮮やかで、新しい季節の到来を感じる。 気温が上がってくるとともに少しずつ気持ちも上向いてきて、この頃は異常に不安になったりさみしくなったりして泣くことがなくなった。かといってハイになるわけでもなく、波がちょうどいいところに来

      • 2024年3月

        最近雨ばかり続いて、なかなか気分が上がらない。仕事をしているときの雨はどこまでも行けそうな気分になるけれど、休みの日の雨はどこにも行きたくなくなる。 3月の頭まではかなり精神の調子が悪かった。わけもなく涙が出たり、とてつもなく死にたくなったりした。苦しくて苦しくてたまらなかった。 恋人とひとつ約束をした。生きる意味とか、死ぬとか言わないこと。たくさん泣いてしまった。死にたい気持ちを受け入れてもらえなかったことが悲しかったのか、困らせたことが悲しかったのか、今までの人生で我

        • 雑記_2024_0329

          私に「元気?」と聞く代わりに、「桜が咲かんなあ」と声をかけてくれる先輩がいる。元気かと聞かれると、元気ですと答えてしまうからだ。桜はまだ遠いなあ、から始まって、蕾が膨らんできたなあ、になり、先日ついに「桜が咲いたで!」と声をかけられた。こんなとこ抜け出して桜見に行こうや、と仕事中にもかかわらず先輩は笑って言う。桜の開花とともに長く苦しい繁忙期の終わりがやっと見えてきた。 ▽ なにかを、誰かを好きでいすぎることは苦しい。私にとっては。胸の奥がずっと燃えているような感じがする。

        • 固定された記事

        ずれていく

          雑記_2024_0305

          仕事で車に乗っている途中ですれ違った養鶏場のトラック。所狭しとニワトリが押し込まれている。通り過ぎていったあとにはひらひらと真っ白な羽が残されて、なんとも言えず切ない気持ちになる。自分だって鶏肉を食べるし卵も食べるのに、自分勝手な感情だな、と思ってすこし嫌になる。割り切れない気持ちを割り切れないまま抱えること。祈り。 ▽ 好きなひと。どうか私が壊れてしまうくらいに抱きしめてくれと思うときがある。あなたのその腕の力ではらはらと崩れ落ちることができたらどんなにいいだろうか。壊れ

          雑記_2024_0305

          2024年2月

          冬の深まりとともに鬱も深まってくる。仕事でも、休みの日でも、うまく元気が出せなくてもどかしい。頭では頑張りたいと思っているのに心身がついてきてくれない。最近は趣味をやる元気もない。写真、そろそろちゃんと撮りに行きたいけれどなんだか億劫なのと、出かけようと思う日に限って天気が悪くて断念してしまう。雨の日の写真をかっこよく撮ってみたい気持ちもあるけれど、面倒臭さが勝ってしまってよくない。 今月は2回通院日があった。病院、自分のことについて話すのが下手だ。うまく話そうとしてしまう

          夜が長かったころ

          子供の頃、自分の部屋がなくて家族3人同じ部屋で寝ていた。そのころ両親はよく喧嘩をしていて、口で父親に勝てない母親は途中で折れて、黙って怒って真っ暗な寝室にこもって眠ったふりをするのだが、多くの場合私もそれに付き合わされていた。 どうして仲良くできないのか、どうして分かり合おうとしないのか。自分のことで喧嘩になったとき、いつも死にたかった。怖かった。苦しかった。父の口調が怖かった。父が感情に任せて家を飛び出してしまったときは、もう帰ってきてほしくないと思ったこともある。そうす

          夜が長かったころ

          雑記_2024_0217

          光が春だ。光の角度も色も、輝き具合も、いつからか春めきはじめた。気付かないうちに季節が移り変わる。冬が終わるのはすこしさみしい。冬のことは結構好きだけれど、寒いと心身の調子がおしまいになってくるので複雑なところだ。春になったら鳥取砂丘に行きたい。砂丘の向こうに見える青い海を眺めたい。春には仕事が閑散期に入るので恋人と過ごせる時間も増える。春が待ち遠しい。 ▽ 爪をむしるのをやめられない。爪の先の白いところをついついむしってしまう。むしれるところがなくなったら、周りの皮をむ

          雑記_2024_0217

          遠くまで泳ぐ

          ずっと言えずにいたこと。先日、父親にようやく恋人がいることを打ち明けた。いいんじゃない、とゆるい感じで受け入れられた。父親はずっと気が付いていたけれど、言わずにいたらしい。お前の人生なんやから、好きに生きたらいいんや。そう言って父は笑った。思った以上にすんなり受け入れられて、拍子抜けした。 秘密を抱えたまま生きるのは苦しい。抱えた秘密のぶんだけ、ずんと心に重さが増すような気がする。いつ打ち明けようか、ずっとずっと悩んでいた。隠すほどのことでもないはずなのに、なぜだかなかなか

