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JW254 桜井市内探訪

【疫病混乱編】エピソード6 桜井市内探訪


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

紀元前92年、皇紀569年(崇神天皇6)9月23日。

この日、天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀(まつ)る神社が完成した。

しかし、所在地については、諸説あるという。

困惑する、崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)。

そして、妃の遠津年魚眼眼妙媛(とおつあゆめまぐわしひめ)(以下、アユ)。

そんな中、豊鍬入姫(とよすきいりひめ)(以下、きぃ)が、一人の助っ人を呼ぶ。

それは・・・。

皇室系図(アユときぃ)

きぃ「そういうことですので、強力な助っ人に来ていただきました。三輪山(みわやま)の祭祀をあずかる、物部建新川(もののべ・の・たけにいかわ)こと『ケニー』殿にございます。」

ケニー「エピソード207以来の登場ですよ!」

系図(物部氏・建新川)

アユ「ちょっと! これって、どういうこと?」

きぃ「桜井市といえば、三輪山。三輪山といえば『ケニー殿』ということで・・・。」

ミマキ「たしか、磯城氏(しき・し)が断絶した折、汝(いまし)が跡を継いだのであったな?」

ケニー「左様にございます。」

アユ「三輪山って、宮(みや)の背後に聳(そび)えてる山のことよね?」

ケニー「その通りです。その山に鎮座(ちんざ)するのが、大物主神(おおものぬしのかみ)です。すなわち、大神神社(おおみわじんじゃ)にございますよ!」

地図(大神神社)
大神神社(大鳥居)
大神神社(拝殿)

アユ「なるほどねぇぇって、ところでさぁ。大神神社って、いつから有るの?」

きぃ「母上? 何を仰っておられるのです。太古の昔から、御初代様が東征(とうせい)される前から、鎮座しているのですよ。」

アユ「ええ! そんな昔から有るの!?」

ミマキ「何を申しておるのじゃ! それよりも、天照大神を祀りし、笠縫邑(かさぬい・のむら)の解説を致せ! 諸説有るのであろう?」

ケニー「そうでしたね。では、桜井市内笠縫邑探訪ツアーに参りましょう!」

ミマキ「つ・・・つあ? 異国(とつくに)の言の葉など使いおって・・・。」

ケニー「まあまあ・・・。では、最初に向かった先は、桜井市笠(さくらいし・かさ)に鎮座する、笠山荒神社(かさやまこうじんじゃ)にございますよ。笠山坐神社(かさやまにますじんじゃ)とも呼ばれております。」

笠山荒神社・笠山坐神社(鳥居)
笠山荒神社・笠山坐神社(拝殿)

きぃ「笠山は鷲峯山(じゅぶさん)とも呼ばれ、山そのものが、御神体となっておりまする。」

ミマキ「山が御神体なら、天照大神と関わりが無いように思うのじゃが・・・。」

きぃ「たしかに、祭神は、土祖神(つちのみおやのかみ)、興津彦(おきつひこ)、興津姫(おきつひめ)となっておりますね。」

ケニー「わての憶測(おくそく)になりますが、太古の昔から信仰されていた山なので、神を鎮(しず)めるのに、ふさわしい場所として、一時的に安置されたんじゃないかと・・・。」

地図(笠山荒神社・笠山坐神社)

アユ「憶測まみれで、諸説有りになってるのね・・・。」

ケニー「で・・・では、次に参りましょう!」

ミマキ「次は、どこじゃ?」

ケニー「はい! 次に参りましたのが、桜井市穴師(さくらいし・あなし)に鎮座する、巻向坐若御魂神社(まきむくにますわかみたまじんじゃ)にございますよ。」

巻向坐若御魂神社(鳥居)
巻向坐若御魂神社(拝殿)

ミマキ「若御魂? 天照大神の若々しい御魂(みたま)ということか?」

きぃ「そ・・・それが・・・。若御魂とは、櫛名田比売(くしなだひめ)と言われておりまして・・・。」

ミマキ「櫛名田比売と申せば、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の奥さんではないか!? どうなっておるのじゃ?」

ケニー「ええ、ですから、諸説有りなんですよ。」

アユ「ちょっと待ってよ!」

ミマキ「ん? アユ? 如何(いかが)致した?」

アユ「これ・・・二千年後の地図なんだけど、社(やしろ)の名前が違うのよ!」

ミマキ「どれどれ・・・。穴師坐兵主神社(あなしにますひょうずじんじゃ)?」

ケニー「見つけちゃいましたか・・・。」

ミマキ「どういうことじゃ?」

きぃ「実は、二千年後は、三つの社が合祀(ごうし)された状態になっておりまして・・・。」

ケニー「応仁(おうにん)の乱で、燃えちゃったので、三つの社を、一か所に集めたんですよ。」

地図(穴師坐兵主神社・巻向坐若御魂神社)

ミマキ「それで、三柱(さんはしら)のうち、穴師坐兵主神社が代表者になっておると?」

きぃ「そうなのです。合祀される前は、巻向山(まきむくやま)の山中に祀られていたそうです。」

地図(巻向山)

アユ「でもさぁ。山の中まで燃えちゃうくらい、往年(おうねん)の乱って、すごかったの?」

きぃ「母上・・・応仁の乱です・・・(〃ノωノ)。」

アユ「そ・・・そうとも言うわね。」

ケニー「さあ、なんせ千六百年後のことなんで、わてには、よく分かりませんね。」

ミマキ「ところで、だんだんと、わしの住まう、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)に近付いてはおらぬか?」

地図(近付いている)

ケニー「さすがは大王(おおきみ)! そうなんですよ。宮に帰りながらのツアーなんですよ!」

ミマキ「して、穴師の神社で終(しま)いか?」

ケニー「いえいえ、最後に紹介するのが、檜原神社(ひばらじんじゃ)にございますよ! こちらは、三輪山の麓に鎮座しております。拝殿(はいでん)は無く、山そのものを拝(おが)む、古来の名残を留めたモノなんだとか・・・。」

檜原神社(注連柱)
檜原神社(遥拝所)

ミマキ「三輪山の麓? 宮の近くか?」

きぃ「宮よりも北に位置するところにございます。二千年後で言うと、桜井市三輪(さくらいし・みわ)にございます。」

地図(檜原神社)
地図(今回紹介した神社)

アユ「歩いていける距離じゃない! 『きぃ』! ここにしなさい!」

ミマキ「汝(いまし)の都合で、決めるでない!」

きぃ「大王、母上。まだ終わってはおりませぬよ。候補地は、他にも有るのです。」

ミマキ「さきほど『ケニー』が、最後と言っておったではないか?」

きぃ「それは、桜井市内笠縫邑探訪ツアーの最後という意味にございます。」

ミマキ・アユ「ええぇぇぇぇぇ!!」×2

候補地は、結局、幾つになるのであろうか?

次回につづく

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