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「BNT162b2ワクチン4回目接種後の感染予防効果は短期間に減弱」

TONOZUKAです。


BNT162b2ワクチン4回目接種後の感染予防効果は短期間に減弱

以下引用

 イスラエルMaccabi Healthcare ServicesのSivan Gazit氏らは、BNT162b2ワクチンの4回目接種の有効性を検討する研究を行い、接種後に感染予防効果は増強されるが、3回接種者と比較したその効果は急速に衰えていき10週後にはほぼ見られなくなると報告した。一方で、重症化の予防効果は高く維持されていた。結果は2022年5月22日のBMJ誌電子版に掲載された。

 イスラエルでは、2021年12月から2022年3月にかけてオミクロン株感染者とCOVID-19関連の入院患者が急増した。同時に、3回目のワクチン接種後の効果の減弱が起きていたことも明らかになった。こうした事態を受けてイスラエル政府は、2021年12月30日から4回目の接種を開始した。最初に接種対象となったのは免疫抑制状態にある人で、続いて2022年1月3日に、60歳以上で3回目の接種から4カ月以上が経過していた人々に対する接種が始まった。

 リアルワールドでの4回目の接種の、SARS-CoV-2感染予防効果とCOVID-19重症化予防効果に関する情報はまだ少ないことから、著者らはイスラエルの250万人をカバーしている健康維持機構(HMO)であるMaccabi Healthcare Serviceのデータベースに登録されていた4回目の接種対象となっていた60歳以上の人々の情報を用いて、4回目の接種から10週後までの効果を3回接種者と比較する、後ろ向きの検査陰性症例対照ケースコントロール研究を行った。

 対象は4回目の接種を受けた60歳以上のMaccabi Healthcare Serviceの加入者で、2022年1月10日(4回目の接種が開始されて7日目)までにSARS-CoV-2感染歴はなく、2022年3月13日までの期間に1回以上PCR検査を受けていた9万7499人。

 主要評価項目は、SARS-CoV-2ブレークスルー感染(接種から7日目以降のPCR検査で陽性となった場合)と、ブレークスルー感染による重症COVID-19(PCR検査で初回陽性から21日以内の入院、またはCOVID-19関連死亡)に設定した。

 SARS-CoV-2感染については、7~13日、14~20日、21~27日、28~34日、35~41日、42~48日、49~55日、56~62日、63~69日の各期間の効果を比較する一方で、重症化予防効果については、重症化した患者が少なかったために、3週感間隔で区切って分析した。

 ケースは、PCR陽性者または重症COVID-19と診断された患者で、コントロールはPCR検査を受けたが陰性だった人とし、性別、年齢(70歳以上か70歳未満か)、居住地、社会経済的地位、初回検査を受けた時期、3回目の接種を受けた月、居住環境がケースとマッチするコントロールを1人当たり5人まで同定した。交絡因子候補として、併存疾患(肥満、心血管疾患、糖尿病、高血圧、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態)、2020年3月以降にPCR検査を受けた回数などの情報を得た。

 2万7876人が4回目の接種を受けており、6万9623人はまだ3回接種状態だった。試験期間中に、それらの人々に対して23万3582回のPCR検査が行われていた。

 主要評価項目に関するマッチドアナリシスの対象になったのは、3万731人のケースと6万54人のコントロールだった。ケースの47%についてはマッチするコントロールが1人見つかり、29%については2人、24%には3人以上見つかった。

4回接種から最初の3週間は、3回接種者と比較したSARS-CoV-2感染予防効果と重症化予防効果は高かったが、相対的な効果は急速に低下した。交絡因子候補で調整したワクチンの相対効果は、接種から7~13日の期間が57.7%(95%信頼区間55.6-59.7%)、14~20日は65.1%(63.0-67.1%)、21~27日は64.0%(61.6-66.3%)、27~34日は58.1%(54.8-61.1%)、35~41日は55.0%(50.6-58.9%)、42~48日は50.2%(44.5-55.3%)、49~55日は42.5%(35.1-49.1%)、56~62日は33.4%(23.8-41.8%)、63~69日には22.0%(4.9-36.1%)だった。

 COVID-19が重症化(入院または死亡)したのは572人(0.25%)だった。死亡は106人で、うち77人は3回接種者であり、23人が4回接種者だった。

 COVID-19による入院と死亡に関する分析は、マッチする494人のケースと2184人のコントロールを対象に行った。ケースの80%についてコントロールを5人同定でき、12.4%について、コントロールを2~4人同定できた。交絡因子候補で調整したワクチンの相対的な効果は、接種後7~27日の期間は77.5%(69.7-83.2%)、28~47日では72.8%(58.8-82.1%)、49~69日では86.5%(63.4-95%)となり、重症化の予防効果は10週後まで高く維持されていた。

 これらの結果から著者らは、BNT162b2の4回目の接種は、オミクロン株の感染およびCOVID-19の重症化を予防する効果を増強していたが、感染予防効果の低下は、3回目の接種後に比べると急速で、10週後になると上乗せ効果は22.0%まで低下していたと結論している。この研究は米国National Institutes of Healthの支援を受けている。

 原題は「Short term, relative effectiveness of four doses versus three doses of BNT162b2 vaccine in people aged 60 years and older in Israel: retrospective, test negative, case-control study」、概要はBMJ誌のウェブサイトで閲覧できる。

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