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きむ兄
2020年9月23日 09:30
空を見上げると、思い出すのはいつも彼女のことだった。というような女性は僕にはいないし、空を見て奥さんのことを思い浮かべるわけでもない。ただ首が痛いだとか、肩のこりを感じて自分が年齢を重ねたことを知るだけだ。空は毎日のようにその表情を変える。でも僕の昔の恋人の顔になったことは一度もないし、惜しいところにもいきつかない。小学生ぐらいの頃は空を見上げると何を思っただろうか。どこまでも
2020年6月28日 06:55
僕は小さい頃、思ったことを口に出す人間は偉いと思っていた。何で大人は建前ばかりを話すのだろう。もっと思ったことを言えばいいのに。勘違いに勘違いを重ね、僕がこの世の中を変えてやるとまで考えている時もあった。自分の可能性を信じていたというと聞こえは良いが、よく知らないことに関して大声で言うだけ。歯に衣着せぬ。そんな自分がかっこいいとさえ感じていた。外見的にではなく、内面というか「その生き
2020年6月23日 16:23
雨の日は好きですか?僕がこの質問を受けたときに、「傘持つの嫌いだし靴が濡れるから嫌いかな」と答えたのですが、奥さんは「部屋の中で雨の音を聞いているのが好き」と答えていました。これを聞いて、僕の答えは外出することが前提にあるものだな、とガッカリしました。質問を広く捉えられてなく、「雨といえば外」という自分の思い込みを感じたからです。雨の日であっても、外出をしなければ傘を持ちませんし、靴が濡れ
2020年6月22日 09:05
ふと立ったまま本を読んだりスマホでTwitterを眺めていると急に脚が冷やっとして驚くことがある。その何かわからない冷たいものが当たる範囲は狭いので目ん玉が飛び出たりとか心臓が止まるほど驚くわけではないけど一瞬ふっと猫背の背中が伸びる。夏場は基本ハーフパンツで僕は過ごしているので脚と感情は常に剥き出しだ僕の夏は切れたナイフだいや切れるナイフだ。この急に脚
2020年6月17日 11:27
僕には仕事の関係で、一週間に一度だけ通る道がある。その道は大通りというほどではないが、その地域の中では多くのお店が並んでいる通りだ。そこに並んでいる、一軒のお蕎麦屋さん。お店は一軒家で、見るからに古そうな造りをしている。何代も家族で経営していそうな、そんな佇まいである。店頭で蕎麦を売ったりわらび餅を売ったりしていて、美味しそうだな、とは思っていたけど、その道に行く時