JW350 大先生
【桃太郎編】エピソード20 大先生
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)では、温羅(うら)が暴れまわっていた。
鎮圧の使命を受けたのは、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦)と稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)。
両軍は、矢の応酬(おうしゅう)をおこなうが、温羅によって、芹彦の矢は、ことごとく落とされるのであった。
芹彦「おのれぇ! 温羅めぇ!」
タケ「芹彦! 怒っても詮無き(せんなき)ことぞ!」
芹彦「分かっておる! 分かってはおるが・・・。」
すると、その時、一筋の光と共に、神が現れた。
神「芹彦よ・・・。慌(あわ)てるでない・・・。汝(なれ)に、この弓(ゆみ)を授けようぞ。」
芹彦「こ・・・これは?」
神「千釣(せんきん)の強弓(つよゆみ)やじ・・・。これで、矢を、二本同時に放つのじゃ!」
芹彦「か・・・かしこまりもうした・・・。」
たっちゃん「しばし、お待ちくだされ! ど・・・どちらの神に、おわしまするか?!」
神「伝承では、神としか書かれておらぬが、天照大神(あまてらすおおみかみ)の計(はか)らいで、我(われ)が出ることになってしまったじ・・・。」
タケ「もしや! その高千穂(たかちほ)の言の葉・・・。」
神「その通りっちゃが。我(われ)が、初代大王(おおきみ)の狭野(さの)やじ。」
芹彦「おお! 狭野尊(さの・のみこと)大先生! お会いしとうござりもうした!」
サノ「芹彦、タケ・・・。そして、たっちゃん・・・。我(わ)が子孫たちよ・・・。励(はげ)めっ。我(われ)は、いつでも、汝(なれ)たちを見守っておるぞ・・・。」
そう言うと、サノは消えていったのであった。
完全オリジナル設定である。
芹彦「よぉぉし! 狭野尊大先生が教えてくださった、二本同時発射を試(こころ)みるぞ!」
タケ「行けっ。芹彦!」
たっちゃん「伯父上! 信じておりまするぞ!」
オーイナ「さっきの光は、何だったんじゃ?」
ジョン「おい! 俺たちにも、教えろよ!」
芹彦「話は、後(あと)じゃ! 温羅よ! これでも喰らえ! とぉ!」
強弓から、二本の矢が放たれた。
一本は、温羅の矢とぶつかったが・・・。
温羅「ぐはぁぁ!! ウリ(私)の左目に、矢が突き刺さったニダ! どういうことハセヨ?!」
芹彦「狭野尊大先生が、策を授けてくださったのじゃ!」
温羅「意味が分からないハセヨ!」
ヨーコ「二本同時に、矢を放ったってことね?」
たか「さすがは、皇子!」
トメ「あっ! 温羅の左目から、血が流れ出した!」
犬「ま・・・まるで、川のようじゃ・・・。」
川のように流れる血。
温羅は、どうなってしまうのか?
次回につづく
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