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ドイツ一人旅_交渉_08_04【海外旅行】
1999年冬 8日目 ミュンヘン
ダフ屋の怪しいおっさんに話しかけてもらえず途方にくれて隣を見ると50歳くらいのドイツ人女性がいた。
か細い声で一生懸命に怪しいおっさんに声をかけていた。そのか細い女性はチケットを手にしているのできっとそのチケットを売りたいのだろう。
んっ…?待てよ…。
いっそのこと、か細い女性から直接チケットを買えばいいじゃないか!そうと決まれば話は早い。早速か細い女性に話しかけた。
「チケット プリーズ」
「オーケー」
「ハウ マッチ?」
僕がチケットを指差すと、か細い女性はチケットを見せてくれた。「59マルク」と記載されている。
さあ、ここからが交渉だ!
再び気合を入れ直した。すると、か細い女性が手のひらをじゃんけんのパーのように開いて突き出してきた。そして予想もしていなかった言葉を発した。
「フィフティー」
フィフティー?50?50マルクという意味か?
「フィフティー?」
「イエス フィフティー」
確かに50マルクで良さそうだった。僕はか細い女性の気が変わらないうちに財布から50マルクを取り出して渡すとチケットを受け取った。
キツネにつままれるとは、こういうことなのか?意外にも簡単にチケットを手に入れることができて拍子抜けしたが、何はともあれ一安心した。
はずだった…
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