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読書ノート:『国家』(上)(プラトン著、藤沢令夫訳 岩波文庫) ①:本書の背景雑感

1 プラトンとソクラテスどちらの思想?  読んで初めて知ったのだが、本書は全編をとおしてソクラテスとその知人・弟子との対話により展開されていく。ソクラテスは著作…

kinta
1年前
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読書メモ:『イリアス』②:ホメロス伝

 岩波文庫の『イリアス(下)』には、ヘロドトス作と云われる『ホメロス伝」という短編が収録されています。「ホメロス」は通称で、本名はメレシゲネスといいます。前8世…

kinta
1年前

書見台

 私はこのような書見台を使って読書をしています。  背部のスタンド立てがほかの部品にひっかからず、速やかに立てることができて使いやすいのです。使わないときは他の…

kinta
1年前

読書メモ:『難しい本を読むためには』(山口尚著、ちくまプリマー新書)

 哲学者山口尚(*専門は形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について、とのこと。)による読書の方法の指南書です。ちくまプリマー新書は、中高生向きの学問入門書を…

kinta
1年前
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読書メモ:『イリアス』(ホメロス著、岩波文庫)①

 『イリアス』は、古代ギリシア世界のトロイア戦争を描いた一大叙事詩としてとても有名です。アガメムノン、アキレウス、オデュッセウスといった人物が登場し、大活躍する…

kinta
1年前
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書籍解説:ミシェル・フーコー『狂気の歴史』(新潮社)-序文-ガリマール版(p17~18)

(*「ガリマール」とは、フランスを代表する出版社である。Wikiで知った。ガリマール出版社 - Wikipedia  すでに『序言』があるのに、さらに『序文』を書くことについて…

kinta
1年前
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読書ノート:『国家』(上)(プラトン著、藤沢令夫訳 岩波文庫) ①:本書の背景雑感

1 プラトンとソクラテスどちらの思想?

 読んで初めて知ったのだが、本書は全編をとおしてソクラテスとその知人・弟子との対話により展開されていく。ソクラテスは著作を残さなかったが、プラトンがその言行を著作に残す形でソクラテスの思想は後代に伝わったというのは有名な話である。
 物語の作者が主人公に語らせる言葉は、まず間違いなく作者本人の言いたいことであり、作者が読者に伝えたいメッセージである。そうす

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読書メモ:『イリアス』②:ホメロス伝

 岩波文庫の『イリアス(下)』には、ヘロドトス作と云われる『ホメロス伝」という短編が収録されています。「ホメロス」は通称で、本名はメレシゲネスといいます。前8世紀ころ、小アジア(アナトリア半島)の西部(イオニア地方)で生まれたホメロスは、シングルマザーの家庭(父親は不明)で育ちながらも優れた資質を示し、長じて学塾の教師となり、次いで船を使った商売に携わるようになりました。早くから詩作を始めていた彼

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書見台

 私はこのような書見台を使って読書をしています。

 背部のスタンド立てがほかの部品にひっかからず、速やかに立てることができて使いやすいのです。使わないときは他の本と並べて書棚に入れて保管するのですが、取り出す際にもひっかかりなく円滑に引き出せます。あまり高価でもないので、いくつか買って職場などにも置いてます。
 でも、不満もありました。書籍のサイズによっては押さえがうまく効かず、セットしても不安

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読書メモ:『難しい本を読むためには』(山口尚著、ちくまプリマー新書)

 哲学者山口尚(*専門は形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について、とのこと。)による読書の方法の指南書です。ちくまプリマー新書は、中高生向きの学問入門書を多く出版するレーベルです。
 本書『難しい本を読むためには』では、文章の「キーセンテンス」を発見することを軸として「全体と部分」を循環的に(「グルグルと」)読み込むことで、読解を進めていくという方法が提唱されます。それは、まったくその通りで

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読書メモ:『イリアス』(ホメロス著、岩波文庫)①

 『イリアス』は、古代ギリシア世界のトロイア戦争を描いた一大叙事詩としてとても有名です。アガメムノン、アキレウス、オデュッセウスといった人物が登場し、大活躍するこの英雄物語は、ギリシア神話の一部として日本でも親しまれています。
 『イリアス』は、トロイア戦役の途中から物語が始まり、途中で終わるという構成になっています。『イリアス』は、戦役終盤の時期、ギリシア軍の主力である主人公アキレウスが戦線を離

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書籍解説:ミシェル・フーコー『狂気の歴史』(新潮社)-序文-ガリマール版(p17~18)

(*「ガリマール」とは、フランスを代表する出版社である。Wikiで知った。ガリマール出版社 - Wikipedia
 すでに『序言』があるのに、さらに『序文』を書くことについて、著者フーコーは「私はそれが嫌である」と述べる。いったん完成した「書物」に対し、新たな記述を加えることで「書物が二重になる」のが嫌だというのだが、やたらと記述が難解で理解できない。
 最後に、「結局序文を書いたじゃないか」と

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