JW309 海で会いましょう
【丹波平定編】エピソード16 海で会いましょう
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
丹波(たにわ)の豪族、陸耳御笠(くがみみのみかさ)(以下、みかさ)は、ある浜辺に潜(ひそ)んでいた。
みかさ「・・・ということで、どこやねん?」
兵士(い)「但馬御火浦(たじま・みほうら)って書かれてますねぇ。」
兵士(ろ)「書物の名前は『国司文書(こくしもんじょ) 但馬故事記(たじまこじき)』やでぇ。」
みかさ「御火浦? 結局、どこやねん?」
兵士(は)「二千年後の地名で言うと、兵庫県新温泉町(しんおんせんちょう)の三尾(みお)周辺とされてまっせ。ちなみに、御火浦は天然記念物になってるんでっせ!」
みかさ「そうかぁ。とにかく、ここから、わてらは、出雲(いずも)に向かったんやな?」
兵士(に)「せやけど、待ってください。」
みかさ「ん? なんや?」
兵士(に)「出雲に行こうとしてるのは、作者のオリジナル設定なんですよね?」
みかさ「ん? 何が言いたいねん?」
兵士(に)「オリジナル・・・っちゅうことは、ホンマは、そういう理由で、御火浦が紹介されてるんやないって・・・ことになりません?」
みかさ「ん? せやったら、ホンマは、なんのために紹介されてるんや?」
するとそこに、多遅摩竹野別当芸利彦(たじまの・たかのわけ・の・たぎりひこ)(以下、たぎり)が、颯爽(さっそう)と現れた。
たぎり「兵士(に)っ。なかなか、頭いいじゃねぇか! どういう理由で記されてるかって? 汝(なびと)らが、この地で見つかったって書かれてんだよ!」
みかさ「なっ! なんやてぇぇ!!」
たぎり「そういうことで、さいならぁぁ!」
みかさ「ん? なんで、帰っていったんや?」
兵士(ほ)「少ない人数やったさかい、助太刀を求めに行ったんと、ちゃいますか?」
みかさ「助太刀? 彦坐王(ひこいます・のきみ)こと『イマス』に報せに行ったっちゅうことか? えらいことになったでぇ。どないすんねん?!」
兵士(い)「わてらも、助太刀を頼むほかないんと、ちゃいますか?」
みかさ「助太刀って、誰に頼むんや?」
兵士(ろ)「ここはやっぱり、狂(くるい)の土蜘蛛(つちぐも)こと『くるっち』はんに、御願いするしか、ないんやないですか?」
みかさ「むむむ・・・。話、聞いてくれるやろか・・・。」
こうして「みかさ」は、ダメ元で、狂の土蜘蛛(つちぐも)こと「くるっち」を頼った。
くるっち「エピソード307以来だっちゃ。ちなみに、狂は、二千年後の兵庫県豊岡市城崎町来日(とよおかし・きのさきちょうくるひ)のことだわいや。そんで、根城(ねじろ)は久流山(くるやま)こと来日岳(くるひだけ)のことだっちゃ。」
みかさ「それで・・・助太刀してくれるんか?」
くるっち「今回だけだっちゃ! 次は、無いと思うてくれ。」
みかさ「分かった。要(よう)は、勝てば、ええねん。」
一方、彦坐王(ひこいます・のきみ)(以下、イマス)たちは「みかさ」発見の報を受け、討伐に向かおうとしていた。
イマス「皆、気を引き締めて参るぞっ。」
一同「おお!」×多数
討伐軍に加わりし者は、下記の通り。
イマスの息子にして、四道将軍(しどうしょうぐん)の丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)(以下、ミッチー)。
副将の尾張倭得玉彦(おわり・の・やまとえたまひこ)(以下、玉彦)。
多遅摩国造(たじま・の・くにのみやつこ)の多遅摩日楢杵(たじま・の・ひならき)(以下、ラッキー)。
次に、多遅摩竹野(たじま・の・たかの)を治める「たぎり」。
そして、黄沼前県主(きぬさき・の・あがたぬし)の穴目杵(あなめき)(以下、アナン)。
それから、アナンの息子、黄沼前来日(きぬさき・の・くるひ)(以下、クール)。
更に、小田井県主(おだい・の・あがたぬし)の「ピット」も参加させようと思う。
ミッチー「父上っ。ついに、この日が来たのですな。『国見(くにみ)の剣(つるぎ)』の暴れる時がっ!! 良かったなっ。国見の剣よぉぉ!」
玉彦「何を言うとるがや!」
ラッキー「また、剣に話しかけてるニダ・・・。」
たぎり「ちなみに、見つけたの、私になってますけど、作者のオリジナルですからね。」
アナン「そんじゃあ、誰が見つけたんだ?」
たぎり「誰が・・・なんて、一言も書かれてないんだよなぁ。見つかったとしか・・・。」
クール「そにゃぁなこと、どうでも、ええわいや。」
ピット「エピソード299以来なのである。参加出来て、光栄なのである。」
ミッチー「して、父上。如何様(いかよう)に攻める、おつもりにござりまするか?」
イマス「うむ。敵は、但馬御火浦(たじま・みほうら)に潜んでいるとのことじゃ。さすれば、こちらも舟で向かうが良いと心得る。」
たぎり・アナン「舟は、わえら(私たち)が調(ととの)え(ます)(るっちゃ)!」×2
こうして、討伐軍は、海から向かうこととなった。
その途次・・・。
イマス「ん? なにか・・・音が? そして、まばゆい?」
ミッチー「ち・・・父上の鎧(よろい)が、鳴動(めいどう)しておられるっ。」
玉彦「それだけじゃないでよ。光を発しとるがやっ!」
ラッキー「そこで、この海を、鎧浦(よろいうら)と呼ぶようになったニダ。」
たぎり「二千年後の兵庫県香美町(かみちょう)は香住区鎧(かすみく・よろい)の海を指すぜ。」
アナン「そにゃぁなこと言うとったら、敵が現れたわいやっ。」
クール「み・・・岬(みさき)のところに、船団が!?」
ピット「すなわち、舟戦(ふないくさ)となったのである!」
みかさ「ここが、汝(なびと)らの墓場やっ! 観念せぇぇ!!」
くるっち「お手柔(てやわ)らかにぃぃ!」
ついに、最終決戦がおこなわれる。
勝つのはどちらか?
次回につづく
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?