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自分軸の時代へ ~ 好きなことを見つめ、掘り下げ、表現することで「スタイル」もできてくる。     

「和をもって貴しとなす」。
1500年ぐらい前、十七条憲法に書かれた言葉です。聖徳太子の時代以来、日本では、皆と仲良くするために、自分より、周りのことを考えることが推奨され、当たり前になってきたのかもしれません。同調圧力が強いと言われる日本人は、周りの事を配慮して、優先して、自分のことは後回しにしやすいメンタリティが作られてきたと言えるかもしれません。

もちろん、そこにいい・悪い葉はないと思います。
ある人は、このメンタリティを

「100m走(個)では力を発揮しにくいけど、リレー(チーム)なら勝てる(力を出せる)」

と表現していました。なるほどと共感しました。
 
 ただ、時代の流れなのか、周りの事ばかり考える生き方だと、それだけではうまくいかなかったり、窮屈に感じたりすることも出てきました。

 アドラー心理学の考え方がもとにある「嫌われる勇気」がベストセラーになったり、教育の世界でも「主体性」がとり上げられるようになったりしました。
 
 周りと協調して、素直に言うことを聞いて、したがって・・・だけでは、難しい時代になったのかもしれません。
 
 そこで、大切になることは「自分軸」

 自分を掘り下げ、好きなことを起点に表現していくこと。そして、その表現がつながって、新しい発想を生み出していくことではないかと思います。
 そんな自分軸づくりのヒントになるような実践や考え方を集めてみました。そして、自分で考えてみました。よかったらお付き合いください。




 

1 「好きなもの探し」は、自分自身とつながり、自分のスタイルになる


 文筆家の甲斐みのりさん。学生時代に、ふと芽生えた将来の不安から「自分は何をしたいのか」「自分は何者でもないんではないか」と焦り、不安が大きくなり、引きこもり生活になったそうです。
 そんな引きこもり生活の中で、何とかしようと始めたのが「好きなもの探し」。
 
 スケッチブック一冊を自分の好きなものを言葉にして埋められたら、きっと私は良くなる
 
と始めましたが、部屋の中では、スケッチブックが埋まりません。そこで、駅、商店街。そして、隣町と出かけてスケッチブックが埋まっていくにつれて、「引きこもり、うつ」状態が良くなっていったそうです。
 その好きなもの~かわいらしい看板、おばあちゃんの素敵な服、おいしそうなパン・・・収集によって、「お菓子の包み紙」や「クラシックホテルにときめく気持ち」等を表現(著書に著)し、「乙女の偏愛の喜び」に市民権を与えました。
 そんなみのりさんが、好きなもの探しやその紹介で心がけていることは、次の3つです。

➀マイナス(減点法)で語らない


 ネットの中では感想レビューが出ていますが、低評価のレビューの多くが、「減点法」に基づいて書かれています。よく考えると、減点法は、「その商品が、いかに、自分を満足させてくれなかったか」の不満に基づいています。「さあ、私を満足させてみて」だと、どうしても「受け身」になります。そこで、好きなものこそ、いや、自分が好きなものだからこそ、自分自身で面白さや好きなところを見つけていく「加点法(思考)」が大切になります。また、そういう、加点法だからこそ、どんどんと自分の好きなものが見つかるということかもしれません。
 

②受け身ではなく、自分から動く。自分を楽しませる姿勢を大切にする。


 みのりさんは植草甚一さんや池波正太郎さんのエッセイをよく読むそうですが、その中で出てきた地名や店などを「聖地巡礼」的な感覚で旅してめぐるそうです。
 逆に、コロナ禍で思うように旅が出来なくなった時は、近所のスーパーで売っている食材の産地を調べ、日本地図でチェックしたり、「どこからやってきて、何が使われていて、どんな人が作ったんだろう」と思いめぐらせる楽しみを発見したといいます。義務やみんながしているからで動くと、あまり気持ちも高まりません。しかし、自分が好きだから、面白いと思うからと言う時は、やる気やときめきが多くなります。
 

③自分の好きを否定しないことで、スタイルになっていく。


 好きなもの集めで、元気を失ってしまう原因は、「人の評価を気にする」ことにあります。自分の「好きに」に自信が持てない時は、人の目を意識しすぎている状態です。そうやって、「好き」を否定していくと、それを好きと思っている「自分を否定」することにもなり、元気が無くなっていきます。
 人からは「たいしたことがない」「意味がない」「しょうもない」と思えることでも、自分が好き、価値を感じているなら突き抜けて、楽しめばいいと思います。それが「自分のご機嫌を自分でとる」ことにもなり、気持ちを軽やかにします。
 

2 「好きなもの」を極めていくと、才能が開花する


実は小学生の頃(子供の頃)は、落ちこぼれていた(「頭が悪いヤツ」だと邪魔者扱いされていた)という世界の偉人は、少なくありません。アインシュタインやダーウィン、坂本龍馬らの子供の頃は、冴えない、かなり悲惨な状態だったようです。
エジソンは、小学校を退学しています。しかし、その様子を詳しく知ると、本当に「頭が悪かったのか?」と考えさせられます。
 
