JW527 御饗を奉る神
【垂仁天皇編】エピソード56 御饗を奉る神
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前8年、皇紀653年(垂仁天皇22)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が、遷座(せんざ)を宣言。
次の宮の名は、飯野高宮(いいのたかみや)と発表された。
そして、御杖代(みつえしろ)の倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)は、従者たちと共に旅立ったのであるが、なかなか、宮の解説が出来ないのであった。
ワッコ「はぁぁ(*´Д`)。いつになったら、宮の解説が出来るのじゃ?」
そのとき「ワッコ」の櫛(くし)が落ちた。
おしん「『ワッコ』様の御櫛(みぐし)が落ちたから、今日のこの日は『御櫛』記念日!」
市主「ではなく、この地は、櫛田(くしだ)と呼ばれるようになりもうした。」
カット「そして、櫛田神社(くしだじんじゃ)が創建されました。鎮座地(ちんざち)は、三重県松阪市(まつさかし)の櫛田町(くしだちょう)にござりまする。」
ワクワク「祭神(さいじん)は、僕だよ! すごいでしょ?」
ワッコ「そ・・・そうじゃな・・・。」
ワクワク「それじゃあ、舟に乗って、川を下って行くよ!」
カット「『ワクワク』さん? 舟が有ったのですか?」
ワクワク「どうも、そうみたいだね。ちなみに、川の名前は、櫛田川(くしだがわ)って言うよ。」
こうして、一行は、川を下ることになった。
そして、海が近くなってきた頃、魚が、舟の周りに集まってきた。
ねな「ちょっと! 気持ち悪いんですけど!」
おしん「これは、どういうことだべか?」
その後、魚は、勢いよく跳(は)ね出し、ついには、舟に乗り上がるほどになった。
ワッコ「よ・・・よく分からぬが、今日の夕餉(ゆうげ)が決まったぞ。皆、喜べ!」
ワクワク「仕方ないなぁ。じゃあ、魚見社(うおみのやしろ)を建てちゃうよ。」
インカ「『ワクワク』さん? なにゆえ、そうなりまするか?」
ワクワク「だって、そう書かれてるからだよ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
ワクワク「ちなみに、松阪市の魚見町(うおみちょう)に鎮座している、魚見神社(うおみじんじゃ)のことだと、言われているよ。祭神は『アマ』様と月読命(つくよみ・のみこと)だよ!」
市主「されど、松阪市の川島町(かわしまちょう)に鎮座する、魚海神社(うおみじんじゃ)という説も有るぞ?」
ねな「でも、そっちの祭神は、大綿津見神(おおわたつみ・のかみ)と豊玉姫(とよたまひめ)こと『トト姉ちゃん』になってるわよ。」
ワクワク「これが、ロマンってヤツだね。」
乙若「ところで、ワッコ様? いつになれば、宮の解説が出来るのでしょうか?」
ワッコ「私に聞かれても困る。一体、どうなるのやら・・・。」
するとそこに、一柱(ひとはしら)の神が現れた。
神「わしか? わしは『真名胡神(まなこのかみ)』じゃ。『マナ』と呼びなさい。御饗(みあえ)を奉(たてまつ)る神様じゃぞ。」
おしん「御饗って、何だべ?」
マナ「貴人に食事の『おもてなし』をすることじゃ。」
ワッコ「し・・・して、汝(いまし)が国の名は、何ぞ?」
マナ「白浜(しらはま)、真名胡国(まなこ・のくに)。」
ワクワク「こうして、真名胡神社(まなこじんじゃ)が創建されたそうなんだけど・・・。」
ねな「兵名胡神社(へいなごじんじゃ)って別名も有るんだけど・・・。」
ワッコ「だけど?」
乙若「残っておりませぬ。」
マナ「えっ? 嘘(うそ)でしょ?」
インカ「まことじゃ・・・。」
マナ「すごくショックなんですけど・・・(´;ω;`)ウッ…。」
市主「松阪市の上七見町(かみななみちょう)に鎮座する、奈々美神社(ななみじんじゃ)という説も有るようですぞ。」
マナ「えっ? ホント?」
市主「『マナ』様は祀られておりませぬが・・・。」
マナ「すごくショックなんですけど・・・(´;ω;`)ウッ…。」
こうして、今回も、宮の解説は出来なかったのであった。
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?