きむ兄

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きむ兄

こんにちは。ご覧頂きありがとうございます。 noteでは短編小説やエッセイを書いています。 どうでもいいことを呟くTwitterもどうぞ。 WINE SELECT PARTNERというワイン情報サイトをのんびり運営しています。

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空を見上げると

空を見上げると、思い出すのはいつも彼女のことだった。 というような女性は僕にはいないし、空を見て奥さんのことを思い浮かべるわけでもない。 ただ首が痛いだとか、肩のこりを感じて自分が年齢を重ねたことを知るだけだ。 空は毎日のようにその表情を変える。でも僕の昔の恋人の顔になったことは一度もないし、惜しいところにもいきつかない。 小学生ぐらいの頃は空を見上げると何を思っただろうか。 どこまでも続く空の広大さや、透き通るような青を絵具でどう作り出せるのかを考えていただろうか

    • 歯に衣着せぬ

      僕は小さい頃、思ったことを口に出す人間は偉いと思っていた。 何で大人は建前ばかりを話すのだろう。もっと思ったことを言えばいいのに。勘違いに勘違いを重ね、僕がこの世の中を変えてやるとまで考えている時もあった。 自分の可能性を信じていたというと聞こえは良いが、よく知らないことに関して大声で言うだけ。 歯に衣着せぬ。 そんな自分がかっこいいとさえ感じていた。外見的にではなく、内面というか「その生き方が」である。 これは全く褒められることではなくて、僕はただの気を遣えない人間

      • 雨の日は好きですか?

        雨の日は好きですか? 僕がこの質問を受けたときに、「傘持つの嫌いだし靴が濡れるから嫌いかな」と答えたのですが、奥さんは「部屋の中で雨の音を聞いているのが好き」と答えていました。 これを聞いて、僕の答えは外出することが前提にあるものだな、とガッカリしました。質問を広く捉えられてなく、「雨といえば外」という自分の思い込みを感じたからです。雨の日であっても、外出をしなければ傘を持ちませんし、靴が濡れることもありません。 確かに雨の日は心なしか外は雨音のみで静かですし、しとしと

        • 夏の訪れ

          ふと立ったまま本を読んだり スマホでTwitterを眺めていると 急に脚が冷やっとして驚くことがある。 その何かわからない冷たいものが当たる範囲は狭いので 目ん玉が飛び出たりとか 心臓が止まるほど驚くわけではないけど 一瞬ふっと猫背の背中が伸びる。 夏場は基本ハーフパンツで僕は過ごしているので 脚と感情は常に剥き出しだ 僕の夏は切れたナイフだ いや切れるナイフだ。 この急に脚を冷やっとさせる犯人は一体何なんだ? 伸びた背中を戻すように剥き出しの牛蒡のよ

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          空の植木鉢

          僕には仕事の関係で、 一週間に一度だけ通る道がある。 その道は大通りというほどではないが、 その地域の中では多くのお店が並んでいる通りだ。 そこに並んでいる、一軒のお蕎麦屋さん。 お店は一軒家で、見るからに古そうな造りをしている。 何代も家族で経営していそうな、そんな佇まいである。 店頭で蕎麦を売ったりわらび餅を売ったりしていて、美味しそうだな、 とは思っていたけど、その道に行く時はいつも時間のない僕は、お店に入ったことがなかった。 先週ふと店先を見てみると

          空の植木鉢