JW206 立后から出産へ
【孝元天皇編】エピソード9 立后から出産へ
第八代天皇、孝元天皇(こうげんてんのう)の御世。
ここは軽境原宮(かるの・さかいはら・のみや)。
紀元前208年、皇紀453年(孝元天皇7)2月2日。
この日、孝元天皇こと、大日本根子彦国牽尊(おおやまとねこひこくにくる・のみこと)(以下、ニクル)は、大后(おおきさき)を立てたのであった。
ニクル「その通りじゃ。ついに立后(りっこう)をおこなったぞ。」
そこに、大臣(おおおみ)の物部出石心(もののべ・の・いずしごころ)(以下、いずっち)がやって来た。
いずっち「ほな、大王(おおきみ)! 大后を紹介しておくんなはれ。」
ニクル「汝(いまし)から紹介した方が良いのではないか?」
いずっち「え? ほな、言わせてもらいまっせ。わての孫娘! 鬱色謎(うつしこめ)でんがな! 『ウッチー』と呼んでおくんなはれ!」
ウッチー「お初にお目にかかりますぅ。私が『ウッチー』だす。」
ニクル「う・・・うむ。よろしく頼むぞ。」
いずっち「さて、大王? わての孫娘っちゅうことなんやけど、誰の娘か気になりませんか?」
ニクル「我(われ)は既に知っておるぞ。もったいぶらず、読者のために、早う解説致せ。」
いずっち「ほな、紹介します。『ウッチー』の父親、大矢口(おおやぐち)こと『ぐっさん』やで!」
ニクル・いずっち「・・・・・・。」×2
いずっち「あれ? 出てきまへんなぁ?」
ニクル「お歳を召されたか? 『いずっち』よ。汝(いまし)の息子『ぐっさん』は、エピソード200で引退したではないか・・・。」
いずっち「あっ! そうでしたな!」
するとそこに『ぐっさん』の息子たちがやって来た。
鬱色雄(うつしこお)(以下、コー)と大綜杵(おおへそき)(以下、ヘソ)である。
コー「お爺はん! 耄碌(もうろく)し過ぎやで! おとんは、クランクアップしたやろ?」
ヘソ「ほんまや! 頼むで、しかし!」
ウッチー「あにさん! ヘソ!」
コー「いやぁ、良かったなぁ。『ウッチー』! わしも嬉しいでぇ。」
ヘソ「せやけど、なんで、わてが『ウッチー』の弟になってんねん! 『記紀(きき)』には、そないなこと書いてへんで!」
コー「まあ、ええやないか。そないなこと気にするなっ。」
ヘソ「兄貴! 何、言うてんねん! ここは、気にするところやで!?」
ニクル「どちらでも良いではないか・・・。」
ヘソ「なっ!? 大王まで、そないなこと・・・。」
ウッチー「ところで、大事な、お知らせが有りますぅ。」
いずっち・コー・ヘソ「なんや?」×3
ウッチー「お・・・お腹(なか)に『ややこ』がおりますのんや・・・。」
いずっち「なっ!? わての曾孫(ひまご)!?」
コー「わしらからしたら、甥っ子か姪っ子やで!」
ヘソ「あねさん! ホンマか!?」
ニクル「何を驚いておるのじゃ? 『ウッチー』が身籠(みごも)るは、これで三人目ぞ。」
いずっち・コー・ヘソ「な・・・なんやて!?」×3
ニクル「では、紹介致そうぞ。長男の大彦(おおひこ)じゃ。」
大彦「ぼ・・僕が大彦なんだな。大きくなったら、将軍になりたいんだな。」
ニクル「うむ。よくぞ申した。続いて、次男を紹介致そうぞ。少彦男心(すくなひこおこころ)じゃ。『こころ』と呼んでくれ。」
こころ「僕は『こころ』です。『古事記(こじき)』で次男と書かれてます。『日本書紀(にほんしょき)』では別伝にだけ、登場しています。」
ニクル「うむ。よくぞ申した。」
ウッチー「・・・ということで、これで三人目だす。三回目にもなると、ええのか、悪いのか、余裕が出て来てしまいますなぁ。」
ニクル「そ・・・そのようなモノなのか?」
コー「ちょ・・・ちょっと待っておくんなはれ。大后になる前に、二人も子供、産んでるって、どういうことです?」
ニクル「数多くいる妃(きさき)の中から、『ウッチー』が選ばれたということじゃ。」
ヘソ「ほな、他の妃も紹介しますか?」
ニクル「その辺は、次回に取っておこうぞ。」
ヘソ「そないなこと言わんと・・・。頼むで、しかし!」
ニクル「そ・・・そう言われてものう・・・。」
ウッチー「うっ!」
ニクル「ん? 如何(いかが)致した?」
ウッチー「う・・・産まれるぅぅぅ!!」
いずっち・コー・ヘソ「なっ! なんやて!?」
こうして『ウッチー』は、元気な男の子を産んだのであった。
三男である。
いずっち「三人目の曾孫やで。名は、何と致しますぅ?」
ニクル「うむ。稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)じゃ。」
コー「三人目から、いきなり長(なが)ぁなりましたな?」
ヘソ「当たり前やがな。この子が、九代目やで! 頼むで、しかし!」
いずっち「おい! ヘソ! それを異国(とつくに)の言の葉で、フライングっちゅうんやで!」
ヘソ「お爺はん・・・。ええやないけぇ。名前で、バレバレやがな!」
ニクル「う・・・うむ。して、愛称の方じゃが・・・。」
ウッチー「長ったらしいんで『ピッピ』にしますぅ。よろしゅう、お頼み申しますぅ。」
いずっち「ほ・・・ほうかぁ。『ピッピ』か・・・。」
コー・ヘソ「ピ・・・ピッピ?」×2
こうして、立后と同じ年、九代目、開化天皇(かいかてんのう)が誕生したのであった。
つづく
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