キムラタツヤ

僕の文章や絵を目にした人が、それまでより幸せになってくれればいいなぁ。

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沖縄の風に吹かれて 第1話

きっかけ自宅が住民票に記載された場所を指すなら兵庫県西宮市である。奈良に生まれ、幼少期を明日香村と橿原市で過ごした。大阪の高校に通い、京都の予備校にお世話になって、兵庫県の大学に進んだ。大阪の会社で1年働いた後、奈良の学校で10年間勤め、奉公人としての最後は兵庫県であった。この十数年は西宮市に「自宅」がある。 そんな生粋の関西人がどうして年の1/3ほどを沖縄で過ごすのかと問われる。私だけでない。北海道から、埼玉から、東京から、千葉から、大阪から、兵庫から、和歌山から、福岡か

    • 沖縄の風に吹かれて 第8話

      第7話はこちら 勉強は素敵だ! 沖縄で教育系の冊子を発行されている喜屋武さんという方がおられる。今までは「ジュクタン」という、要するに塾を対象とした冊子を長いこと発行されている。 塾を対象としたと書いたが、そうはいっても興南をはじめとした私立高校を紹介したページもある。どれぐらいのペースで発行しておられるのかは存じ上げないけれども、多くの学校や塾、あるいはジュンク堂書店那覇店などに置かれている冊子である。 その喜屋武さんが「ツータン」という冊子を新しく出すことになった。

      • 沖縄の風に吹かれて 第7話

        第6話はこちら 「島唄」と「ダイナミック琉球」のTeam Upくるちの杜で雑草を抜き、多数の蚊に献血した。沖縄にはもう三線の棹になるくるちが無いんですよと仰ったのは宮沢和史さん。このままではいけないと「島唄」の宮沢さんと「ダイナミック琉球」の平田大一さんが手を組んだ。 いま植樹したところで、そのくるちが三線になる太さに育つのに100年はかかる。しかし、だからといって誰もやらなければ三線が沖縄から姿を消す。沖縄県読谷村にあるくるちの杜に1本、また1本とくるちを植える「くるち

        • 沖縄の風に吹かれて 第6話

          第5話はこちら 「勉強」と「対策」とは別物だ沖縄の学校教育関係者はうんざりしているのではないだろうか。学力テストの都道府県別ランキングが発表される季節になると、それがYahoo!のトピックになるものだからネットを見ないようにすると言った先生方もいるとかいないとか。 沖縄の先生方がサボっているわけではないと思われる。が、小学校も中学校も47位。私のFacebookにある学校の先生がコメントをくださった。気分が悪い、と。対策だってしっかりしているのにビリに甘んじるのは気分が悪

        • 固定された記事

        沖縄の風に吹かれて 第1話

          沖縄の風に吹かれて 第5話

          第4話はこちら 「喜笑転決ライブ」を観たか?オリジン・コーポレーション主催のお笑いイベントである「喜笑転決ライブ」をご覧になったことはあるだろうか。見たことがないという方はぜひ毎月最終週の土曜日にテンブスホールで行われる同ライブを覗いてほしい。面白くない芸人さんから腹から笑える芸人さんまで、魚目混珠と書けば失礼かもしれないが、種々様々な芸人さんが登場し、それぞれの持ち時間に応じてネタを披露するのである。 子どもの頃、木村進や岡八郎による吉本新喜劇、人生幸朗・生恵幸子、中田

          沖縄の風に吹かれて 第5話

          沖縄の風に吹かれて 第4話

          第3話はこちら 沖縄で住むところを決めた話沖縄に移住したわけではない。しかし、毎月一度は那覇空港に降り立っている。自己紹介をする際には、兵庫に年の1/3ほど、沖縄に年の1/3ほど、残りの1/3はそれ以外のどこかにおりますと言うことにしている。すでに沖縄には「行く」というよりもむしろ「戻る」感覚である。 これだけ頻繁に沖縄に戻るとなるとそれなりに作戦が必要だ。なにしろ飛行機代だけでも往復で最低でも3万円は取られる。ハイシーズンともなれば、片道5万ほどかかる。生徒数の多い首里

          沖縄の風に吹かれて 第4話

          沖縄の風に吹かれて 第3話

          第2話はこちら 沖縄の学校を訪問して~なぜ勉強するの?沖縄で時間を過ごすようになり、いくつかのラジオ番組に呼んでいただいた。それを通じて私のことを知った沖縄の教育機関の方々からご連絡をいただき、それまで以上に学校や教育委員会を訪問することになった。 NPO活動の一環なので講演料はけっこうですよと申し上げるとなんとも言えない表情を見せるのはシャイな沖縄の方々に共通した特徴である。いえいえ、決まり事ですのでもらってください、ただ…ちょっとその…かなり少ないんです、と申し訳なさ

          沖縄の風に吹かれて 第3話

          沖縄の風に吹かれて 第2話

          第1話はこちら 福島と沖縄2021年3月、長年勤めた灘中学校・高等学校を退職し、本が売れない日本ではもうすっかりお会いしなくなった専業作家となった。不自由を我慢していれば給料が確実に入る安定と24時間を本に捧げられるがカネは入らない不安定とを天秤にかけて、不安定を取った。 結果、生活リズムだけでなく人とのお付き合いや酒の飲み方も含めてすべてが激変した。なによりも変わったのは、沖縄に戻る頻度と関わる深さである。 沖縄にしょっちゅう戻ってくるんだったら知り合いが多いほうがい