 算数の時間。具体物(リンゴ1個とリンゴ1個でいくつになるか?)などを使って、1+1=2と教えられます。
 しかし、エジソンは、1+1=1だと、答えの2に納得しなかったそうです。
 
 1個の粘土玉と1個の粘土玉を合わせる(くっつける)と、やはり(大きな)1個の粘土玉になる。だから、1+1=1だ。 
 
 これがエジソンの主張だったようです。
 たまたま、算数の1時間にこの考え方、質問をするぐらいなら、みんなにとってもいい勉強になるのでしょうが、これが毎時間、毎日、いろんな場面で、好奇心に応じて、質問されたり、納得しなかったりでは、担任の先生は何ともやりづらかっただろうと思います(笑)。
 結局、テストなどの成績は悪く、授業を妨害する生徒とみられ、自主的に退学してしまいました。
 エジソンのよき理解者だった母ナンシー(かつて教師をしていました)が、エジソンの疑問に徹底的に向き合う、個別指導(学習)をしたことで、エジソンの才能は開花していきました。
 
でも、こうしたエピソードを知ると、考えさせられます。
要領よく、いち早く解き方を知ったり、答えを覚えたりすれば、「テストの点数」は上がります。成績もよくなります。しかし、自分が本当に疑問に思って、ずっと考え続けることと比べた時、どちらが本当の力になっているのか?
 
 また、エジソンや坂本龍馬の幼少期の特徴を考えると、発達障がいだったのではないかと推測されています。「障がい」と言いますが、その後の活躍を考えれば、個性、天才的能力ともいえます。周りに良き理解者やその個性を生かす教育がなかったら、せっかくの力を「つぶされていた」かもしれません。
随分と変わってきたとはいえ、日本の学校は、どちらかと言うと、「みんな一緒に」「欠点を修正して、皆と同じことができるように」という文化が底流にあります。
いろんな要因があるでしょうが、不登校の人数も増え続けています。現在(2021年)では、20万人を超えています。
 ギフテッド(先天的に高い知能や共感的理解、倫理などを持っている人の)教育
をはじめ、それぞれの個性に応じた教育ができる機会がどんどんと増えていくと、きっと「生きづらさ」の緩和にもなっていくと思います。
 

3 「好きな事=得意な事(できる事)」と考えない。


 好きだけど、上手ではないから、できないことが多いからやらない方がいいのかなとストップをかけていくと、自分がやりたいこと、好きなことが分からなくなります。
逆に言うと、得意なことであっても、仕事などでいかせても、好きと言う気持ちがないと、それだけでは、心が弾まなくなります。
 だから、アクティブに行動しなくても、好きな本を静かに読み続ける事だって、誰かに読まれるかどうかも気にせず、自分が思っている事、考えや物語を表現する事も「わくわく」した気持ちにつながります。言い方を変えれば「静かなわくわく」です。
 「わくわく=夢中になれること」と考えると、損徳や上手、下手を考えないで、とにかく情熱をもって、夢中になれることであれば、それはわくわくしている状態と言えるのではないかと思いました。そして、その鍵を握るのが「自分が好きと言う気持ち」です。

また、夢中だからこそ、その結果をあまり気にしなくて済みます。うまくいくかどうか、失敗したらどうしようという思いすら、夢中になっていれば頭から消えています。好きなことは夢中になれる分だけ、時間がたつのがあっという間です。そして、またやりたい、と無理をしなくても勝手に続きます。あるいは、好きが高じて、自分なりに工夫をして、更に楽しさが増して、続けられます。
 下手でも(得意ではなくても)、好きなことの方が、継続しやすく、そして、夢中になり「熱量」が高まります。
 
 「マツコの知らない世界」「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」と言うテレビ番組には、毎回、その道、その世界に精通した一般人が登場します。正直言って、中には、私には理解できないような趣味やそこにお金をかける?と言った品物を集める人などがいますが、とにかく、トークが面白い!
 それは、お笑い芸人さんのような話術のうまさではなく、その人の熱量、そのものへの「愛」を感じるからだと思います。その世界やモノについて語っているときの表情や内容に、こちらも思わず魅了され、あるいは、気持ちが高まってしまうところがあります。「自分の好き」を堂々と表現し。夢中になっている人の姿って、輝いているなあと改めて思いました。
 
 「自分の好き」を深める中で、時間を忘れて熱中できること、資格が取れるとか就職に有利とかに関係なく、自分が楽しく続けられている時間をよりたくさん生活の中でもてるといいのかなあと思います。
 
 好きなことを掘り下げるころも自分軸づくりであり、これからの時代はその自分軸に中で見つけた自分の好き(なもの)や発想が、「仕事」にもつながっていく流れになるのではないかという予感がしています。
 
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです。

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