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メタモルフォーゼ

どうしてさみしいのかわからなくて、どうやったらさみしくなくなるのかわからなくて、とりあえず外に飛び出した。そういえば今日は流れ星がピークを迎える日らしかった。見上げた夜空は涙で滲んでいて、細かな光が何重にもブレて映った。ひかり。たくさんの。

ずっとひとりでいることが好きだったのに、ひとりではない安心感、誰かといて心の底から安心できる状態を知ってしまってからめっきり孤独に弱くなった。変わってしまった。変わりたくなかった?けれど知らなかった頃には戻れない。温もりを知れば知るほど、冷めていく熱が切ない。光の中にいればいるほど、伸びていく影は濃くなっていく。

流れ星が見えたら帰ろうと思って、ひたすらに夜空を見上げる。だんだん目が慣れてきて、よりたくさんの星が見えてくる。30分ほど経っただろうか。瞬間、ひゅっ、と目の端を光の筋が流れる。見えた。その頃にはもう涙も乾いていて、星々が鮮やかに見える。さみしさとの付き合い方はまだよくわからないけれど、星が流れたその一瞬はさみしさを忘れられた。