見出し画像

先月の旅行から、ベルリンのこと①ーテクノの聖地、不法占拠と家泥棒



東ベルリンで感じたこと


先月の旅の話の続きなんですが、アムステルダムとベルギーのあとに、ドイツのベルリンに行きました。

ベルリンといえば、ベルリンの壁。

かつてドイツが東西に分かれていた頃、ベルリンという街自体も「壁」によって東西に引き裂かれ、東西ベルリンに分けられてしまったことはご存じだと思います。

西ベルリンは民主主義でしたが、東ベルリンはソ連の支配下。

東ベルリンは社会主義の厳しい監視下に置かれ、自由を求めて亡命しようとして命を落とした国民もいました。壁を越えて西側に出ることは、かなり不可能な状況だったのです。

実は私は、その当時に、まさにその東ベルリンでひと夏を過ごしたことがあります♡

色々と言われている場所ですが、そのときには怖いという印象も特になく、中心街には西側からの観光バスも来ていたし、レストランや買い物なども興味深く、広告のない都市の美しさには感動しました。

1989年に壁が崩壊しましたが、今でも、壁の一部は残っていて、アーティストたちによる絵が描かれたギャラリーになっています。有名観光スポットなので、知ってる方も多いはず。

これは超有名ですね!観光客や地元の人がぞろぞろ歩いていました。


壁があった頃の東ベルリンでは、街を走るほとんどの自動車はトラバントた。地下鉄の駅にも広告などは一切なくシンプルで、それに乗って西側に行くことはできたのです。検問所を通れればの話ですが。

ベルリンの壁ギャラリーに描かれたトラバント

バブル期になりつつある消費大国の日本から来た私にとって、社会主義国の東ドイツは、かなりショッキングな光景でした。

口紅1本買うのにも、10人くらいの列に並ぶ。やっとカウンターまでたどりついて、売り子さんから口紅を1本見せてもらう。靴の試着とかでも同じこと。そんな光景に仰天しました。しかもその口紅のメーカーは、お隣の西ベルリンではドラッグストアでまとめ買いできるプチプラのコスメだったのです。

それを1本買うのに、こんなに大変な思いをするなんて、可哀そうすぎる。と、当時の私は感じていました。


旧東ベルリンのブランデンブルグ門で感じたこと


そして今、旧東ベルリン側には、ユニクロもあるしスタバもある。観光客や若者で賑わっている。ラーメン屋も多い。クラブも多い。テクノの聖地として人気。古い建物はそのままに、ここは別世界なのです。

歴史の流れを見届けている自分にびっくり。自分の年齢に。。

私のベルリン訪問はこれで3回目ですが、今回は旧東ベルリンのハイライトであるブランデンブルグ門とウンターリンデン通りは、どこもかしこも工事中で残念でした。

それに加えて、観光客の姿や、店やレストランなどが並ぶ通りは、「広告のない静かで厳格な美しさがあった昔」と比べると何の情緒もありません。

でも、それは私の勝手な感想であり、当時の人たちが、喉から手が出るほど欲しがった、自由で幸せで満たされた光景なのです。平和だなぁ~♡と、時の流れに感動しました。

2023年の調査によると、ベルリン住民の74%がここでの生活に満足しているとのこと。

ナイトクラブ、レストラン、サブカルチャーも充実していて、外国人も住みやすい。82%の住民が観光客の増加に不満を感じてないそう。街行く人たちやサービス業の人たちはとても親切でした。引用元

ドイツ全体としては、政府への不満が高いのはご存じの通り。最新ニュースによるとショルツ首相に対する不満が過去最高に達してるそうなので、今後はどうなるのでしょうね。

とはいえ、工事中だらけのウンターリンデン通りを歩きながら、ちょっとイヤになってしまい、ふとスマホを見ると、アメリカで留守番してる息子から、ちょっとしたメッセージが。

「アマゾンでドイツ人哲学者シラーの本をオーダーするんだ~。次に読もうと思って」とあったのです。そういえばシラーってドイツ人だったよなぁ。なんて思いながらググってみると、彼の銅像があるいて2,3分のところにあることを発見。

そんなシンクロを楽しみながら行ってみると、これまた大々的な工事中でした。

中央にぽつんと寂しそうに立っているシラー

ちなみにシラーは、「ヴィルヘルム・テル」の戯曲を書いたり、ベートーヴェンの交響曲第9番の歌詞を書いた人でもあります。彼の哲学書、私は読んだことないのですが。。



ベルリン滞在中の住宅街で感じたこと


私達が滞在していたレンタルアパートは、旧東ベルリン側に近く、若い人たちに人気があるエリアのようで、レストランやカフェがあちこちにあって、とても便利。外席はつねに賑わい、公園では子供たちが遊び、駅の近くでとても満足でした。

が。

私の心は複雑で、ポジティブに感じるために、ちょっと頑張りが必要という感じ。

ローマの落書きの多さにもびっくりでしたが、ベルリンも場所によってはかなり酷い、ゴミが落ちてる場所も多い。芝生や植物が手入れされてない公共の場所も多い。公園で映画を見たあとは、道に出るまで怖いくらいに真っ暗だった。公園の中に街灯がないのにはびっくり。

もちろん裏を返せば、アメリカのように騒音がうるさいマシンを使っての手入れをしすぎるより、雑草だらけの方が環境に優しいし、街灯がなくても安全に歩けるんだからいいじゃん、と思う。

落書き文化は、若い人にはそれほど抵抗ないらしい。バンクシーの落書きと、どこか違うのかと聞かれて答えても、あんまり噛み合わなかった。建物の所有者でない限り被害モードは感じないのかもしれないけれど。。。。
これに比べるとフロリダのリゾートはきれいなんだなぁと改めて感じた。

