見出し画像

ドイツ一人旅_カイザースラウテルン_08_11【海外旅行】

前の話  プロローグ  8日目01

1999年冬 8日目 ミュンヘン

「遅いよ。何してたんだ?」

そう彼が聞いてきたと思われる。思われるというのは僕がそう受け取ったからであり、正確にそう言っているかどうかは正直わからない。これ以降の会話は(これまでもだが…)僕自身が解釈したものだ。

「実はチケットを間違って買ってしまったんだ。そのチケットが何であるのか気になって体育館に行ってきたんだ」

すると3人とも急に怒りだした。

「君にコンサートのチケットを売りつけるなんて、なんてひどい奴なんだ。許せない」
「違う、違う。か細い女性は悪くない。僕が間違って買ったんだ。ミステイクだ」

「いや違う。君がコンサートに行くわけないじゃないか!行かないとわかっているのにチケットを売りつけるのは、やっぱり許せない」
「いいんだ。僕のミステイクだ。それよりも僕は君達のおかげでチャンピオンズリーグのチケットを手に入れることができた。僕は最高に嬉しいんだ!」

ようやく彼らの怒りの興奮は収まり、自己紹介が始まった。

「俺の名前はアルミン」
「やあ、アルミン。よろしく」

「君に会えて嬉しいよ」
「僕もだよ」

「隣にいるのは俺の彼女だ。彼女もカイザースラウテルンのファンなんだ」

カイザースラウテルンはブンデスリーグの1部と2部を行ったり来たりする中堅クラブであるが、昨年2部から1部に昇格してそのまま優勝してしまったのだ。地元ではきっとお祭り騒ぎだったであろうことは疑う余地もない。

今日はカイザースラウテルンから直線距離で約3百キロ離れたミュンヘンに5時間かけて車で来たそうだ。



次の話 (表示されない場合は次回更新までお待ちください)

#旅 #旅行 #海外旅行 #旅行記 #一人旅 #ひとり旅 #ヨーロッパ #ドイツ #バックパッカー #ショートショート #連載 #サッカー #海外サッカー

サポートして頂いたら有料記事を購入します!