JW522 大手津物を贈れ
【垂仁天皇編】エピソード51 大手津物を贈れ
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前12年、皇紀649年(垂仁天皇18)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が遷座(せんざ)を宣言。
御杖代(みつえしろ)の倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)は、従者たちと共に南へと進み、阿佐賀国(あさか・のくに)に入った。
この地の豪族、建呰古(たけしこ)(以下、ケシコ)も出演を続投する中、桝形山(ますがたやま)の荒ぶる神が、行く手を阻(はば)んでいることを知る。
そして、荒ぶる神を鎮(しず)めるため、国中(くんなか:現在の奈良盆地)より、垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)(以下、イク)の叔父に当たる、阿倍大稲腰(あべ・の・おおいなこし)(以下、イナコ)が派遣されてきたのであった。
ワッコ「大叔父上! お初にお目にかかりまする。」
イナコ「ん? もしかして、汝(なれ)が『ワッコ』ちゃん?」
ワッコ「左様にござりまする。」
イナコ「そうか・・・。まだ、産まれてないっていうのに、頑張ってるんだね。」
ワッコ「そうなのです・・・。」
イナコ「まあ、今年は、姉君が産まれたから、来年くらいには産まれるんじゃないかな。」
ワッコ「そうだと良いのですが・・・。」
ねな「ちょっと! そんなことより、荒ぶる神を、なんとかしなきゃダメでしょ?」
イナコ「そ・・・そうだったね・・・。」
ケシコ「ところで、この大きな荷物(にもつ)は?」
ワクワク「大王(おおきみ)から授かった、大手津物(おおたなつもの)だよ。」
イナコ「荒ぶる神に捧げる、進物(しんもつ)ってことだね。」
ワッコ「討伐ではなく、祭祀(さいし)で神を鎮めよと?」
イナコ「そういうことだよ。我(われ)は荒事(あらごと)に向いてないし、大王も、血が流れるのは嫌(いや)だと仰(おっしゃ)られてね・・・。」
カット「されど『皇太神宮儀式帳(こうたいじんぐう・ぎしきちょう)』では平定したと書かれておりまするが?」
イナコ「そちらではなく、『倭姫命世記(やまとひめのみこと・せいき)』の記述を採用することにしたんだよ。まあ、そうなると、我(われ)が登場しなくても良かったんじゃないか・・・って話になるんだけどね・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ワッコ「と・・・とにかく、荒ぶる神を鎮めましょう。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
こうして、荒ぶる神を鎮めることになった。
すると都合良く、荒ぶる神が出現した。
荒ぶる神「我(われ)は、伊豆速布留神(いつはやふるのかみ)こと『ふるるん』じゃ。荒ぶっちゃったんだなぁぁぁこれが。」
ワッコ「なにゆえにござりまする?」
ふるるん「誰も祀(まつ)ってくれぬからじゃ。」
アマ「安心致せ! 『ワッコ』が、みっちりと祀ってくれようぞ!」
ふるるん「えっ? 『アマ』様?!」
ワッコ「ちょっと! ここは『アマ』様の出番ではありませぬぞ?」
アマ「わらわが出て来た方が、手っ取り早いであろう? さあ、さっさと鎮まるが良い!」
ふるるん「ははぁ。『ふるるん』は嬉しいぞぉ!」
こうして、鎮まったのであった。
市主「ちなみに『ふるるん』様が『嬉しい』と仰ったので・・・。」
おしん「今日のこの日は『嬉し』記念日!」
市主「ではなく、周辺地域は『宇礼志(うれし)』と呼ばれるようになりもうした。」
インカ「二千年後も『嬉野(うれしの)』という地名で残っておりまするぞ。」
ワッコ「とにかく、これにてようやく、次の宮の解説が出来るのじゃな?」
乙若「左様にござりまする。して、此度(こたび)の宮の名は、阿佐加藤方片樋宮(あさかの・ふじかたの・かたひ・のみや)にござりまする。」
ワッコ「な・・・長い・・・。」
カット「そして、此度の宮の候補地は、四つにござりまする。」
ようやく始まった宮の解説。
候補地とは・・・。
次回につづく
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