ホームでサンドイッチを売ってるものだから、薄汚い地下鉄でむしゃむしゃ食べてる人、バスの中でビールを飲んだりして不潔感が漂う。匂いもヤダ。お洒落してる人はそもそも電車に乗らないのかもしれないけれど、それにしても。。駅も電車も薄汚い。

でも、バスや電車は超便利なので、不満を言う筋合いはないどころか、感謝したくなる。

月曜の朝などは、飲み捨てられたビール瓶があちこちにある。公園にも、アパートの下にも、道路にも。。。。

ギョっとする光景だけど、それを拾い集めて現金にしたいホームレスのために、あえて残しているなら、ひどく優しい文化にも見える。

最近、大麻が合法化されたらしく、そのパーティの看板があちこちに張られてるし、それらしき屋外パーティもちらほら見た。でも、それはオランダだって同じこと。

こんなふうに、せっせとポジティブにひっくり返していく自分に気づきました。

「もともと社会主義国で貧乏だったから、汚いのは仕方ない」

と言う人もいるのですが、私のボンヤリした記憶の中の、当時の旧東ベルリンは、西側から見れば貧乏だけど、不潔ではなかったのです。

そして今やベルリンはテクノの聖地になっています。

特に、旧東ベルリン側。

フリードリヒシャイン地区あたりに行くと、すごいな~。これが今のベルリンなんだなぁと感慨深かったです。あまり清潔そうでない格好をした若い人たちがわんさか増えて、テクノビートがあちこちで聞こえて、落書きだらけのエリア、古い倉庫、レンガの建物などに陣取るテクノクラブ、屋外イベントやパーティも盛んでした。

これはれっきとした、世界に誇る文化であり、本気で好きな人にはたまらないのでしょう。クラブの中に入れてもらうハードルも超高いとのことで、カッコいい!とは思います。



旧東ベルリンが、テクノの聖地になった理由


実は、旧西ベルリンの若者たちの、不法占拠からはじまったという話はご存じでしょうか。

当時の西ベルリンは、住民になると兵役免除となり、ナイトライフやカフェの営業の制限が緩かったことから、ミュージシャンやアーティストやアナーキーの若者が多く移り住んでいました。

そんなときに、壁が崩壊して、政府も大混乱。東ドイツの市民が西に流出したことから、東側政府が運営していた工場や倉庫も停止状態となって、空き屋になっていたのです。

警察が機能していなかったために、そうした空き家に勝手に住み始めても、黙認されていた状態でした。。

西ベルリンのミュージシャンたちが、不法居住者となり、そんな無法地帯から生まれたサブカルチャーがテクノでもあり、倉庫などがクラブに変貌していったのです。

建物を奪われた旧ベルリン区域は、その誕生に寛大であり、変化を受け入れ、テクノの聖地と呼ばれるほどの成長を遂げて愛されているのです。

もっと知りたい人は、このサイトもお薦め

すごい話ですよね。

第二次大戦後、ドイツが降伏後に、米・英・ソ・仏 4 カ国に分割統治されたのにともない、ベルリンという街すら2つに分けられてしまったという歴史。

でも、これは、日本にも起こりえたこと。。。

当時は、敗北した日本の分割統治計画もあったのです。



空き家泥棒の深刻な問題


さて、ベルリンの場合の不法居住者はハッピーエンドに終ったようですが、それで思い出したのが、今現在の家泥棒(スクワッター)のこと。

先日の大統領TV討論会でも、不法移民の多さが深刻な問題であると、トランプが繰り返し警告していましたが、なんとアメリカでは州によっては「不法占拠者の権利」が法律で認められているのです。

ここのところ、大量にアメリカに侵入している不法移民たち。

彼らが、家に勝手に侵入して「家泥棒」として居座っても、家の所有者は法的に何もできない。という問題があるらしい、と聞いたことがあります。
移民に限らず、レンタル物件の滞在者が出ていってくれない問題とか。

退去させようとすると逮捕される惨事まで起きてるという悲惨なケースもあったようです。家泥棒たちが使う光熱費も、家の所有者に支払い義務があるのです。ひどい。

日常茶飯事で起きてることではないのかもしれませんが、信じがたいですよね。

幸いにしてフロリダ州は、今年に入ってから、不法占拠者に対する厳しい法律が定められたので、物件の所有者は超安心です。というか、これが当たり前だと思うのですが、本当にびっくり。

とんでもないのが、スペインでは、空き家を「オクバ(不法占拠)」された側が侵入後24時間で追い出さなければ居住権が発生するというもの!

スペインにおける不法占拠は深刻な問題です。不法占拠被害者全国組織(ONAO)によれば、2022年にはスペインでの不法占拠者の数が2021年に比べて20%増加したと報告されています。現在、1日に約40件の家屋侵入が発生しているとされています。予想されるように、不法占拠者はスペインの不動産投資家にとって脅威となり、購入プロセスを進める前にこの点を考慮する必要があります。
なお、家やアパートの不法占拠の事例はフランス、アメリカ、ドイツなど様々な国で見られますが、スペインではより深刻で痛ましい問題となっています。

https://realting.com/news

ひどーい。
空き家といっても、旅行で家を空けていたら「空き家」とみなされてしまう過酷さだそうです。だから家泥棒たちは数人で家を乗っ取り、誰かが必ず家で留守番している。という報告記事もありました。

日本も空き家が増えてきたということを目にするようになりましたが、こんなふうにならないことを祈ります。


ということで、すっごく長くなってしまいましたが、最後までお読みくださった方、どうもありがとうございます♡♡

感想やあなたの意見も聞かせてくださいね。

Have a great day!





応援ありがとうございます♡