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JW189 鬼林山の戦い

【孝霊天皇編】エピソード44 鬼林山の戦い


第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。

ヤマトの一行は、ついに印賀(いんが)の鬼を退治した。

地図(印賀)

そして、孝霊天皇こと、大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとに・のみこと)(以下、笹福(ささふく))たちは、ヤマトに帰ることになったのであった。

今回の登場人物

その途中、上菅(かみすげ)の行宮にて、休息を取っていた一行であったが・・・。

笹福「ちなみに、この行宮は、二千年後、菅福神社(すげふくじんじゃ)となっておるぞ。」

地図(菅福神社)
菅福神社(拝殿)
地図(上菅・菅福神社)

牛鬼「これで、お別れだがん! 悲しいですが、大王(おおきみ)! 御達者で!」

笹福「牛鬼(ぎゅうき)も達者でな・・・。」

そんなやり取りをしている時、笹福たちのもとに、住人たちが駆け込んできた。

ちなみに住人の名前は、ベッツイとクリスという。

ベッツイ「大王! 出たが! 鬼が出てきたが!」

クリス「牛鬼という、きょうてぇ(恐ろしい)鬼が、鬼林山(きりんざん)で暴れちょるんだわ!」

笹福「なに? 牛鬼じゃと? それは有り得ぬ。」

ベッツイ「なにゆえだねか?」

笹福「ここに居るのが、牛鬼だからじゃ。」

牛鬼「そげだ(そうです)。わしが牛鬼だがん。」

ベッツイ&クリス「ええぇぇ!!」×2

牛鬼「鬼林山に籠(こも)っちょるんは、偽物ではないか?」

歯黒「一時、この国を震撼(しんかん)させた牛鬼の名を騙(かた)り、住人たちを脅しておるのであろうな・・・。」

牛鬼「そ・・・そげなこと・・・。詐欺(さぎ)だがね!」

芹彦「牛鬼よ。仕方あるまい。伝承では『牛鬼』と書かれておるのじゃ。」

牛鬼「そげなこと言われても・・・。冤罪(えんざい)だがね!」

鶯王「されど、なにゆえ、作者は偽物と見抜いておるのであろうか・・・。」

タケ「兄上。それについては、私が解説致しましょう。」

牛鬼「タケ様は、何か御存知だねか?」

タケ「実はな・・・。この伝承・・・。登場した時は『牛鬼』と書かれておるのじゃが、いざ戦いの場面となった時、名が変わっておるのじゃ。」

牛鬼「何、言っちょうだ(何を言ってるんですか)?! 名が変わった?」

鶯王「タケ。それで、本当の名は?」

タケ「赤鬼(あかおに)と青鬼(あおおに)と書かれておるのです!」

芹彦「なんとぉぉ! その手があったか!」

ユミ「芹彦殿! その手って、どの手よ!?」

歯黒「では、我々は、鬼林山の赤鬼と青鬼を退治するわけじゃな?」

タケ「その通りじゃ。兄者。」

笹福「なるほどのう。では、鬼林山に向かおうぞ!」

みなお「ところで、鬼林山っちゅうのは、どこに有るんでっか?」

ベッツイ「鳥取県日南町福塚(にちなんちょう・ふくづか)の辺りだがん。」

地図(鬼林山)

クリス「その山を拠点(きょてん)にして、福塚や神福(かみふく)地区を襲っちょるんだわ。」

地図(福塚・神福)

笹福「かつて、牛鬼たちと戦った、大倉山(おおくらやま)の西にあたるのか・・・。」

牛鬼「懐かしいですなぁ。エピソード177の時だがん。」

笹福「あの頃は、まだ『ふぅちゃん(福姫)』は、細(ほそ)の腹の中で・・・。」

牛鬼「うう・・・。ふぅさま・・・(´;ω;`)ウッ…。」

細「そうでしたねぇ。それから、あの子・・・牛鬼殿に、ホントに懐(なつ)いて・・・(´;ω;`)ウッ…。」

笹福一行「うう・・・(´;ω;`)ウッ…。」×多数

クリス「あのう? 鬼林山の方は・・・?」

笹福「す・・・すまぬ。で・・・では、ただちに向かおうぞ。向かう先は、山の北側じゃ。」

ぐっさん「そ・・・その地に、行宮(あんぐう)を設けるんですな?」

笹福「その通りじゃ。二千年後の鳥取県日南町は宮内(みやうち)と呼ばれる地じゃ。」

大目「すぐに向かうんじゃほい!」

地図(宮内)

こうして、一行は、鬼林山の北方、日南町宮内に移動した。

そして、紙面の都合で、鬼たちとの戦(いくさ)となったのであった。

牛鬼(偽1)「わ(私)たちは、牛鬼だがん!」

牛鬼(偽2)「ヤマトの諸君。わ(私)たちを止めてみたまえ・・・。」

牛鬼(本物)「わ(私)の名を騙っちょるんは、わいら(おまえたち)か!? 許さんが!」

牛鬼(偽1)「ええぇぇ!? モノホン!? 本物!?」

牛鬼(偽2)「こげなこと聞いちょらんぞ!」

笹福「聞いておらぬ汝(いまし)らが、悪いのよ。攻めかかれぇぇ!!」

笹福一行「おお!」×多数

牛鬼(偽1)「こうなったら、正体をバラすしかないがね! わ(私)は青鬼だがん!」

牛鬼(偽2)「そして、わ(私)が、赤鬼だがん!」

歯黒「知っておるわ!」

青鬼「ええぇぇ!? どげして、知ったんだ!?」

赤鬼「お・・・落ち着け、青鬼! そげして(そうして)、わ(私)たちを混乱させるつもりなんだわね!」

ぐっさん「その通りや! とことん、やったるでぇ!」

青鬼「ま・・・負けんぞ! 押し返せぇ!」

こうして、鬼林山を舞台に、激しい戦いが繰り広げられた。

それは、十年にも及ぶ、大規模な戦争となったのであるが、詳細は伝わっていない。

そして、時は流れ、紀元前220年、皇紀441年(孝霊天皇71)となった。

笹福「かなりの強敵ではないか・・・。」

歯黒「左様にござりまするな・・・。我々が戦っておる間に、海の向こうでは、秦(しん)という国が多くの国を平(たい)らげ、昨年、皇帝(こうてい)を称したそうにござりまするぞ。」

笹福「秦の始皇帝(しこうてい)こと、嬴政(えい・せい)か・・・。」

中華の統一が成った頃、我が国では、鬼との戦いが続いていたのであった。 

つづく

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