          遠くまで泳ぐ

          2024年1月

          日記ならぬ月記みたいなもの。 あっという間に2023年が終わり、2024年の幕開けを迎えた。正月休みは比較的ぼんやり過ごせたと思う。今年は5日間も休みをもらえてうれしかった。 心身の調子がそんなによくない。周期的には鬱の周期に入ってきている。夏の繁忙期には普通に残業も休日出勤もこなせていたけれど、今はとても苦しくて、定時で帰れる契約に変更してもらった。毎日定時で帰れるようになってからはすこし調子が安定してきた。 苦しかったこと、気持ちが安定してくるとあっという間に忘れて

          2024.01.15

          気持ちがぐらぐらする。苦しい。なんで苦しいのかわからない。 指導員に戻ってほしいと思われていること、わかっている。受付事務も人手が足りていて、私の居場所はない。 全部わかっている、頑張らなくちゃいけないことも、ここが比較的いい環境の職場であることも、わかっているけれど、苦しい。私の本当にやりたいことはここにはない。苦しい。周りの期待に応えたい。いてほしいと言われたこと。誰のことも裏切りたくない。苦しい。やればやるほど向いていないと感じる。どうしたらいい? 夏の軽躁状態の

          2023

          この1年は本当にいろんなことが起こった波乱の年だったと思う。休職したり復職したり、いろんなことがあった。 1月から3月にかけての繁忙期、ずっと無理をして働いていたらとうとう3月の半ばに壊れてしまって、3ヶ月の間休職をすることになった。躁鬱で気持ちが上がったり下がったり、薬でなんとか抑えながらの日々だった。 未だに調子はぐらぐらしているけれど、とりあえずなんとかやれている。これからまた繁忙期に入っていくけれど、今度は無茶をしないでほどほどにうまくやりたい。 ずっと恋愛がわか

          ぼやけたままで

          ミラーレスの単焦点レンズを買った。普段フィルムで撮るときはずっと単焦点を使っていたけれど、デジタルの手軽さでパシャパシャ撮れるとなるとまた違った楽しさがある。玉ボケが楽しくて光ばかり撮ってしまう。 光の触れられないところが好きだ。手を伸ばしてもすり抜けて、遠くてきらきらしている。ぼやけた光を撮るとき、光の触れないところをそのまま切り取れた感じがしてちょっとうれしい。 ときどき、いろんな触れられないもののことを考える。光、音、思い出、感情。さわれないからこそいろんな形でいら

          ぼやけたままで

          雑記_2023_1203

          膨らませて長い文章にするほどでもないものたち。最近のことなど。 ・急に寒くなって心身がついていけない。ベッドの横に窓があってずっと寒くて、いい加減模様替えをしたほうがいいのかもしれない。でも気候の良い時期には気持ちの良い風を浴びながら布団の中にいられるのが好きで、ずっと踏ん切りがつかない。とりあえずヒートテックの敷きパッドを敷いた。 ・仕事中、自分の座っている位置からクリスマスツリーが見える。淡いオレンジ色のイルミネーションがきらきら遠くに光っている。遠いものはきれいだ。

          雑記_2023_1203

          迷子

          日が落ちるのが早くなってから、目に見えて心身の不調が多くなってきた。さみしいのかかなしいのか寒いのか、よくわからない。寒いのとさみしいのは似ている。寒いの、大好きなのにいつも体がついていけない。 出勤のとき、真っ白な蛾がドアミラーと運転席の窓の間に留まっていた。このまま車で走り出せばいずれは吹き飛ばされるであろうことはわかっていた。可哀想に思った。それでも虫のことは怖くて、触る勇気が出なくて、そのまま発進してしまった。ゆっくりと速度を上げた。20キロ、40キロ、50キロ。6

          名前をつけてやる

          小学一年生のころ、姪ができた。舞い上がって姪のためにいろんなプレゼントを用意する母の姿に私はなんだか自分が取り残されたような、忘れられてしまったような孤独を感じて、私と姪とどちらが好きか聞いたのを覚えている。母は私のほうが好きだと答えた。近いから。それを聞いて、私は悲しかった。当時はうまく言葉にできないショックを受けたのだけれど、あれは悲しかったのだと今はわかる。 私はきっと、私が私であることを好きだと言ってほしかったんだと思う。ずっと。物理的距離に関わらず、私をまるごと愛

          名前をつけてやる