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JW472 見えざる脅威

【垂仁天皇編】エピソード1 見えざる脅威


紀元前30年、皇紀631年(崇神天皇68)12月5日。

崇神天皇(すじんてんのう)こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)が崩御(ほうぎょ)した。

それから、数日後のこと・・・。

日嗣皇子(ひつぎのみこ)である、活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)(以下、イク)が、物思いに耽(ふけ)っているところに、「イク」の腹違いの兄、豊城入彦(とよきいりひこ)(以下、トッティ)がやって来た。

系図(トッティ)

トッティ「おお! こんなところにいたのか! 探したっぺよ!」

イク「ト・・・『トッティ』義兄上。どうしたの?」

トッティ「そろそろ、東国に帰るんで、お別れの挨拶に来たんだっぺよ。」

イク「あ・・・義兄上・・・。やっぱり、義兄上の方が、大王(おおきみ)に相応(ふさわ)しいんじゃないかな? 僕じゃなくて、義兄上が、大王になってよ。」

トッティ「何、言ってんだ? この場面は、作者の『おりじなる』設定だっぺよ?」

イク「それは、分かってるけど・・・。僕には、荷(に)が重すぎて・・・(´;ω;`)ウッ…。」

そのとき、兄の大入杵(おおいりき)(以下、リキ)がやって来た。

系図(リキ)

リキ「おお! 『イク』! 何、泣いてんのや?」

イク「あっ。『リキ』義兄上・・・。ぼ・・・僕・・・。大王になれるか、不安で・・・。」

トッティ「なんか、よく分かんねぇけど、大王になりたくねぇって、落ち込んでるんだっぺよ。」

リキ「何、言うてんねん。わても『トッティ』も、他の兄弟姉妹も、おるやろ? 気兼ねなく、支えてもろたら、ええんや。なんも心配すること、有らへん。」

トッティ「そうだっぺよ。『リキ』義兄上や、我(われ)は、遠方にいるけどよぉ、いつでも駆けつけるっぺ。だから、安心して、大王になれ!」

リキ「せやで! いつでも能登国(のと・のくに:現在の石川県北部)から駆けつけるでぇ。」

地図(能登国)

イク「うう・・・『リキ』義兄上・・・。『トッティ』義兄上・・・(´;ω;`)ウッ…。」

リキ「せやから、もう泣くな。『おとん(崇神天皇)』が、心配するやろ!」

イク「でも、国中(くんなか:現在の奈良盆地)で、何かあったとしても、義兄上たちは、間に合わないよね? そうしてるうちに、僕は、命を落とすかもしれない・・・。」

トッティ「ど・・・どういうことだっぺ?」

イク「狭穂彦(さほひこ)が、謀反(むほん)を企てているかもしれないって・・・。」

系図(狭穂彦)

リキ「なんやて!? せやったら、さっさと討ち取るしかないやろ!」

トッティ「ちょっと! 『リキ』義兄上! 早まったら、ダメだっぺよ!」

リキ「せやけど、一大事っちゅうことやろ? 愚図愚図(ぐずぐず)してたら『イク』が死ぬで?」

トッティ「だったら、我(われ)の息子、八綱田(やつなた)こと『つなお』を置いていくっぺ。」

リキ「なるほど・・・。わてや、『トッティ』は領国(りょうごく)から離れるわけには、いかへんからなぁ。何かあったら『つなお』に守ってもらうっちゅうことか・・・。」

トッティ「最悪の場合は、東国まで落ち延(の)びたら、いいっぺ。だから、安心しろ!」

イク「うう・・・(´;ω;`)ウッ…。義兄上・・・(´;ω;`)ウッ…。」

こうして、一話まるまる、作者オリジナル設定に使ってしまったのであった。 

つづく

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