          沖縄の風に吹かれて 第2話

          亡き父のあの日を思い出して

          今日、5月13日は亡き父の誕生日である。昭和12年の生まれだから、生きていれば86歳。現在の平均年齢からすれば生きていてもおかしくはないが、長いこと煙草を飲んでいたし、なにより酒を毎晩飲んでいては長生きできないのもしょうがない。 父が今の私の年齢のとき、すでに半身不随になっていた。57歳のときに母が癌で入院し、その後に父が病気を発症した。私は奈良の橿原市に、両親は大阪市内に、それぞれ住んでいた。父は、母の入院先に日参していたが、ある日のこと、彼自身の体が動かなくなった。

          亡き父のあの日を思い出して

          ペッパーミルとアゲアゲホイホイ

          今年の甲子園は山梨学院が優勝したのだけれども、われわれ地元関西人からすれば報徳の頑張りが心に残っている。ちなみに小さい自慢で申し訳ないが、私は灘校野球部の監督を17年間務めている間に、中学の監督として報徳学園中学校には2回勝っている。 現在の荻野監督になってからは全く歯が立たなくなったが、その前の監督の時に勝利の美酒を、そして灘中生徒からの胴上げを、経験しているのである。私学大会という小さな大会ではあったが、報徳に勝ったというまさにその事実は、教員時代の数少ない心地よい思い

          ペッパーミルとアゲアゲホイホイ

          読むを語る

          天文館といえば鹿児島最大の繁華街で、飲食店やショッピングモールが立ち並んでいる。なかでもセンテラスはさまざまなお店が入っていて、散歩するだけでも楽しい。その4階にかなり大きい図書館があり、その場所でラグーナ出版主催の読書イベントが開催された。 ラグーナ出版は精神障碍者の就労支援を積極的に行っている出版社である。詳細は同社のHPをご覧いただくとして、ラ・サールの丸山先生が『旅をする本』を、私が『あなたのちからになりたくて』をラグーナ出版から出したことが今日のイベントにつながっ

          人口減少の大波が日本を襲う

          Googleで「2030」と打つと、トップに「2030年問題」と表示されるのをご存じだろうか。「2030年問題」というのは、同年に日本の人口の1/3が65歳以上の高齢者になる超高齢化によって引き起こされるさまざまな問題を指す。 一般市民の生活は言うまでもなく、多くの店舗や企業存続の危機が到来すると言われているのが2030年、厳密に言うと「2030年以後」であり、年々ひどくなっていく。 現在すでに少子高齢化が問題となっているが、実は人口減少および社会の高齢化は始まったばかり

          人口減少の大波が日本を襲う

          ドラゴンズが大好きなのに

          どうして教員になったんだろう。 ドラゴンズを語るお二人に触れ、そう思わざるを得ないひと時だった。私には何ができるんだろう。そんなことばかり考えていた。 先日、沖縄のジュンク堂書店で「愛するドラゴンズを語り尽くす会」というイベントが行われた。CBC(中部日本放送)の特別解説委員である北辻利寿さん、タレントの漢那邦洋さんとともに、文字どおり、ドラゴンズを語り尽くした。あっという間の90分だった。 奈良県生まれ。生粋の関西人である私がタイガースではなく、ホークスでもバファローズ

          ドラゴンズが大好きなのに

          清風高校の校則に関する報道を読んで

          昨年だったか、校則に疑問を感じた生徒が頭髪規定の撤廃を求め、大阪弁護士会に嘆願書や署名を添えて、匿名で人権救済の申し立てを行ったことを報道で知った。学校名を見てびっくり。清風高校とある。私の母校ではないか。 同校は大阪の上本町六丁目駅から歩いて数分のところにあり、真言宗の教えを建学の精神とする学校である。私は3年間お世話になった。勉強はなかなか厳しい学校ではあった。特に当時の先生方はなんとか進学校にしようと鼻息荒く、入学直後から卒業まで物凄い量の宿題とテストが生徒たちに課さ

          清風高校の校則に関する報道を読んで

          東大生が東京大学を訴えた件で

          杉浦からMessengerが来て、彼が東京大学に訴訟を起こしたことを知った。 元担任としては応援したいが、応援すると言っても何ができるわけでもない。生暖かく見守るしかないので、彼にはそれなりの激励を返信として送った。それが昨年。 NHKをはじめとするさまざまなメディアが、ひとりの東大生が東京大学を相手に訴訟を起こしたことを報じた。判官びいきがその特徴である日本人であるから、杉浦を応援する声が高まるのではないかと推察した。TwitterやFacebookに書かれたコメントや

          東大生が東京大学を訴えた件で

          もう一度、イギリスに行きたくなった

          2月18日(土曜日)、沖縄県那覇市にあるジュンク堂書店でトレン・デインジャフィールド氏(以下、トレンさん)と対談を行った。彼は沖縄の学習塾である「沖ゼミ」の校長であり、英語科教員である。したがって、今回のテーマは「英語学習と未来」となっていた。 事前の打ち合わせを兼ねて、15日に那覇市小禄にある居酒屋で初対面。イギリス人らしく、長身の紳士であるトレンさんに迎えられた。私はあまり人見知りしないタイプなので、1の1から彼と心を開いて話をすることができたように思う。今まで4回英国

          もう一度、イギリスに行きたくなった